ミニ・レビュー
小川明子は日本人には稀な深々としたアルトを響かせる。歌の内に宿る啄木の魂をストレートに表現した清瀬保二の曲はやはりこうした声で聴きたい。金子みすゞの詩に中田喜直が美しい旋律を付けた「ほしとたんぽぽ」に描かれた懐かしい情景も深く心に染みる。
ガイドコメント
ともに27歳で夭折した(啄木は病死、みすゞは自殺)、大正から昭和初期の2人の詩をうたった作品集。凝縮された言葉が無限の広がりを持つ詩の世界に、深々としたアルトの響きが分け入る。
収録曲
01「啄木歌集」より〜東海の/砂山の/いのちなき/はたらけど/病のごと/青空に/やまひ癒えず/浪淘汰 (らうたうさ) (清瀬保二)
02「啄木歌曲集」〜やはらかに/頬につたふ/いのちなき/病のごと/不来方の (こずかたの)/ふるさとを/はづれまで/あめつちに (高田三郎)
03「ほしとたんぽぽ」〜つゆ/たいりょう/ほしとたんぽぽ/まゆとはか/つち/おさかな/わらい/わびしいとき/わたしとことりとすずと/いぬ/つもったゆき/こころ/みんなをすきに/こだまでしょうか (中田喜直)
04初恋 (越谷達之助)