ミニ・レビュー
アメリカの5人組による約5年ぶりとなる4枚目のアルバムだが、おそらく過去を知る人は驚くだろう。ロックンロール然としたスタイルではなく、完全に新たな音像を目指した仕上がりだ。自分たち自身の姿を模索していた時間経過をそのまま表わしたというべきか。中毒的ポップさが隠れた魅力。
ガイドコメント
約5年ぶりとなる2011年3月23日リリースのアルバム。U2、ベック、ビョークらを手掛けたジョー・チカレリをプロデューサーに迎え、これまで以上にタイトでアグレッシヴなサウンドを構築。新たなるモダン・エイジを創造するにふさわしい一枚だ。
収録曲
01MACHU PICCHU
5年ぶりとなる2011年3月に発表されたアルバム『アングルズ』の冒頭曲。リード・ギターを担当するニックのデモからはじまった、新たな境地を開いたレゲエ調のナンバーだ。ジュリアン・カサブランカスのエネルギッシュなシャウトが冴える。
02UNDER COVER OF DARKNESS
螺旋階段を駆け上るようなギターのアンサンブルを存分に堪能できる、陽気でコミカルなロック・チューン。ファニーなギター&ベースのフレーズをちりばめたサウンドをなぞる、ちょっぴり切ないメロディが胸に染みる。
03TWO KINDS OF HAPPINESS
浮遊感あふれるセンチメンタルなメロディと4つ打ちのドラムからスタートする、ポストロック的アプローチのロック・チューン。アグレッシヴなジュリアン・カサブランカスのシャウトと疾走感あふれるギター・フレーズが爽快だ。
04YOU'RE SO RIGHT
ダークな低音のサウンドと疾走感あふれるドラミングが緊張に満ちた空間を創り上げる、シリアスなロック・チューン。神経質な雰囲気を醸し出すヴォーカルと不協和音のコーラスやノイジーなギターの音色が、いっそう焦燥感を煽る。
05TAKEN FOR A FOOL
「ユーアー・ソー・ライト」と同じく緊張感あふれるシリアスなマイナー・コードのサウンドだが、こちらはサビでメジャー・コードのパワフルに弾けたサウンドへと展開。途中で雰囲気ががらりと変わるドラマティックなロック・ナンバーだ。
06GAMES
これまでは禁じ手としてきたシンセサイザーを大フィーチャーした、「マチュ・ピチュ」同様に新境地を開いたロック・ナンバー。哀愁漂う優しいサウンドとビシッとしたドラミングのコントラストが、より楽曲を引き締めている。
07CALL ME BACK
哀しげなヴォーカルと浮遊感あふれるコーラスやギターを中心にしたシンプルな構成のスロー・ナンバー。不協和音スレスレのコーラスとコーラスと同じフレーズを奏でるギター、そしてエモーショナルなヴォーカルが重なったラストも聴きもの。
08GRATISFACTION
これまでのストロークスには考えられなかった、分厚いコーラスがジュリアン・カサブランカスの声と並走していく異色のナンバー。爽やかなロック・サウンドが印象的で、コーラス・パートからパッと一気に開放感に満たされる。
09METABOLISM
畳み掛けるようなドラミングとシリアスなギター・フレーズ、緊張感あふれるヴォーカルが、エネルギッシュかつ悲壮感を漂わせるロック・ナンバー。タイトな4つ打ちのリズムに合わせて、こんこんと迫ってくるようなツイン・ギターが印象深い。
10LIFE IS SIMPLE IN THE MOONLIGHT
アルバム『アングルズ』のラスト・ナンバーにして、アルバム中もっとも柔らかいヴォーカルを披露する優しいメロディのロック・ナンバー。イントロの浮遊感あふれるサウンドから一転して、螺旋階段を駆け上がるような高揚感を煽るサビへの展開はインパクト大。