ミニ・レビュー
シンガーの夫だった故カート・コバーン(ニルヴァーナ)が頭をよぎる歌だ。ポピュラリティ十分の音ながら傷と艶の結晶化の空気がすばらしい。ビリー・コーガン(スマッシング・パンプキンズ)が5つ曲作りへ関与したが、それよか日本盤のみの(13)が秀作。
ガイドコメント
カート・コバーンがらみで何かと話題のコートニー・ラヴ。その彼女率いるホール、待望の新作は、エッジのきいたロックでありつつもポップであるという。マドンナにも劣らぬ歌唱力を聴かせる。
収録曲
01CELEBRITY SKIN
コートニーの情熱的なハスキー・ヴォイス、降り注ぐようなディストーション・ギターを前面に押し出した、アルバム『セレブリティ・スキン』の表題曲。退廃的な世界を歌いながらも、聴き手をポジティヴな気持ちにさせるパワーを備えた作品だ。
02AWFUL
「世界の輝きを私たちのものに」というメッセージと、美しいメロディが印象に残るロック・チューン。幾層にも重なる優美なギターの旋律や、後半からアグレッシヴになっていくドラミングと、サウンド面も豊潤だ。
03HIT SO HARD
少ないコードを効果的に反復させたガレージ調のチープなサウンドと、気だるそうなコートニーのヴォーカルがマッチしたスロー・ナンバー。堕落した世界をユーモアたっぷりに綴った歌詞にホールらしさが感じられる。
04MALIBU
「私が救ってあげる」と穏やかに語りかけるように歌う、コートニーのヴォーカルに耳を奪われるメロウ・チューン。繊細なギターの音色やコーラスも一貫して美麗で、マリブの海の美しい情景を見事に音像化している。
05REASONS TO BE BEAUTIFUL
低音の効いたベース・ライン、ダイナミックかつノイジーなギター・リフが響きわたる、グランジ色の強いナンバー。愛する人への異常なまでの思いを力強く歌うコートニーのヴォーカルからは、強い情念が伝わってくる。
06DYING
コートニーのささやくようなヴォーカルと、切ないメロディを紡ぐギターが流れる静かな冒頭に始まり、次第に音数が増えてメロウになっていくナンバー。「死にそうだから、お願い」というフレーズが胸に突き刺さる。
07USE ONCE & DESTROY
重低音の効いたゴリッとしたベースとアグレッシヴなドラミングが体に響く、オルタナティヴ色の強いロック・チューン。気だるいコートニーのヴォーカルと、ほどよくディストーションのかかったギターが心地いい。
08NORTHERN STAR
マイナー・コードを多用したアコースティック・ギターの切ない旋律とストリングス、深い哀しみをたたえたヴォーカルが織りなすバラード。「だけど私はあなたを待つ」と情熱的に歌うコートニーの声が胸に染み入る。
09BOYS ON THE RADIO
「お願いだから戻ってきてよ」というメッセージが込められた、優しくたおやかなロック・チューン。アコースティック・ギターの美しい音色と、祈るようなコートニーの歌声に身を委ねたくなる。詩的な歌詞も秀逸。
10HEAVEN TONIGHT
人を愛する喜びをストレートに歌った、幸福感に満ちたロック・チューン。アルペジオを多用したキラキラしたギターの旋律、美しいメロディを爽やかに歌うコートニーのヴォーカルが相まって、清らかな世界を描き出している。
11PLAYING YOUR SONG
アグレッシヴなドラミングと野太いベース音が印象に残る、ダイナミックなバンド・グルーヴを体感できるハードなナンバー。グランジ色が強いサウンドとラディカルな歌詞の世界観がマッチし、聴き手に共感をもたらす。
12PETALS
イントロから物憂げなギター・リフが響き、コートニーの美麗でメランコリックなヴォーカルが展開する。叙情的なサビのフレーズは秀逸。女性を枯れていく花に例えて、美しさと哀しみをリアルに表現した歌詞も魅力的だ。
13BEST SUNDAY DRESS