ミニ・レビュー
これが2枚目のアルバムですが、どんどん太く、さらに自分らしい歌が歌えてるなーというのが第一印象。借り物R&Bのオシャレな弱々しさとは無縁の、ベタなくらいズ太いビートと可愛らしい女性心理を歌った恋愛トピックスの数々。もっと知られていいハズ。
ガイドコメント
『ORIGINAL A.I.』に続く、デフ・ジャムからの2ndアルバム。T−KURAや今井大介、CHARなど豪華プロデューサー陣が参加した、クールなR&Bテイストに仕上がっている。
収録曲
01Intro
プリミティヴなイメージを一気に広げる、奔放かつアーシーなフェイクからスタートするイントロ。心臓の音にも似たビートとクラシカルなストリグスがひとつになったサウンドは、聴くものを異空間へと誘い込んでいく。
02E.O.
自分自身への応援歌ともいえるこの曲は、“Everything's OK”のイニシャルを冠している。ハスキーながらも、大地に根をしっかり下ろした堂々たるライミングは、聴く者を圧倒するパワーが漲っている。
03After The Rain
パワフルさの中にも、潤いあるキメ細かいサウンド・メイクはT.KURA、ミチコ夫妻によるもの。元来持っている屈強でハスキーなヴォーカルに、湿潤な艶っぽさが加わって、彼女のさらなる魅力を引き出した曲。
04100%
70年代後半のディスコ・サウンドを想起させるきらびやかなビートのなかで、ソウルフルなグルーヴを感じさせるヴォーカルがステップを踏む、高品質のダンス・チューン。洗練されたコーラス・ワークもスムース&クール!
05L'Haleine des Cordes (Interlude)
ロマンティックな空気をたたえたストリングスによるインタールード。ソウル・ミュージックとディズニーが融合したかのような音像は、A.I.が持つ幅広い音楽性に直結していく。この自由さが彼女の魅力といえるだろう。
06Breathe
日本を代表するスーパー・ギタリスト“Char”とのコラボレーションが実現したナンバー。爽やかで奥深いグルーヴを描き出すアコースティック・ギターとふくよかなエモーションを感じさせるヴォーカルが、有機的に結びついている。
07無限
ジャパニーズR&B/ヒップホップのトップ・クリエイター、Daisuke Imaiが作詞・作曲を手がけた楽曲。音数を抑えながら、しなやかなビートを体現したトラックのなかで、“自らを信じて、自分の道を歩んでいこう”というメッセージが響く。
08Say Yes、Say No
ファットなリズムと繊細なギター・フレーズがバランスよく同居した、ダンサブルにしてシックなミディアム・チューン。相手の本当の気持ちがわからず、恋愛の深みにはまっていく女の子の気持ちをリアルに映し出したリリックが印象的。
09ALIVE
心地よく16ビートを刻むギターが聴く者の身体を揺らす、大人っぽい雰囲気のダンス・チューン。ドラマティックに展開していくメロディが伝えるのは、“自由を感じて、好きなように生きな!”というA.I.らしさ全開のメッセージ。
10エンジェル (feat.BOY-KEN)
日本のレゲエ・シーンを象徴するアーティスト、BOY-KENをフィーチャー。クラブにおける“Boy meets girl”をリアル&セクシーに描いたリリックは激しくも肉体的で、オーディエンスの心と身体をムズムズと刺激する。
11I'm Sorry
繊細に積み上げられたトラックと言葉のひとつひとつにまで神経が行き届いたヴォーカルが、オーガニックに絡み合うミディアム・バラード。大切な人に対する“ごめんね”の気持ちをテーマにした歌詞からは、A.I.の意外な1面が伝わる。
12WATCH OUT! (feat.AFRA+TUCKER)
ヒューマン・ビートボクサーのAFRA、キーボード奏者のTUCKERをフィーチャーした、強靭でしなやかなグルーヴと人間の体温を感じさせる温かいサウンドによる快楽的なダンス・チューン。AFRAの驚愕パフォーマンスにぶっとべ!
13オンガクキイテ (Interlude)
美しくも儚いピアノのフレーズと繊細に震えるストリングスをバックに、幼い子供たちが楽しそうに歌を歌い、“オンガクキイテ”とメッセージする。このインタールードには、A.I.の音楽に対する真摯な気持ちがつまっている。
14Listen 2 Da Music
「オンガクキイテ」のピアノ・フレーズをそのまま使った、メッセージ性の高いナンバー。自分が音楽をやっている意味、リスナーに伝えたいこと、そして、音楽に対する深い深い愛情をまっすぐに表現したリリックが、デリケートなメロディに乗って広がる。
15Dreaming Of You
A.I.のヴォーカル表現力の強さ、豊かさを証明するバラード。広い音域、力強い声量、そして何よりも内なる感情を誰にでもわかるカタチで表出するセンスとテクニックには、本当に驚かされる。“愛してる”の気持ちをリリカルに表現した歌詞もいい。