ガイドコメント
年末以外でのユーミンのオリジナル・アルバム発売は実に久しぶり。4月25日に先行リリースされた「7TRUTHS 7LIES」をはじめ、タイアップ曲5作品を含む強力盤だ。
収録曲
01Age of our innocence
アルバム『アケイシャ』の冒頭を飾る、スケール感の大きいロック・ナンバー。ファルセットによる浮遊感のあるヴォーカルと“嘘のない愛”を掲げた勇敢な歌詞が魅力。前半は打ち込み中心、後半は生バンド主体の演奏になる。
02哀しみをください
カントリー風ギターで始まるエスニックなナンバー。日本らしい美しい自然描写を交えながら哀しみを訴える秀逸な歌詞をはじめ、子供たちとのコーラスや上下の激しい主旋律、ラストの民族風ヴォーカルなど、聴きどころ満載。
03110°F
軽快なラテン・ナンバー。ファルセットやセクシー系、民族風など、ユーミンがあらゆる声色を披露した贅沢な1曲。松任谷正隆のアレンジだけでなく、ヴィニー・カリウタなどの一流ミュージシャンのプレイも特筆に値する。
04リアリティ
コンテンポラリーなR&Bナンバー。イントロのスリリングなジャズ・フレーズややけに低く聴こえるユーミンのヴォーカルなどが特徴的。元m-floのLISAをゲストに迎えることで、ひと味違うセクシーなテイストに。
05MIDNIGHT RUN
ややベタなサックス・フレーズで始まる、80年代歌謡風ギター・ロック・ナンバー。愛に破れた男の歌で、ユーミンがパンチの聴いたロックなヴォーカルを披露。こうしたロック曲では男性側の視点の歌詞になることが多い。
06acacia (アカシア)
のどかなアコースティック・ギターで始まるアルバム表題曲。見知らぬ町で感じた想いをそのまま綴った歌で、未来へのおぼろげな希望を見い出す。シンプルだが印象的なヴァイオリンが、明るい未来を暗示しているかのよう。
07Summer Junction
落ち着いた雰囲気のミディアム・ポップ。夏の終わりの何でもない1シーンを切り取った歌で、恋人同士の情熱的な愛が次第に薄れていく寂しさを綴る。サビの切ないメロディに、その“何でもなくない”寂しさがにじんでいる。
08TWINS
軽快な8ビート・ポップ・チューン。恋人とだんだん似てくる自分に気付き、そう遠くない別れを意識し始める切ない歌。斬新さは特にないものの、洗練されたメロディや強力にグルーヴするリズムなど、魅力あふれる1曲。
09Song For Bride
タイトル通り、新婦を祝福するチャーミングな歌。ピアノとリズム・トラックを中心としたシンプルなバッキングなので、ユーミンの表情豊かなヴォーカルを堪能できる。ファルセットで歌うサビ・メロディが実に美しい。
10Lundi
ダンス系歌謡ナンバー。恋人と別れた翌月曜の朝を舞台にした歌で、意外に早く立ち直っていく心情が綴られる。切ない曲調と裏拍を強調したバッキング演奏が特徴的。静かなイントロと間奏が曲全体にメリハリを付けている。
11So long long ago
ピアノの弾き語りで始まるバラード・ナンバー。失恋の傷から立ち直る自分とそれでも彼を待ち続ける自分を描いた歌で、大人の色気を感じさせるユーミンのヴォーカルと次第に分厚くなっていくバッキングが特徴的。
12幸せになるために
「桜坂」ほか、多くの大ヒット曲を生んだ人気TV番組『未来日記』のテーマ曲。ユーミンらしいスケールの大きい伸びやかなサウンドにシンプルなメッセージを乗せた王道のラヴ・ソング。
137TRUTHS 7LIES〜ヴァージンロードの彼方で
軽快でキャッチーなダンス・チューン。心の中の悪魔と天使をモチーフに、嘘も本当に好きな人ができれば真実に変わると歌う。ファルセットやエフェクト、地声を効果的に使い分けたカラフルなヴォーカルが聴きどころ。
14PARTNERSHIP (after)
アルバム『アケイシャ』のラストを飾る、ピアノ伴奏だけのバラード・ナンバー。日テレの“シンドニー・オリンピック”イメージ・ソングで、ともに手を取り合って歩いていこうと高らかに歌う。恋人同士の歌とも解釈できる。