ガイドコメント
解散が決まった時は皆が泣いた、ジザメリのシングルを集めた最後の作品。ちゃちなアンプをぶち壊す初期のノイジーなロックから、アコースティックかつメロディアスな後期まですべてがパーフェクト!
収録曲
01UPSIDE DOWN
ハウリングを起こしたかのような金切りフィードバック・ノイズが炸裂しまくりの轟音ロックンロール。どんどんエキサイティングしていくギター・ノイズと真逆に、ひたすら低温であり続けるヴォーカルがメロディの甘さを際立たせている。
02NEVER UNDERSTAND
アコースティックなセッションで聴かせるメロウなナンバー。カントリー・サウンドを基盤としながらも、後半はエレキ・ギターが壮大さを増幅するロック・バラードへと変容していき、ロック・バンドとしてのダイナミックさを見せつけてくれる。
03YOU TRIP ME UP
境界が見えなくなるほど埋め尽くされたフィードバック・ノイズの向こう側から聴こえてくるヴォーカルにひたすら身を預ける、これぞシューゲイザー・サウンドともいうべきナンバー。陰影のあるジム・リードの歌声が妙に艶っぽい。
04JUST LIKE HONEY
記念すべきデビュー・アルバムの幕を切って落とした名曲。ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」そっくりのイントロから入る甘く切ないフィードバック・ノイズの桃源郷。シンプルなコード進行と無気力なヴォーカルが、現実と夢の境界線を曖昧にする。
05SOME CANDY TALKING
60年代ポップの持つメルヘンチックなメロディをルー・リードが歌ったかのようなナンバー。夢のように軽やかなメロディをひたすら退廃的に歌うサウンドは、どこかおとぎ話のようでありながら、その奥に辛辣な毒を潜めている。
06APRIL SKIES
ドライヴしていくメロディと気怠い歌声は、もはやジザメリの様式美といった趣だが、徐々にヴォリュームを増していくギターがサウンドの輪郭をはっきりさせたりぼかしたりしていく。メロディおよびサウンド・メイキングでもセンスの良さを感じさせる一曲だ。
07HAPPY WHEN IT RAINS
疾走感のあるビートの上を骨太なギターがガシガシとコードを刻んでいくドライヴ感のあるロックンロール・ナンバー。音の輪郭のはっきりしたポップなメロディとギターの紡ぎ出すフレーズの美しさが心地良い一曲だ。
08DARKLANDS
持ち味だったフィードバック・ノイズを押さえ、クリーンなギター・サウンドを前面に押し出したミドル・チューン。軽やかなサウンドとは裏腹に、歌詞の内容は「闇の世界へ行こう」とひたすらダウナー。音がクリアになった分、心の闇が浮き彫りとなっている。
09SIDEWALKING
T.レックスを彷彿とするグラム・ロック風のメロディとインダストリアル調の硬質なビートによるダークなサウンドは、どことなく後のプライマル・スクリームのよう。とうの昔にボビー・ギレスピーは脱退したが、系譜の繋がりを見て取れるようで興味深い。
10BLUES FROM A GUN
T.レックスの「20センチュリー・ボーイ」を彷彿とさせるギター・リフからなだれ込む骨太なロックンロールの世界。地を這うようなサウンド上を飛ぶような透き通ったヴォーカルがなんとも爽やかだ。
11HEAD ON
ファズの効いた太いギター音がゴロゴロ転がっていくロック・チューン。今まで淡々と歌っていたジム・リードが珍しくサビで声を張り上げているので、その分随分とドラマティックな印象を受ける。
12ROLLERCOASTER
ジザメリがデビュー当時から持っていた暴走的なセンスとメロディアスなサウンドが理想的な形で融合した疾走感のあるロックンロール・ナンバー。後半のフィードバック・ノイズによるウォール・オブ・サウンドは圧巻の一言だ。
13REVERENCE
ダンス・ビートとフィードバック・ギターが融合したグルーヴィなナンバー。ドラッギーなサウンドと「キリストやケネディのように死にたい」という衝撃的な歌詞が、退廃ロックの極地を作り出している。
14FAR GONE AND OUT
軽やかなメロディと骨太なギターが抜群の相性を見せるポップなロックンロール・ナンバー。ギャンギャン掻きむしられるギターのフレーズの格好良さも最高だが、アルペジオの繊細なフレーズが楽曲に見事な彩りを加えているのも見逃せない。
15ALMOST GOLD
アコースティックなセッションによる幻想的なメロディが美しいナンバー。きらきら光るサウンドと気怠いヴォーカルには、ストーン・ローゼズの影もチラホラ。90年代のUKロックの熱気が如実に伝わってくる。
16SNAKEDRIVER
重々しいサウンドとメロディが重機のような速度と破壊力で突き進むヘヴィなナンバー。地を這うようなギター・ノイズと鬱屈としたヴォーカルによる暗黒のロックだが、思った以上のしなやかさでもって、リスナーに牙を剥く。
17SOMETIMES ALWAYS
マージー・スターのヴォーカル、ホープ・サンドヴァルが参加したツイン・ヴォーカル曲。アコースティック・ギターが紡ぎ出す美しいサウンドと、ロリータ・ヴォイスの相性は抜群。そこにジム・リードのヴォーカルが影となって曲の明暗を際立たせている。
18COME ON
カントリー調のサウンドを展開したオールド・ファッション風ロックンロール。肩の力の抜けたサウンドと軽やかなメロディの心地良さ。その下を脈々と流れ打つ低いベース・ラインがジザメリの持つどす黒さを垣間見せている。
19I HATE ROCK N ROLL
アルバム『マンキ』の最後を飾る、フィードバック・ノイズが凶暴な牙を剥くヘヴィなロック・チューン。同アルバムの1曲目「アイ・ラヴ・ロックンロール」とほぼ同じメロディながら、詞は「僕等らを苛めるBBCやMTVが大好きさ」と皮肉たっぷりに歌う。
20CRACKING UP
ギターはほとんど鳴りを潜め、シンプルなデジタル・ビートとピーター・フックばりの野太いベース・ラインが全体を牽引したりと、ダンス・ロック寄りのアプローチが目立つナンバー。ニューウェイヴの香り漂うサウンドと気怠いヴォーカルの相性が素晴らしい。
21I LOVE ROCK N ROLL
疾走感のあるフィードバック・ギターとポップなメロディが駆け抜けていく3分間の直球ロックンロール。今までどことなくモノクロームなイメージだったジザメリ・サウンドに、ブラスが鮮やかな彩りを加えている。