ミニ・レビュー
3年ぶりのアルバム(ソロ4作目)。これまでどおりロカビリーに対する深い愛情が感じられるパワフルな演奏で、サーフ・ミュージックを取り入れるなど、創作意欲満々で新鮮だ。布袋寅泰と共演して話題となった(11)など、ギターもカッコいい。
ガイドコメント
ブライアン・セッツァー、通算4枚目のソロ・アルバム。先行シングルとしてリリースされた、長年の友人である布袋寅泰との共演曲「BACK STREETS OF TOKYO」は聴きものだ。
収録曲
01DRUGS & ALCOHOL (BULLET HOLES)
アメリカの荒野を思わせる、ほこりっぽいアコースティック・ギターの音色に導かれて始まるロックンロール・ナンバー。ブライアン・セッツァーならではの人生観で、子供たちを取りまく嘆かわしいほどの劣悪な環境について歌っている。
02TAKE A CHANCE ON LOVE
跳ねるリズムを強調したギター・リフを中心に構成した、ゴキゲンなブギー・ナンバー。燃え上がる恋の高揚感が、見事にサウンドへと昇華されている。エルヴィス・プレスリーを意識したようなブライアン・セッツァーの歌声がセクシー!
03BROKEN DOWN PIECE OF JUNK
ロカビリー・バンドでプレイしているブライアン・セッツァーの実在の友人をモデルにした、オールディーズ調のロック・ナンバー。転がるようなブギウギ・ピアノがグルーヴ感満点で、ビートルズ風のコーラスも見事に決まっている。
04WE ARE THE MARAUDERS
ジャングル・ビートを使ったノリのいい楽曲。サビではブライアン・セッツァー流のアレンジによってシャッフル・ビートへと切り替わり、ポップなメロディが展開されている。人気テレビ番組を皮肉った歌詞もユーモラス。
05DON'T SAY YOU LOVE ME
ジョニー・キャッシュとジューン・カーターのデュエットを意識してレコーディングされたという、ロッキン・カントリー・ソング。デュエットの相手は、ブライアン・セッツァーの実生活での妻であるジュリー・レイテン!
06REALLY ROCKABILLY
ストレイ・キャッツ時代からの盟友である、スリム・ジム・ファントムがドラムを叩くロカビリー・チューン。ロカビリーの細かなジャンル分けを否定し、もっと大きなムーヴメントを作り出そうと呼びかける歌詞が痛快だ。
07ROCKET CATHEDRALS
ビー・バップ・デラックスのグラム・ロック・ナンバーを、スピーディなロックンロールにアレンジしてカヴァー。宇宙船に乗って旅をするヒーローが描かれたSF風のブッ飛んだ歌詞が、ポップな曲調と見事にマッチしている。
08MINI BAR BLUES
ドラム・マシーンのシンプルなビートに乗せて、ブライアン・セッツァーがギターを弾きまくるインストゥルメンタル・ナンバー。12弦ギターを使ったことにより生まれた、独特の奥行きあるハーモニーが美しい。
09BAD BAD GIRL
ブライアン・セッツァーが日本滞在中に書いたというロカビリー・チューン。バンジョーを使って三味線風の音色を奏でるなど、全体的にオリエンタルな味付けがなされている。日本語が続々と登場する歌詞にも注目!
10WHEN HEPCAT GETS THE BLUES
“スウィング・ジャズ通”を意味する俗語である「ヘプキャット」をタイトルに冠したスウィング・ナンバー。タイトルそのままにスウィング・ジャズの伝統を踏まえた、オールド・スタイルなサウンドが展開されており、なんとも耳に心地良い。
11BACK STREETS OF TOKYO
右チャンネルにブライアン・セッツァーの、左チャンネルに布袋寅泰のエレクトリック・ギターが置かれ、激しいバトルを繰り広げるロックンロール・チューン。世紀の共演を自らも祝福するかのような狂騒のパーティ・ソングだ。
12EVERYBODY'S UP TO SOMETHIN'
エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」の系譜に連なるファンキーなハード・ロック・チューン。細かいカッティングを織り交ぜたテクニカルなギター・プレイによって、タフなグルーヴを生み出している。
13ROCK YOUR WORLD
ブライアン・セッツァー流にブリティッシュ・ビートを解釈した、キャッチーなロック・チューン。愛する人への熱い想いをまっすぐに歌い上げたシンプルなラブ・ソングだからこそ、聴き手にもその感情が言葉の壁を越えて伝わってくる。
14THE HENNEPIN AVENUE BRIDGE
ミシシッピーに実在する橋の名前をタイトルに冠したフォーク・ナンバー。バンジョーとウクレレとチューバの素朴な音色、そしてブライアンのリラックスしたヴォーカルが、聴き手を古き良きアメリカへと誘ってくれる。