ミニ・レビュー
『黒革の手帖』エンディング曲(2)を含む美少女クラブ員の初ソロ・アルバム。バイリンガルだけあって、歌謡テイストの曲よりも英語曲(4)(7)(14)や朝本浩文のクラブ系作品(12)(13)が声によく合っている。(11)のような切ない日本語詞の楽曲も◎なので、もっと増やしてほしい。
ガイドコメント
“美少女クラブ”の一員としてデビューし、2004年6月にソロ・デビューを果たした彼女の1stアルバム。洗練されたヴォーカルと発音のいい英語の他、感情豊かな表現力からは彼女のアーティスト性の高さがうかがえる。
収録曲
01Introduction
ゴスペルの雰囲気を携えた安良城紅のスキャットが伸びやかに響いていく、とても柔らかい温もりを感じさせる楽曲。オルガンを背景に響きわたる声のハーモニーが、聴くものの心を癒してくれる。
02Here alone (Album version)
アラビアン/エスニックな旋律と妖艶なムードを携えたダンサブルなビートが鳴り響くなか、セクシーな歌声が幻想的な絵を描いていく。アラビアン・ナイトを彷彿とさせる不思議な世界が広がっていく楽曲だ。
03Harmony
沖縄県出身の母親とアメリカ人の父親を持つ安良城紅(あらしろべに)のデビュー・シングル。彼女のフェイヴァリットであるジャネット・ジャクソンやアリシア・キーズを彷彿とさせる伸び伸びとしたガール・ポップ。
04Break out
R&B/トランスという要素をミックスさせながら、身体を悩ましいほど刺激する歌を披露した全編英語詞のナンバー。まるで外国のシンガーのようなムードを振りまきながら唄う、スピリチュアルなクラブ・ナンバーといった風情だ。
05True fighter
幻惑的なイントロから幕を開けた楽曲は、歌声が乗ると同時にアラビアンなムードを描きあげていく。妖しげな様相を魅せていく曲の上で、セクシーさも携えたヴォーカルが、女の欲望をソウルフルに唄いあげている。
06Miracle (Album version)
愛は力であり喜びだ……。そう高らかに唄いあげる姿こそ、安良城紅が一番に伝えたい想い。朝本浩文が作りあげたのは、至福や開放性に満ちあふれた歌。聴いてるだけで心が癒され、穏やかな気持ちに包み込まれていく。
07Oh、happy day (Studio live version)
ゴスペル調の大合唱を背に受けながら、エモーショナルな歌声が旋律の上を心地良く舞い躍っていく。これぞ安良城紅流クワイア・ナンバー。バックのコーラス陣と歌声の掛け合いをしていくさまに心潤わされる。
08Silhouette (Album version)
性急なラテン・ビートとアコースティック・ギターの旋律を背に、情熱的なヴォーカルが恋模様を優雅に綴れ織っていく。演奏が進むにつれ高揚していく感情は、熱情的な香りを携えたこの歌が導き出した嬉しい媚薬。
09Infinite...
高く伸びる歌声を持つ彼女が、あえて低めのキーで歌ってみせたR&Bナンバー。元々、ジャネット・ジャクソンやアリシア・キーズを好んで聴いている彼女だけあって、どこか歌声もイキイキ。英語の発音のさりげなさはさすが。
10Gems
一つの夢をつかんでも、また次の夢や試練が訪れる。幸せをつかむのは、欲望が続く限り果てないゲームなのかも知れない。そんな宝石という幸せを求め続ける想いを、澄みわたる声を通しエモーショナルに歌いあげた楽曲だ。
11Daphne
冒頭のファルセットに、まずヤラれる。高音域の透明感あふれた歌声を活かした、この楽曲。新しい未来へ向かい旅立っていく女性の決意を、過去の想いを懐かしそうに振り返りながら唄いあげていく。
12Step
いきなりサビ始まりで駆け上がるよう舞い躍っていく声色が印象的なナンバー。信じれば想いはかなう。だから明日はあるんだから……。そんな弱さを強さへ変えていく気持ちを、高らかに唄いあげていく。
13Always
「ありがとう」。その言葉を素直に言えるくらい、幸せや愛に満たされた日々。そんな喜びを、バラード調の楽曲へ乗せ、優しく唄いかけていく。普段は力強く見える表情の奥に隠された、本音の想いが垣間見える歌。
14Give me up
マイケル・フォーチュナティの人気楽曲をカヴァー。ダンサブルなディスコ・ビートの上で、エモーショナルな歌声が広がっていく。英語が堪能な安良城紅だけに、とてもナチュラルな雰囲気で歌の世界を味わえる。