ミニ・レビュー
近年はSKETCH SHOWなどのユニットで活動していた、高橋幸宏の、約7年ぶりのソロ・アルバム。細野晴臣や徳武弘文、スティーヴ・ジャンセン、マーク・ビアンキらをゲストに迎えつつ、エレクトロでヒューマンな世界を展開。初回盤はデジパック仕様。
ガイドコメント
2006年3月リリースのソロ・アルバム。テイ・トウワや小山田圭吾などの若手クリエーターとの親交を持つ彼が、ベテランならではの高品位なエレクトロニカ・サウンドを披露。実に約7年ぶりとなる意欲作だ。
収録曲
01SOMETHING NEW
ドイツ・フランクフルトで活動するアコースティックでエレクトロニカなデュオ、メルツのAlbrecht Kunzeが参加したオープニング・ナンバー。英語詞ながら、中間部ではシバオカチホによるスウェディッシュも飛び出してくる。
02BLUE MOON BLUE
アルバム『ブルー・ムーン・ブルー』の中でももっとも注目を浴びるであろう作品。その理由は細野晴臣が参加しているからに他ならないが、sketch showともYMOとも違う世界観がしっかりと描かれている。
03A STAR IS BORN
サンフランシスコを中心に活躍する宅録ポップ・アーティスト、ハー・スペース・ホリディことマーク・ビアンチが参加したエレクトロニカ・チューン。キッチュでポップなサウンドにキュートな雰囲気が漂うナンバー。
04IN COLD QUEUE
アルバム『ブルー・ムーン・ブルー』収録の、インタールード的なインストゥルメンタル・チューン(ヴォイス入り)。独特の雰囲気を持ったゆらゆらとした浮遊感があふれている、近年の高橋幸宏の個性が存分に出たエレクトロニカなナンバー。
05LAY MY LOVE
小気味良いカッティング・ギターは、Dr.Kこと徳武弘文によるもの。目立たないながらも、全体をバシっとひきしめ、グルーヴ感豊かなナンバーへと仕上げている功労者だ。ループさせて聴くと病みつきになる。
06I LIKE THE WRIGHT BROTHERS、BUT NO AIRPLANES
ループするアコースティック・ギターはアコースティック・ユニット、BE THE VOICEのSUZUKIによるもの。ほとんど全般にループさせて、独特の雰囲気を醸し出している。アコースティック・エレクトロニカとして、最高峰の出来栄え。
07STILL WALKING TO THE BEAT
ミニマリックなシンセサイザーとエレピが無機質感を生み出すヴォーカル・ナンバー。歌詞のテーマになっているタイトル・フレーズ、「STILL WALKING TO THE BEAT」がぐるぐるとループしていく。
08EXIT TO REALITY
インタールード的なミニマルなインストゥルメンタル・チューン。チェレスタのようなキュートな音色のシンセザイザーがループしていく中で、シンセによるストリングスがスパイス的な味付けをしている。
09SLOW TURNING OF MY HEART
アルバム『ブルー・ムーン・ブルー』のなかで、3曲あるスウェディッシュ(スウェーデン語)をフィーチャーしたナンバーのうちの1曲。ミディアム・マイナーな曲調を淡々と歌う高橋幸宏の声までもが楽器の一部になったかのようなヒーリング・ナンバー。
10WHERE ARE YOU HEADING TO?
anonymassの権藤知彦のメロディカがフィーチャーされたエレクトロニカ・ナンバー。無国籍風なヴォイスはSekiya Erikoによるもの。幾多にもユニゾンにされた高橋幸宏のヴォイスが印象的だ。
11IN THIS LIFE
ゆったりとしたビートを包括するこのナンバーは、盟友・ジャパンのスティーヴ・ジャンセンがサウンド・プロダクションを担当している。アンビエントでオルタナティヴな世界観を生み出し、本アルバム『ブルー・ムーン・ブルー』の中でもハイライト的な作品。
12ETERNALLY
Dr.Kこと徳武弘文によるアコースティック・ギターが全編にフィーチャーされたアルバム『ブルー・ムーン・ブルー』のクロージング・ナンバー。アルバム中唯一の日本語詞による曲で、「愛」を最小限に推敲したシンプルな言葉で歌っている。
仕様
CDエクストラ内容:期間限定スペシャルサイト (「BLUE MOON BLUE」PVストリーミング)初回のみデジパック仕様