ミニ・レビュー
英語作品としては2年半ぶりになるアルバム。タバレスのディスコ・クラシック「愛のディスコティック」ほか、70年代ソウルの名曲をサンプリングしたダンス・ナンバーを中心に、ジェニファーの官能的なヴォーカルを際立たせる曲が並んだ極上のポップ作品。
ガイドコメント
“ダンス、ファンク、R&B、ヒップホップをすべて詰め込みミックスしたポップ・ミュージック”と、ジェニファー・ロペス自身も語るように、ヴァラエティ豊かなアルバムだ。女優をはじめとするさまざまな活動が活かされた、表情豊かなヴォーカルも魅力。
収録曲
01STAY TOGETHER
70年代後半のディスコ全盛期を思わせるオーケストラを配したゴージャスなサウンドに、ヒップホップ・ソウル仕立てのメロディが乗せられたJ-Loらしいアップ・ナンバー。クールなのにキャッチー、キュートなのにカッコイイ。
02FOREVER
“永遠に愛していたいの。この熱をあなたと感じたい”と甘く激しくささやく、情熱のラヴ・ソング。オリエンタルなフレイヴァが漂うサウンドに溶け込むような、幻想的なヴォーカルを聴かせるJ-Loの艶めかしいことといったらない。
03HOLD IT DON'T DROP IT
タヴァレスが1975年に放った「愛のディスコティック(It Only Takes A Minute)」をヒップホップ・ソウルの手法で全面に敷き詰めた、ダンス・クラシックス色の濃いアップ。華々しく響きわたるホーン・セクションには、きっと老いも若きも血湧き肉躍るはず。
04DO IT WELL
エディ・ケンドリックス「キープ・オン・トラッキン」をサンプルした曲で、同ネタ使いとなるミスター・チークス「Lights, Camera, Action!」のR&Bヴァージョンといったところ。より派手で華やかな味付けがされているのがJ-Loらしい。
05GOTTA BE THERE
マイケル・ジャクソン「キミはボクのマスコット(I Wanna Be Where You Are)」の一節をまるまるループさせたアップ。マイケルのヴォーカル・パートを含めてサンプリングされていて、まるでJ-Loと幼少期のマイケルが共演しているかのようで面白い。
06NEVER GONNA GIVE UP
アルバム『ブレイヴ』の中盤に位置し、1コーラスをストリングスのみの伴奏でとおすというクラシック的なアプローチによるミッド・バラード。艶やかな弦のサウンドと透明感あふれるJ-Loの歌声が美しく交わる、隠れた名曲。
07MILE IN THESE SHOES
遠くからおどろどろしい雄叫びが……いかにも何かが起こりそうなシネマティックなイントロが印象的。それに続いて、エレクトロ・ポップにありがちなソウル色を抑えた一本調子なヴォーカルを聴かせる、J-Loにはちょっと珍しいタイプの曲。
08THE WAY IT IS
グレイト・プライド「シーズ・ア・レディ」というカルト的な人気曲のブレイクスをサンプリングしたチューン。ネタとなった曲から引用した畳み掛けるようなドラミングによって、ヴィヴィッドなポップ風味を作り出すことに成功している。
09BE MINE
ボビー・ヘブのヒットで有名な「Sunny」のポール・モーリアのヴァージョンを引用し、ゆったりとしたグルーヴに乗って、あまりにも自分にピッタリな彼に“わたしのものになって欲しいの!”と迫るJ-Lo。この色っぽさはちょっとないぞ!
10I NEED LOVE
毎週のようにパーティ通いに明け暮れているようなクラブ・フリークの女の子が初めてホンモノの愛に目覚めたというテーマを、エレピやストリングスを使ったレトロ・テイストのサウンドでキュートに描いたナンバー。やっぱりJ-Loはかわいすぎる。
11WRONG WHEN YOU'RE GONE
己のプライドにこだわるあまりに無益な言い争いによって愛する人を失った女性の後悔の念を、切々と歌い上げる悲しきバラード。イントロから響きわたるアコースティック・ピアノの調べが凜とした美しい女性の姿を思わせる。
12BRAVE
アルバム『ブレイヴ』のタイトル・トラック。70年代に流行った典型的な4つ打ちのディスコ・ビートを、ハウス・シーンに接近させることなく現代のサウンドで品良く蘇らせたようなアップ。ドラマティックなメロディは日本を含めたアジア圏でウケが良さそう。
13DO IT WELL
アルバム『ブレイヴ』からの1stシングル曲にラッパー/俳優のリュダクリスをフィーチャーしたスペシャルなヴァージョン。リュダのパートは30秒近くにも及ぶもので、スペイン語を交えた威勢の良いラップで華を添えている。