ミニ・レビュー
67年発表の代表作。まるで展覧会のようにN・ヤング、S・スティルス、R・フューレイの名曲がずらりと並ぶ。過去の音楽的語法を大胆にコラージュする実験的な試みによって『ペット・サウンズ』や『サージェント・ペパーズ』に匹敵する過剰な傑作になった。
収録曲
01MR. SOUL
ウエストコースト・ロックの基盤を築いた1967年のアルバム『アゲイン』のリード曲で、ニール・ヤングの作品。ローリング・ストーンズの「サティスファクション」のリフを借用した、ワイルドなロック・ナンバー。
02A CHILD'S CLAIM TO FAME
子どもが夢見る名声をテーマにしたリッチー・フューレイによるカントリー・タッチのナンバー。エルヴィス・プレスリーらのバッキングを務めた名手ジェイムス・バートンが素晴らしいドブロ・ギターを披露している。
03EVERYDAYS
日常の風景を歌ったスティーヴン・スティルスによるサイケデリック風な作品。ジャズを連想させるようなピアノもスティルスによるもので、ノイジーなギターが効果的に使われている。後にプログレ・バンドのイエスがカヴァーしたことでも知られるナンバー。
04EXPECTING TO FLY
後に数々の録音やライヴなどで共演を果たす個性派アレンジャーのジャック・ニッチェとニール・ヤングの初共演作。幻想的な美しさが広がるめくるめくようなオーケストレーションをバックに、失恋の痛手をしっとりと歌ったナンバー。
05BLUEBIRD
意中の人を“青い鳥”に見立てたスティーヴン・スティルスの代表作。スピード感と迫力に満ちたアコースティック&エレクトリック・ギターを巧みに共存させたロック・ナンバーだ。後半登場するバンジョーがサウンドにアクセントをつけている。
06HUNG UPSIDE DOWN
「いつの日にか自由になる、そうさ僕は絞首刑……」という重いテーマを持った、スティーヴン・スティルスの作品。サイケデリックな雰囲気につつまれたナンバーで、シンプルなリズムに多重録音による重厚なギター・アンサンブルが響く。
07SAD MEMORY
リッチー・フューレイ作の自身によるアコースティック・ギターの弾き語りで、失恋の痛手を歌ったバラード。フューレイの美しいヴォーカルを支えるように、ニール・ヤングのひかえめなギターがしっとりと寄り添っている。
08GOOD TIME BOY
ドラムのデューイ・マーティンが「うまくいったら、幸せな時代の少年さ」とシャウトする、リッチー・フューレイ作のノリノリのR&Bナンバー。ホーン・セクションを大胆に導入したサウンドはサザン・ソウルを彷彿とさせる。
09ROCK & ROLL WOMAN
スティーヴン・スティルスが、後にCS&Nを結成することになるデヴィッド・クロスビーに触発されて書いた曲。息の合ったコーラスや重厚なオルガン、練られたギター・リフなどが見事に展開する、軽快かつ洗練されたロック・ナンバー。
10BROKEN ARROW
ニール・ヤング作の組曲風の大作。「ミスター・ソウル」のイントロやビートルズ公演時の歓声など、多彩な音象がカラフルにコラージュされたナンバー。エンジニアはジム・メッシーナが担当している。