ガイドコメント
2000年末にあまりにも急に解散してしまったサニーデイ。彼らの7枚のアルバムのなかからセレクションされたベスト・アルバムが2枚同時発売。リマスタリング、リミキシングも施されている。
収録曲
01青春狂走曲
息つぎの少ない畳みかけるような歌いまわしと一定音の多いメロディが特徴的なポップ・ナンバー。いまいちとらえどころのない日常会話のような歌詞が、言葉にできない青春の高揚感やみずみずしさを見事に表現している。
02スロウライダー
中期ビートルズ的エレキ・ギターが印象的なポップ・ロック・チューン。ノリの良いリズムと微妙にウィスパー・ヴォイス風の歌声とのコントラストが特徴的。ギター・リフとユニゾンを歌うスキャット風ヴォーカルもユニーク。
03恋におちたら
晴れた日の幸福感をテーマにしたライト・ポップス。ソフトなファルセットからハリのある歌声まで、曽我部恵一の表情豊かなヴォーカルが光る。サビ部分だけモノラル風にまとめるなど、粋なミックスが施されている。
04シルバー・スター
6弦バンジョーやマーチング・ドラム風のリズムを採り入れたミディアム・ポップス。ゆったりと下降するサビのメロディとセンチメンタルな歌詞が魅力。アルバム『24時』の中でも特に人気の高いナンバー。
05baby blue
ミディアム・スローのネオ・アコ・ナンバー。バッキングはオーソドックスな演奏だが、程よい間が心地良いピアノ・ソロや物憂げな雰囲気を醸し出す曽我部恵一のヴォーカルなど、シンプルで味わい深い1曲。
06NOW
シャッフル・リズムを基調とした爽やかなポップ・ナンバー。曽我部恵一の伸びやかなヴォーカルや曲終盤での盛大なコーラスなどが聴きどころ。ロッテのCMソングであったことも手伝って、好セールスを記録した。
07恋はいつも
曽我部恵一の優しいヴォーカルが映えるスロー・ナンバー。のどかな口笛やサビの柔らかいコーラス、ムーディなギター・ソロなど、全編スムーズな仕上がりだ。初期のそれとは趣の異なるアダルトな恋愛観も垣間見られる。
08雨の土曜日
恋人と別れた後のことをテーマにした詞で、ほのかに漂う清涼感が印象的。美しいメロディと曽我部恵一の優しい歌声が相乗効果となって楽曲のクオリティを高めるなど、流行に左右されず堅実にまとめ上げられている。高品位なソフト・ロックだ。
09虹の午後に
軽快な8ビートのポップ・ロック。裏拍の多いリズミカルなメロディ・ラインとファルセットを多用した女性のようにソフトな歌いまわしが特徴的。ディレイをかけたエレキ・ギターの深い響きは、徐々に色を変えていく虹のような印象だ。
10あじさい
ストリングスを採り入れた16ビート・ポップス。暖簾(のれん)や濡縁(ぬれえん)などの純日本的な言葉を多用し、“ですます”調で統一した歌詞が特徴的。グルーヴィなベースや重めのドラムなど、多くの楽器を曽我部恵一が演奏している。
11夜のメロディ
打ち込みトラックを採り入れたラブ・ソング。アコギのアルペジオによる静かなイントロや、Aメロからポップなサビへの鮮やかな展開など、メリハリの効いたアレンジが光る。ロマンティックこの上ない歌詞も味わいどころ。
12サマー・ソルジャー
真夏の厳しい暑さと恋の甘酸っぱさを絶妙に絡ませた、ノスタルジックな歌詞が印象的なミディアム・ナンバー。アコギのアルペジオや次第に楽曲を盛り上げるストリングスなど、オーソドックスなアレンジながらも素朴で趣きのある名曲。
13若者たち
メジャー・デビュー盤のタイトル曲。同じリズム・パターンを延々と繰り返すアコギとポエトリー・リーディング風の力の抜けたヴォーカルが特徴的。“はっぴいえんど”を引き合いに評価された初期らしい素朴で味わい深い1曲。