ミニ・レビュー
フォール・アウト・ボーイに見出され、すでに全米で100万枚を超えるヒットとなっている1作目。エレクトロニカルでダンサブルな要素をフィーチャーしながらのポップ、エモ・パンクは、懐かしくも新鮮、そして陰鬱なグラマラスさがまた刺激的に琴線をくすぐる。
ガイドコメント
ラスベガス出身のイケメン4人組、パニック!アット・ザ・ディスコ。本作は、エレクトロでダンサブルなポップ・ロック・サウンドを武器に、全米で100万枚を超える大ヒットを記録したデビュー・アルバムだ。
収録曲
01INTRODUCTION
ラジオのチューニング・ノイズからパニック!アット・ザ・ディスコを紹介する放送が聞こえてくるという凝ったイントロ。新時代の到来を告げる、デビュー・アルバム『フィーバーは止まらない』のオープニングにふさわしいインストゥルメンタル。
02THE ONLY DIFFERENCE BETWEEN MARTYRDOM AND SUICIDE IS PRESS COVERAGE
パニック!アット・ザ・ディスコこそが音楽シーンの新たな主役であることを宣言する、不敵かつエネルギッシュなロックンロール・ナンバー。中盤で打ち込みを導入したダンス・ミュージックに転調するという凝ったアレンジが施されている。
03LONDON BECKONED SONGS ABOUT MONEY WRITTEN BY MACHINES
「僕達はウェブジンの連中の欲望の対象になっているだけ」という、自虐的なフレーズが繰り返されるポップ・パンク・チューン。バンドのお気に入りの作家であるチャック・パラニュークの『Diary』からの引用を含む皮肉っぽい歌詞だ。
04NAILS FOR BREAKFAST, TACKS FOR SNACKS
アルコール中毒の父を持つギタリスト、ライアン・ロスの実体験を基に書かれたギター・ロック・ナンバー。16ビートを正確に刻み続けるスペンサー・スミスのドラミングが、スピーディかつ躍動的なグルーヴを生み出している。
05CAMISADO
アルコール中毒のリハビリで体験する苦しみを徹底的に描いた、メロディアスなロック・チューン。歌詞の暗さとは対照的に、サウンドはおもちゃ箱をひっくり返したような楽しげなものに仕上げられており、シニカル極まりない。
06TIME TO DANCE
チャック・パラニュークの著作『インヴィジブル・モンスターズ』からインスピレーションを得て作られたミディアム・チューン。グラマラスで暴力的などこか物悲しい歌詞を、ブレンドン・ウィーリーが切々と歌い上げている。
07LYING IS THE MOST FUN A GIRL CAN HAVE WITHOUT TAKING HER CLOTHES OFF
憂いを帯びたメロディ・ラインをハードなエレクトリック・ギターに乗せて、ブレンドン・ウィーリーがファルセット・ヴォイスで歌い上げる哀愁ロック・チューン。ユーモラスなタイトルは戯曲『クローサー』の台詞からの引用。
08INTERMISSION
デジタル・ロック風のハードな打ち込みサウンドによるイントロからクラシック調の流麗なピアノ・ソロへ。パニック!アット・ザ・ディスコの音楽性の幅広さをこれでもかと見せつけるインストゥルメンタル・ナンバーだ。
09BUT IT'S BETTER IF YOU DO
映画『クローサー』におけるナタリー・ポートマンの台詞から引用された、意味深な楽曲タイトルが印象的なポップ・ロック・チューン。フラメンコ調にかき鳴らされるアコースティック・ギターが、エキゾチックな雰囲気を醸し出している。
10I WRITE SINS NOT TRAGEDIES
ダグラス・コープランドの著作『Shampoo Planet』にインスパイアされたという、結婚式の悲喜劇を描いたポップ・チューン。重厚なストリングス・サウンドが、幻想的かつカラフルな音空間を作り上げている。
11I CONSTANTLY THANK GOD FOR ESTEBAN
ガット・ギターの名手であるエステバンへと捧げられたトリビュート・ソング。さまざまな音色のギターがフィーチャーされたギター賛歌に仕上げられている。タイトルは映画『ライフ・アクアティック』へのオマージュでもある。
12THERE'S A GOOD REASON THESE TABLES ARE NUMBERED HONEY, YOU JUST HAVEN'T THOUGHT OF IT YET
ジャジィなピアノがフィーチャーされたリズミカルなポップ・チューン。ジャズ・バーで演奏されていたとしても何ら不自然ではない大人っぽいサウンドと、ポップ・パンク的な疾走感あふれるビートの組み合わせが新鮮だ。
13BUILD GOD, THEN WE'LL TALK
ストリングスとホーン・セクションがフィーチャーされた、ボードヴィル調のにぎやかなポップ・ナンバー。ブリッジ部分のメロディはミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の挿入歌「私のお気に入り」からの引用。
14I WRITE SINS NOT TRAGEDIES
アルバム『フィーバーは止まらない』収録曲中最もシアトリカルなサウンドの楽曲を、高い演奏力によって完璧に再現したライヴ・ヴァージョン。観客の大合唱と黄色い歓声からは、アメリカにおける彼らのアイドル的な人気がうかがえる。
仕様
CDエクストラ内容:アイ・ライト・シンズ・ノット・トラジェディーズ〜いつわりのウェディング (ミュージック・ビデオ)〜君がやってくれた方がいいのに (ミュージック・ビデオ)〜嘘は女の子が服を脱がずに楽しめる最上の方法 (ミュージック・ビデオ)