ミニ・レビュー
“UKサウンドとどこかメロウなメロディを融合した新感覚のロック”を目指す、2004年結成の三人組による2枚目のアルバム。本作では重厚感が加わり、ラフ&ワイルドな魅力が顕著に。個性と言える旋律も魅力。タイトルはスペイン語で“酔っぱらう”の意味。
収録曲
01chain reaction
エスニックな打楽器の音とブラシのドラミングで幕を開けるこの曲は、ダンサブルなサウンドにサイケデリックな歌詞が載ったロックンロール。サビではヴォーカル、キムラハヤトのファルセットが美しく繊細に響く。
02satisfaction
3人が奏でるあらゆる音がアグレッシヴな疾走感に溢れている、エネルギー発散型ロックンロール・ナンバー。危うい雰囲気を漂わせている歌詞と、それを壊れたように歌い上げるセクシーな声は生唾モノ。
03ALEX IN THE WHITE ROOM
映画『時計仕掛けのオレンジ』をモチーフに書かれた一曲。全編にわたってループするギター・リフが強く耳に残る。緊迫感のあるメロディや独特の間を生かした間奏は、ブロック・パーティを彷彿とさせるほど洗練されている。
04kill myself
リラックスした雰囲気が感じられるが、どこか尖った空気をまとっているミディアム・チューン。のんびりと弾かれるギターに、独特のうねりを持ったベース・ライン。そして、緊迫感のある擦れたヴォーカルが絶妙だ。
05CLARION DEVIL
ダンサブルなドラミングが光る、自然と身体が動いてしまうロック・ナンバー。めまぐるしい場面転換を見せられているような感覚に陥る歌詞は、聴き手の精神を狂わせるに十分な毒を撒き散らしている。
06PARROT
歪んだベースと、絶妙に繰り出されるギター・カッティングが耳に焼きつくロック・チューン。同じフレーズを何度も繰り返す歌詞と、それを狂おしくかつ力強く歌うヴォーカル、キムラハヤトの声が印象的。
07Borracho
弦楽器のオリエンタルで民族的な音色が全編を彩るインスト・ナンバー。50秒という短時間で、AURORAのロック一辺倒ではない世界観が展開されている。流れの切り替え、もしくはインターバル的存在の一曲。
08RIDE ON BABY
ニューウェイヴ的要素と、ベタベタなロックンロールが絶妙に混ぜ合わさった、アップ・テンポ・ナンバー。踊れるリズムを繰り出してくるドラムと、ブイブイうねるベース、そして独特の声。三者のバランスが完璧だ。
09true romance
キャッチーなメロディを、ロックなバンド・サウンドでアレンジしたこの曲は、映画『トゥルーロマンス』をイメージして作られた。「愛」の本質を突いた、甘く切ないロマンチックな歌詞は、聴き手の涙を誘うはず。
10UP TO MY GIRL
ニューウェイヴな音色が混ざった、ポップ寄りロック・ナンバー。リズミカルで、思わず身体が動いてしまうぐらいダンサブルだが、メロディと歌詞から、人肌のぬくもりを感じられる、温かいラブ・ソング。
11the end of bright sight
AURORAとしては珍しい、4つ打ちのダンサブルなナンバー。哀愁の漂うメロディにメランコリックな歌詞が独特な雰囲気を醸し出している。打ち込みのように聴こえるドラムは、実は一つ一つ手打ち。
12Ghost Ship
疾走感と緊迫感に満ちたビート・チューン。初期衝動を剥き出しにして襲い掛かってくる骨太で力強いロックンロール・サウンドと刹那的な美しさを持った歌詞は、まさにAURORAの真骨頂といえる。
13SUPER STAR
1曲6分超の、壮大なスケール感のあるロックンロール・ナンバー。3人とは思えないほど重量感のあるサウンドが最高にカッコいい。歌に時折混ざる、突き抜けるようなファルセット・ヴォイスが狂気的。