ミニ・レビュー
図らずも全曲ラブ・ソングという構成となった彼女の7作目。不自然な黒さを感じさせないナチュラルな歌声が心地よい。多くの人に支持されるのも、彼女の日本語とソウルフルなセンスの混ざり具合に無理がないからだろう。まだ21歳というのに完成された美しさを感じる。
ガイドコメント
2007年6月発表の7thアルバム。メナードのCMソングに起用された「あなたのそばで」をはじめ、「きっと永遠に」や「こんなに近くで...」などのシングル曲を中心に収録。全曲がラブ・ソングで構成されたコンセプチュアルな一枚だ。
収録曲
01こんなに近くで...
02Dream World
本人出演の「TULLY'S COFFEEバリスタズスペシャル」CM曲。アグレッシヴなアコギとパーカッシヴなアレンジが高揚感をもたらすダンサブル・チューンで、ウィスパー・ライクなサビ前と情熱的な歌唱を駆使したコーラスとの抑揚のバランスがグッド。
03Anytime
クリスタル・ケイ自身が作詞に参加したミッド・チューン。ずっと一緒にいた友達が気づいてみれば大切な存在になって……というラヴ・ソングで、思わず笑顔がこぼれるようなポップでカラフルなヴォーカル&サウンドが、こちらの気持ちまでもハッピーにさせる。
04あなたのそばで
05Cherish
崎谷健次郎作曲によるミディアム・ポップ・チューン。かつての恋人と過ごした時間を思う切なさと別の未来を生きることになった彼への感謝と幸せを願う詞を、爽やかで煌めきあるサウンドをバックにクリスタル・ケイが情感たっぷりに歌っている。
06STILL
永遠の恋人と思っていた相手を失ってもまだ忘れられずにいる心境を綴ったウィンター・ラヴ・ソング。ジワジワと込み上げる切なさを醸し出す石成正人のアコギと弦一徹ストリングスが胸を打つスロー・ナンバー。「As One」の日本語ヴァージョン。
07Butterfly's garden
水滴の音とハープシコード風のサンプリングを絶妙にマッチングさせたスロー・バラード。夢中な相手を蝶々に喩えて“どこかに飛んでいかないで、私に捕まえさせて”という恋心を綴っている。叙情的に表現されたヴォーカル・ワークも秀逸。
08きっと永遠に
09ESCALATOR
心のすれ違いで恋人へつい苛立った態度で接してしまう一方で優しさを待つずるい自分、次第に離れていく恋人……。本当に大切な相手を失ってしまう焦燥感を、エモーショナルなヴォーカルとアップ・ビートなR&Bで表現したダンサブル・チューン。
10Sugar Rain
トラックメイカーSTY制作の、キュートなミディアム・スローR&B。雨の日の相合傘が二人の距離を近づけるという幸福感をカラフルなポップ・アレンジとスウィートなヴォーカルで体現したサウンドは、愛の傘の花を咲かせているようなラヴリーさ。
11I WANNA BE
スウィートでアダルトな雰囲気のクリスタル・ケイが感じられるミディアム・スロー・ラヴ・ソング。彼女の大人の部分をより引き出したのは、作詞のmichicoによるところ。もちろんT.KuraがスムースR&Bトラックでしっかりとフォロー・アップ。
12Lonely Girl
アルバム『ALL YOURS』で多くを担当するSHINGO.S制作曲のなかで最もグルーヴィな、切なさとポップ感が見事に融合したフロア・ライクでダンサブルなラヴ・ソング。ポップなヴォーカルにもマッチした、『LOST シーズン3』インスパイア・ソング。
13Midnight Highway
SUZUKI「シボレーMW」CM曲に起用されたアッパーR&B。アクセルを踏み込むように加速する相手への気持ちを、疾走するサウンドと艶やかさや熱情を持ったヴォーカルを並走させて表現。跳ねる太いベース・アレンジが都会的でクール。
14Last Kiss
心が離れている彼に、互いのため“愛しているけれど別れを切り出そう”とするやるせなさを綴ったラヴ・ソング。ミディアムなトラックに比較的明るくポップなホーンやストリングスのアレンジを施すことで、クリスタル・ケイの切ないヴォーカルを際立たせている。