ミニ・レビュー
電気グルーヴの石野卓球と、TOKYO No.1 SOUL SETの川辺ヒロシが奇跡の合体。お互いのルーツである、ダークでポップなニューウェイヴ色を帯びたエレクトロ・ハウスの数々は、最高にロマンティックで刺激的。卓球の歌がたくさん聴けるのもグッド。
ガイドコメント
石野卓球が、TOKYO No.1 SOUL SETのトラックメイカー、川辺ヒロシと組んだユニットの1stアルバム。ポスト・パンク、ニューウェイヴを共通言語に、大人なラウンジ・エレクトロを聴かす。
収録曲
01Black Out On Sunday Night
60年代イタリア映画を思わせるチネチッタなイントロは、まるで映画音楽の巨匠ニーノ・ロータのごとく。そこからラウンジ・エレクトロへと持っていく荒業の展開は、石野卓球×川辺ヒロシによるコンビの面目躍如。
02Into The Sound
ダフト・パンク風味のグルーヴィなサウンドを聴けば、思わず腰をくねくね動かしたくなってしまうこと間違いなし! 電気グルーヴとは一味違う石野卓球のアダルトなヴォーカリゼーションも聴きどころ。
03Bassline
Vodafone“春の端末シリーズ”のTV-CMに使われたことでも話題を集めたナンバー。シンプルながら不思議と耳に残るビートとフェティッシュな音触りに、80年代へのオマージュが見え隠れする。
04Metall Position
メタリックな金属音が、周期運動のごとく一定に保たれた力強いリズムを刻む。聴いているうちにトランス状態に入ってしまうかのような恍惚のループ感には、耳の肥えたテクノ・マニアも納得せざるを得ない。
05Constantinople
底なし沼にズブズブと引きずり込まれていくかのような、重厚なダブ・ミキシングが満喫できるトラック。“ハレ”全開の電気グルーヴとは違った一面が垣間見える、アルバム『C-46』を通して最もダーク感の強い作品。
06Oh...Tell Me...
さまざまな幾何学模様が、カラフルなグラデーションを描いて夜空を駆ける……。シンセサイザーによる繊細でスペーシーな音触りは、快感度120%。この心地良さにハマったら最後、もうどこへも逃れられない!
07Sketch For Autumn
直訳して「秋の風景」と題されたトラックは、分厚いダブ感が全編を覆い隠す1曲。エイフェックス・ツインをも想起させる、一定のリズムとビートが反復されるだけのミニマルな展開に、テクノの源流を見る思い。
08Good That You Come
46分のカセットテープに収まるようにしたというこのアルバム『C-46』の最後を飾るのは、カセットテープ全盛期の80年代へのリスペクトが感じられるニューウェイヴ風トラック。ドラマティックで壮大な展開に胸が騒ぐ。