ミニ・レビュー
20歳……大人の仲間入りして放つ記念すべきアルバム。ヒット曲(3)(12)の輝きはやはり特別だが、さりげない(11)とドラマティックに展開する(14)、バラードで見せる表情がまた印象深い。ファットなビートと日本語混じりの英詞が不思議な魅力を醸すジャム&ルイス制作(2)も注目。
ガイドコメント
通算6枚目のオリジナル・アルバム。大ヒット・シングル「恋におちたら」、CHEMISTRYとの共演曲「Two As One」のほか、海外で活躍するプロデューサーを迎えた楽曲も収録するなど、彩りに満ちた話題盤。
収録曲
01Baby Girl
日本のヒップホップ名門レーベル“FUTURE SHOCK”のプロデューサー、SUBZEROがICEDOWN名義で手掛けたR&Bチューン。スムースなグルーヴ感を基調としつつもツボを心得たポップ感覚で魅了する、アルバム『Call me Miss...』のリード・トラック。
02Kirakuni
ジャム&ルイスがソングライティング&プロデュースのシングル・トラック。本場アメリカ仕込みのR&Bというよりも、文字通り“気楽に”仕上げたアダルトさに魅せられる、高速リリックにも注目のスムースなグルーヴィ・チューン。
03恋におちたら
CX系ドラマ『恋におちたら〜僕の成功の秘密〜』主題歌。デビュー当初から保ち続けてきた純朴さが輪郭を整えて描かれた、ピュアでキュートなポップス。“心から 心から”と実直に見つめる瞳の先に、彼女のしたたかな決意が宿るラブ・ソング。
04Hero
新進気鋭のプロデューサー、AKIRAによるノスタルジック風ポップ。ヒーローは大壇上からではなく、傍にいるキミだよと語りかける心情を、オルゴール・ミュージックボックスの柔らかなアレンジで飾る可憐なナンバー。
05テレパシー
ブランディー「ザ・ボーイ・イズ・マイン」を想起させるイントロから、スムース&メロウなR&Bテイストを展開。“テレパシー”という密かな魔法の使い手の機微を、細やかでブリリアントに描いたアレンジは、河野伸によるもの。
06KTK
“君(K)の態度(T)が変わり(K)はじめてる”=倦(K)怠(T)期(K)というタイトルは、曲詞も手掛けた自身の作。めくるめく揺れる心を、急くようなカッティングのギターとストリングスでドラマチックに描く、ライト・ポップ・チューン。
07I Know
「hard to say」を始め相性の良さでは説明不要のタク(m-flo)によるプロデュースだが、「Girl U Love」の心地良く泳ぐようなスムースなグルーヴで包まれたナンバー。とはいえ、ブレイクビーツ&ポップな安定感あるアレンジ力は健在。
08nobody but you
ライト・ウインド感のあるギター・リフが展開するR&Bトラック。アルバム『Call me Miss...』にも収録の18thシングル「Kirakuni」にも通じる質感を醸し出したのは、Dr.Rのプロデュースによるもの。
09Together
「Kirakuni」と両A面のTX系『トリノ2006』テーマ・ソングは、アルバム『Call me Miss...』で本格的にコラボレイトしているICEDOWNがプロデュース。クリケイお得意の爽やかダンサブル・ポップが輝きを増して展開。
10fly to you
自身の曲「Motherland」をサンプリングして斬新な切り口を見せたプロデュースはICEDOWNによるもの。カニエ・ウェスト風の使い回しと、全体的に抑え気味のクール・ヴォイスを対比させるスタイルが秀逸なテクニック・トラック。
11きっと
淡々と流れるメロディと加減の効いたヴォーカルがかえってセンチメンタルさを煽る、ミディアム・スロー・バラード。しっとりとした情感を持った顔立ちで歌う彼女には、既に大人の貫禄さえ見えてくる成長ぶりだ。
12Two As One (Crystal Kay×CHEMISTRY)
クリケイの人懐こさとCHEMISTRYの甘過ぎないスムースな肌感が上手くマッチした、キャッチーなポジティヴ・ダンス・チューン。スクラッチを多用した、プロデューサーAKIRAのハッピー・テイストのアレンジが煌めく楽曲。
13Happy Life
AKIRAが作曲/プロデュースを手掛けた楽観性の強い陽気なナンバー。ドリカムっぽい日常性と多少狙った感のあるベタなサウンド・アレンジが、これでもかと詰め込まれている。ムズかゆくなるほどのスマイリーなナンバー。
14涙があふれても
当たりの柔らかい感触のストリングスが映える感懐深いミディアム・バラード。村山晋一郎による隙のない丁寧なアレンジが、心のツボを押さえたヴォーカルとともにすんなりと配されていて、清々しささえ残る上質感をもたらしている。