ミニ・レビュー
活動15周年を記念して誕生したアルバム。つねに刺激しあいながら寄り添いあっていく二つのエンジンが産み出したのは、スケール感と幻想味にあふれたデジ・ポップな世界観。躍動的なトランス系ビートの上で、大人の色気を持った歌声が、人生劇を描いていく。
ガイドコメント
浅倉大介と貴水博之によるユニット、accessのデビュー15周年となる2007年7月発表のアルバム。緻密な計算の上に成り立った、クールかつエモーショナルなサウンドが展開されている。
収録曲
01Awake
うねる大胆なギター・リフに始まるスピード感満点のナンバー。ギターを中心に据えつつ、多彩なサイバー音を取り入れた音作りにキャリアが生きる。希望や夢を描く前向きな詞が、貴水博之のハイトーン・ヴォーカルで爽やかに綴られていく。
02Closet
シンセのサウンド・エフェクトを多用し、ギター・リフと絡ませた浅倉大介の才気みなぎるダンス・トランス・チューン。ささやくように歌うセクシーな貴水博之の歌声が、怪しげな音の世界を盛り上げている。新たな音楽的挑戦ともいえる作品。
03Life Goes On
トランス風のアレンジを効かせた彼ら流のロックンロール。“毎日を生きるのは大変だけど、頑張っていこうぜ”という前向きな思いを高速チューンに乗せている。TM NETWORKへの歌詞提供で知られる、小室みつ子の詞が新鮮。
04Wild in the desert
荒野のドライヴをテーマにしたデジタル・ロック。イントロにエンジン音を思わせる効果音を取り入れ、疾走感あふれるメロディへと繋げていく。風を切って突っ走る感覚を、元気に弾む貴水博之のハイトーン・ヴォイスで描き出している。
05SUMMER NIGHT BREEZER
夏をテーマにしたアップ・テンポ・チューン。あやしげな夜の雰囲気を漂わせる重低音のリズムが体内に響き、ミステリアスな恋の詞が刺激的だ。ミニ・アルバム『diamond cycle』収録曲「Stay」をアレンジしている。
06biologic engine (Instrumental)
心地よいヒーリング調から徐々にスピード感を上げ、最後は激しい音の洪水に飲み込まれるインストゥルメンタル。静と動を組み合わせた音が、神秘的な雰囲気を作っている。ハードロック調の音も差し込まれ、表情豊かな仕上がりだ。
07Gone too Soon
HIRO(貴水博之)のお経のようなラップが不思議なムードを生むアコースティック・ナンバー。カントリー調のミディアム・メロディの中に、突如銃声が響きわたると曲調は一転。サウンド・エフェクトを多様した刺激的な音に変貌するさまが巧みだ。
08Shadow over the world
ピアノの静かな演奏の中で歌われる、甘く切ないラヴ・バラード。貴水博之の伸びと透明感を持つ歌声が、曲全体に清々しい安心感を作っている。愛しい人に優しく語りかけるような歌い方に、温かく包み込まれるような安らぎを覚える。
09High and Scream
思わず踊り出したくなる情熱的なリズムのデジタル・チューン。女性コーラスとの掛け合いが、華やかで元気な雰囲気に仕上がっている。ライヴで盛り上がりそうなお祭り的な熱度が気持ち良く、コール&レスポンスも楽しい一曲だ。
10瞳ノ翼 (binary version)
SF風の効果音をところどころに差し込んだ、アップ・テンポ・チューン。緻密な計算の上に成り立つ劇的なサウンドと貴水博之の突き抜けるようなハイトーン・ヴォーカルが鮮やか。鳥が大空に羽ばたくような、壮大な音世界に誘い込む。