ミニ・レビュー
ラウド・ロック時代を経て、ヘヴィ・メタルもさらなる進化を遂げるなか、威風堂々と自身のスタイルを貫き通すさまはさすがである。14枚目のアルバムは、収録曲も(1)を除き、5分以上(9分超えも2曲)と大作が並び、そんななかドラマティックな世界を展開している。
ガイドコメント
2006年9月発表の通算14枚目となるアルバム。前作『死の舞踏』でベテランの底力を見せつけた彼らの更なる意欲作で、ブルース・ディッキンソンの王道的メタル・ヴォーカルなど、色褪せないパワフルなサウンドを展開。
収録曲
01DIFFERENT WORLDS
いかにもアイアン・メイデンらしいギター・フレーズでスタートするメロディアスなメタル・チューン。一瞬ダウナーになるブリッジから力強く歌い上げられるサビへの展開は、お約束とはいえなかなかのインパクトだ。
02THESE COLOURS DON'T RUN
静かなイントロからタイトなリズムに導かれて重厚にスタートし、パワフルなヴォーカルが楽曲を引っぱるドラマティックなナンバー。シンフォニックなムードのインスト・パートも味わい深い。
03BRIGHTER THAN A THOUSAND SUNS
いかにもアイアン・メイデンらしい劇的な展開を備えた8分半を超える大作。ゆったりと幕を開けるも、中間部では疾走パートも用意されており、静から動&激への転変がドラマティックな曲調を生み出している。
04THE PILGRIM
メロディアスなギター・フレーズに導かれてスタートするメタル・チューン。歌い出しと同時に走り出すリズム展開が実にドラマティックで、トリプル・ギターを駆使してのメロディの使い分けにも、アレンジの妙が感じられる。
05THE LONGEST DAY
不穏なムードをともないヘヴィにスタートし、徐々に盛り上がりをみせながらサビで一気に爆発する、7分半超の大作ドラマティック・ナンバー。後半の展開部では、重厚なギター・フレーズがさらにドラマ性を盛り立てている。
06OUT OF THE SHADOWS
アイアン・メイデンならではの静と動の混在、テンポ・チェンジの連続が興奮をあおる、重厚かつ劇的なナンバー。豪快にサビを歌い上げるブルース・ディッキンソンのヴォーカルが素晴らしい。
07THE REINCARNATION OF BENJAMIN BREEG
静かなイントロダクションからゆったりと幕を開け、ヘヴィなリフでスタート。そして、メタリックな重厚感を保ちながら、トリプル・ギターを活かしたインスト・パートへと展開していく、7分半にもおよぶ大作ナンバーだ。
08FOR THE GREATER GOOD OF GOD
神秘的なムードをたたえたイントロダクションを持つ、約9分半にもおよぶ長尺ナンバー。パワフルかつドラマティックに歌い上げるブルース・ディッキンソンのヴォーカルが素晴らしく、それを中間部のインスト・パートがさらに盛り上げている。
09LORD OF LIGHT
スローでムーディなイントロが明けると同時に、一気にメタリックなパワー・チューンへと転じる7分半の大作。タイトかつ力強いドラミングも見事で、シンセサイザー・ギターが炸裂するソロ・パートも重厚かつドラマティックだ。
10THE LEGACY
アコースティック・ギターのアンサンブルとトリプル・ギターによる壮大なオーケストレーションがプログレッシヴなドラマ性を生む、9分半に迫る大作。リズミックな中間部の展開がさらに劇的さを高めている。