ミニ・レビュー
3年ぶりのオリジナル・アルバム。曲によって多少変化はあるが、基本トラックは本人が一人で制作。ラテンっぽい曲からニール・ヤングのような曲までバラエティに富んだ楽曲が揃う。各種タイアップも多いが、淡々とポジティヴなメッセージを発信するあたりが彼らしい。
ガイドコメント
『アトリエ』以来3年ぶりとなるオリジナル・アルバム。「僕らは静かに消えていく」「メヌエット」といったタイアップ曲を中心に、本作でも唯一無二の山崎ワールドが楽しめる。
収録曲
01NAVEL
ブルース/カントリーの匂いが漂ってくるギターからスタートする、アルバムのオープニング・ナンバー。心地よく跳ねるドラム&ベース、楽曲にアクセントを与えるブルース・ハープに身体と心がワクワクと動き出す。
02ADDRESS
小鳥のさえずりのなか、いきなり飛び出してくるアコースティック・ギターと歌。ゆったりと広がっていくメロディとオーガニックな手触りのバンド・サウンドが聴く者をゆるやかにリラックスさせてくれるミディアム・チューン。
03ビー玉望遠鏡 (スコープ) (Album Mix)
高らかに響くグルーヴィなホーン・セクションと涼しげにドライヴしていく16ビートのギター・カッティングを軸にした、夏モード全開のシングル曲。夏の切ない情景を封じ込めたメロディ・ラインも、じつに彼らしい。
04僕らは静かに消えていく (Album Mix)
ピアノ、アコギ、ドラム、ベースを中心としたアコースティックなサウンドと、あまりにも儚い人生のなかで、それでも本物の幸せを探してやまない人間の本質を射抜いた歌がひとつになったバラード・ナンバー。名曲!
05陽気なゴースト
ジャズとブルース、ラグタイムといったファクターを自由に取り込んだ、どこかユーモラスな雰囲気を持つナンバー。梅津和時、青木タイセイ、片山広明という凄腕ミュージシャンたちによるホーン・セクションも、この曲の聴きどころ。
06アンジェラ
07メヌエット (Album Mix)
強い郷愁感を誘うメロディ、壮大な大地を想起させる3拍子のリズム、独特のブルースをたっぷりと感じさせてくれるヴォーカルが、山崎まさよしの音楽的幅広さを伝える1曲。アコーディオンでKyONが参加、楽曲に深みを与えている。
088月のクリスマス (Acoustic Guitar Version)
洗練されたコード感、ゆったり身を委ねたくなるリズムのなかに、情緒豊かな音階を含ませる。山崎まさよしのギター・プレイの凄さを感じることができる、アコースティック・バラード。もちろん、歌も絶品。
09十六夜 (Album Mix)
全盛期のニール・ヤングを彷彿とさせる、ブルージィにして強靭なロック感をたたえたナンバー。サウンドはあくまでもアコースティックだが、そこに込められた感情はとてつもなく大きく、深い。ハープのソロもめちゃめちゃ強烈!
10道化者のチャーリー
アコースティック・ギターとパーカッションを中心とした、シンプルで素朴なバンド構成を採用したナンバー。「道化者のチャーリー」を主人公にした歌世界には、さまざまな暗喩が潜んでいて、興味が尽きない。
11晴男
“そのままでいいさ”“心配ないさ”という真っ直ぐなメッセージが軽やかに伝わってくる、山崎まさよし流のレゲエ・チューン。聴いているうちにフッと気持ちが軽くなっていくヴォーカルにも、自然な前向き感が宿っている。
12バス停
バスを待つという、きわめて日常的な風景から、なんとなく自分の人生やら何となく上手くいかないことも多い日々を振り返る。山崎まさよしのソングライティングのひとつの本質を表わした、フォーク/ブルース・ナンバー。