3rdアルバム『アブソルーション』のオープニング・インスト・ナンバー。静寂の中から徐々に鳴り響いていく打楽器の音が、これから待ち受けている圧倒的サウンドの世界へと誘う。

3rdアルバム『アブソルーション』のオープニング。重低音で響くクラシカルなピアノとオルタナティヴ・ギター・ロックとの融合が、凄まじいダイナミズムを生み出している。世界が終わりへと向かっていることへの警告を壮大に歌うヴォーカルはが圧巻。

Aメロ、Bメロ、サビという、きっちりとした3部構成のミディアム・ナンバー。サビで爆発するドラマティックな展開は、日本人リスナー好みといえるだろう。重厚なギター・サウンド、エモーショナルなヴォーカルが際立っている。

前半のファルセット・ヴォイスは切なさを誘い、大きく展開するサビへの効果が絶大。さらにギター・ノイズをかぶせることで、ミューズならではの重厚なグルーヴ感を生み出している。「赦しのために歌う」極上のバラード・ナンバー。

ディストーションの豪快なリフで幕を開ける16ビート・ナンバー。サビ前のインパクトのあるブレイク、その後のゆったりとした展開はミューズの真骨頂。これほど厚みのある音にもかかわらず、高音のピアノが効果的に鳴り響き、「清涼感」がスパイスとなっている。

静寂の中のギター＆ヴォーカルで始まるミディアム・バラード。オルタナ然とした音に加え、エレクトリックかつクリアなサウンド処理が施されている彼らの音は、過去のロックを踏襲しつつも、圧倒的な「個性」の確立に成功している。

ノイズ・ギターが渦巻くインストゥルメンタル・ナンバー。タイトルは、「間奏」の他にも「15世紀にイギリスで生まれた演劇の一種」といった意味を持つが、ミューズの場合、しっくりくるのは後者。ノイジーなギターがアルバム『アブソルーション』後半の世界へといざなう。

常軌を逸したかのようなファルセット唱法しかり、根底でうなり続けるノイジーなベースしかり、タイトルと楽曲がガッチリと噛みあったヘヴィ・ロック・ナンバー。サビのメロディアスな展開は、リスナーのテンションを極限まで高めるだろう。

ヒーリング・ミュージック的な要素を持ちあわせた、美しくシンフォニックなナンバー。後半でディストーション・サウンドが割り込むが、曲の美しさが失われることはなく、むしろ「そんなに急いで大人にならないで」と叫ぶ詞世界の切なさに拍車をかけている。

アレンジ次第では“16ビートのへヴィ・ロック”で片付いてしまいそうな楽曲。しかし、ミューズならではのドラマティックなアレンジを施すことで、曲に圧倒的なダイナミズムが生まれている。弦やピアノを迷いなく注ぎ込む彼らのサウンドは、明らかに他のオルタナ・バンドと一線を画している。

「君の思い出なんて、1年分15ポンドで売ってしまえよ」という衝撃的な歌詞を、高速ビートに乗せて歌う直球ナンバー。イントロの都市の雑踏を連想させるハイ・テンションなギター・リフは、その後も要所で登場し、曲全体に切迫感を与えている。

気だるいノリから徐々にテンションを上げていき、気づいたら最高潮に達している、そんなマジックを潜ませたナンバー。ギター・ソロ後の展開は電子音が効果的に使われ、ヘヴィな中にも幻想的な部分が垣間見られる。

8ビートの打ち込みを使用したシンプルなアレンジのナンバー。彼らならではの重厚なギター・サウンドは鳴りを潜めているが、それにより伸びやかなヴォーカルのハイトーン・ヴォイスと楽曲自体の美しさが引き立っている。

疾走感あふれる8ビート・ナンバー。エモーショナルなヴォーカルとリズム隊が生み出すスピード感との化学反応により、不思議なぐらいドラマを感じさせてくれる。サビの締めくくりの歌謡曲的なコード進行は、リスナーの歌心をくすぐるだろう。

静かに流れるピアノ、伸びやかに歌うヴォーカルが切なく響く。全編を通して重厚なサウンドを展開するアルバム『アブソルーション』のラストを飾るナンバーを、こんなにも静かに切なく響かせるところに、ミューズというバンドの奥深さがうかがえる。