ガイドコメント
TBS系TV『世界ふしぎ発見』のエンディング・テーマでお馴染みの2曲を収録した4枚目のアルバム。クオリティの高さを実感させる音楽と、独自の奥深い詞の世界を存分に堪能できる内容だ。
収録曲
[Disc 1]
01かわりになってよ
アコースティック・ギターのストロークが爽快かつファンキーな『4FLUSHER』のスターター。「(別れた)彼女のかわりになってよ」なんて開き直った歌詞を書けるのは、日本広しといえどもスガシカオぐらいだろう。
02性的敗北
アルバム『4FLUSHER』のオープニング「かわりになってよ」から間髪入れずに鳴らされるロック・チューン。歌詞の方も「かわりになってよ」で登場した元彼女に対しての“最後の未練”といった趣きがある。弦の震えがそのまま伝わってくるかのようなベース・ラインが秀逸。
03ミートソース
シアターブルックの佐藤タイジが、ジミ・ヘンドリックスばりにエレクトリック・ギターを唸らせまくるハード・ロック・チューン。粘りつくようなクラヴィネットの音色が、ブラック・ミュージックのエッセンスを注入している。
04AFFAIR
テレビ朝日系ドラマ『愛人の掟〜あなたに逢いたくて』の主題歌。スガシカオらしからぬスッキリした印象の楽曲だが、「最後に君に一つだけ酷い言葉を」という歌詞に彼の変態的かつ天才的ひらめきが見える。
05波光
4つ打ちのピアノに絡む重厚なストリングス・アレンジが胸を締めつけるバラード・ナンバー。徐々に音を積み重ねていき、まさに“眩しいほどの光”が脳裏に浮かんでくる、後半のドラマティックな盛り上がりが白眉だ。
06ドキュメント2000〜the sweetest day of my life〜
単なる結婚ソングではなく、友人の結婚式で歌うことになった歌手を題材にしたユーモラスなナンバー。サウンドはブラック・ミュージック直系のアレンジだが、ブレイク部分のオルガンの音色で結婚式場の清純な雰囲気を演出。
07SPIRIT
力強いイントロが印象的な、黒人音楽のツボをズバリ押さえたノリノリのファンク・チューン。自身も認める明るい曲で、いつもの陰や疎外感とは無縁の、真夏を感じさせる爽やかな楽曲に仕上がっている。
08そろそろいかなくちゃ
サラリーマンが感じる日々の憂鬱と、それでも「そろそろいかなくちゃ」と自分を奮い立たせる歌詞が印象的な、大人による大人のためのブルース。右チャンネルに置かれたアコースティック・ギターの繊細なアルペジオが胸を打つ。
09たとえば朝のバス停で
音の隙間を活かしたアレンジがリラックスした雰囲気を醸し出す、ブルージィなミディアム・チューン。これまで出会った人たちへの感謝の念をユーモアを交えながら綴った歌詞が、誰にでも思い当たる心象風景を見事に切り取っている。
10青白い男
まるで都市伝説のような不気味な歌詞が想像力を掻き立てる、ロック・チューン。静と動のコントラストが不穏な空気感を強調する。ハネ気味のタイミングでバス・ドラムを鳴らし、単純な8ビートで終わらせないあたりはスガシカオの面目躍如。
11木曜日、見舞いにいく (Album Mix)
2000年8月に発表された9thシングル「SPIRIT」のカップリング曲を『4FLUSHER』用に再ミックス。“死”と向き合うことによって未来への希望を紡ぎだしていく、切なくも前向きなレゲエ・ナンバーだ。
[Disc 2]〈SPECIAL LIVE CD〉
01これからむかえにいくよ (Acoustic Set)
97年5月発表の2ndシングル「黄金の月」収録曲のアコースティック・ライヴ・ヴァージョン。オリジナルと違ってかなりジャジィなアレンジで仕上げられている。リヴァーブが効いた開放感あふれるサウンドは、ライヴならでは。
02愛について (Acoustic Set)
97年11月発表の4thシングルのアコースティック・ライヴ・ヴァージョン。オリジナル以上に歌を前面に出した、しっとりとしたアレンジで仕上げられており、あらためてスガシカオの唯一無二な歌詞世界にどっぷりと浸らせてくれる。