ミニ・レビュー
自身初となるバラード・ベスト。ヴァイオリニストの葉加瀬太郎を迎え、壮大かつドラマティックに展開される「CAN YOU CELEBRATE?」と、「SWEET 19 BLUES」は新たにヴォーカルを収録。バラディアーとしての彼女の繊細なヴォーカル・テクニックはもちろん、その感情表現の豊潤さに圧倒される。
ガイドコメント
2014年6月4日リリースのバラード・ベスト集。歴史的なバラードの代表曲となった「CAN YOU CELEBRATE?」をはじめ、これまで発表したバラード全38曲から人気上位15曲をセレクト。さらに「Contrail」のバラード版を収録。
収録曲
[Disc 1]
01SWEET 19 BLUES (New Vocal)
96年発表の2ndアルバム表題曲で、のちにシングルカットされた。映画『That's カンニング! 史上最大の作戦?』主題歌となったミディアム・スローウのR&Bチューンで、新録されたヴォーカルは抑え目。“19”歳の心情を円熟の歌唱で表現する。
02CAN YOU CELEBRATE? (New Vocal) (feat.葉加瀬太郎)
フジテレビ系ドラマ『バージンロード』主題歌として大ヒット、今なお結婚式の定番ソングとして知られる名バラード。葉加瀬太郎をフィーチャーし、ヴォーカルも新たにレコーディング。当時の弾けるような高音ではなく、じんわりと染み込む風格に満ちた歌唱が見事。
03Dreaming I was dreaming
久保こーじが作曲を手がけた97年発表のシングル。ジャズのテイストをまぶし、ピアノをサウンドの中心に据えたR&Bに。ひと言ずつ置いていくように展開する詞世界とヴォーカルは、大人びたサウンドもあいまって色気に満ちている。
04NEVER END
2000年に開催された九州・沖縄サミットのイメージ・ソングとして制作されたナンバー。近未来的なエレクトロ重視のサウンドながら、どこかアジアンなテイストを残した小室哲哉の編曲が光る。未来への希望を思わせるラストのコーラスが鮮烈。
05HimAWArI
ピアノを中心に、スクラッチなども取り入れてサウンドを構築したミディアム・ナンバー。小室哲哉がハワイで作曲したという曲で、意味深なタイトルの大文字はそれを表わす遊び心か。明るいひまわりのイメージとは対照的な、葛藤を描いた歌詞が印象的。
06think of me
ダラス・オースティンが作詞曲、編曲を手がけた2001年発表のシングル。あなたが居ない世界を憂い、今すぐに飛んで行くわと歌うスウィ-トなミディアム・バラードだ。フックをふんだんに取り入れた終盤の歌唱に胸が熱くなる。
07I WILL
葉山拓亮の手によるドリーミーなサウンドと村山達哉のストリングス・アレンジで包み込む王道バラード。安室自身が作詞を手がけており、大切な“君”への想いを綴った言葉が並ぶが、その後ろにはファンへの感謝が透けてみえる。
08Wishing On The Same Star
アメリカのポップ・シンガー、キーディが91年に発表した楽曲を日本語カヴァーした映画『命』主題歌。余白を残したサウンドとメロディが肝で、シンガー/表現者としての実力をフルに発揮。大切な人を想い、“同じ星”を見つめ歩んでいく心情を描く。
09Four Seasons
2003年に発表されたアルバム収録曲で、アニメ映画『犬夜叉 天下覇道の剣』の主題歌。アルペジオを駆使したブライトなサウンドとメロディが魅力で、愛しい人との四季の記憶を描いた切ない物語を穏やかで柔らかい印象に引き寄せている。
10ALL FOR YOU
フジテレビ系ドラマ『君が想い出になる前に』の主題歌に起用されたスロー・テンポのR&B。ドリーミーなサウンドをバックに、美しいメロディとエモーショナルなヴォーカルで二人で歩んでいく未来を歌う。どこを切ってもスウィートなナンバーだ。
11White Light
Nao'ymtをプロデューサーに迎え、2005年に発表されたクリスマス・ナンバー。大切な人と過ごすホワイト・クリスマスを歌った多幸感に満ちた物語を、コーラスも交えつつ口ずさむように軽く歌う。オシャレでポップなテイストが魅力だ。
12The Meaning Of Us
MOMO“mocha”N.とU-Key zoneのタッグによるゆったりとした8分の6拍子のバラード。二人が出会ったばかりの“あの頃”を思い返しつつ、すべてはいまこの瞬間を乗り越えるため、と綴った心温まる物語を丁寧に歌い上げる。
13Love Story
フジテレビ系ドラマ『私が恋愛できない理由』主題歌に起用された2011年発表のシングル。ドラマティックなサウンドをバックに、“生まれ変わっても愛し続けるけど 一緒にはいられない”というフレーズがずしりと胸に響く切ない大人のラヴ・バラードだ。
14Let Me Let You Go
シェリー・ペイケンが制作に参加した全英詞のバラード。ほぼピアノのみで構成されたサウンドに華麗なコーラスが映えるゴスペルにも似たシンプルなアレンジは、表現者としての魅力を問われるもの。それにしっかりと応え、見事に歌い上げている。
15TSUKI
映画『抱きしめたい -真実の物語-』主題歌となった2014年発表のシングル。青く透きとおるような荘厳なサウンドで飾ったミディアム・テンポのR&Bで、月をモチーフに“どんなに離れてもこの愛で照らしたい”と歌った切なくも温かいバラードだ。
16Contrail (Ballad Ver.)
2013年に発表されたアルバム『FEEL』収録曲のバラード・ヴァージョン。力強いエレクトロ・ナンバーだったオリジナルを、ピアノを中心に対称的といえるほど大幅にリアレンジ。それでも違和感がないのは、楽曲の芯の強さと歌唱力の高さによるものか。
[Disc 2]〈DVD〉
01SWEET 19 BLUES
02CAN YOU CELEBRATE?
03Dreaming I was dreaming
04NEVER END
05HimAWArI (New Music Video)
06think of me
07I WILL
08Wishing On The Same Star
09Four Seasons (New Music Video)
10ALL FOR YOU
11White Light
12The Meaning Of Us
13Love Story
14Let Me Let You Go
15TSUKI
16SWEET 19 BLUES (New Music Video)
17CAN YOU CELEBRATE? (feat.葉加瀬太郎) (New Music Video)