ミニ・レビュー
度重なる来日で、日本でもすっかりファンを獲得した新鋭ロック・バンドの第2作。プロデュースはマルーン5で有名なマット・ウォレス。センスの良さはさらに研かれ、最高のサウンドを構築している。ヴォーカルを中心にギミックのない正統ロック、痺れます。
ガイドコメント
2005年のデビュー・アルバム『ルースター』が高い評価を得たロック・バンドの2ndアルバム。マット・ウォレスをプロデューサーに迎え、よりグルーヴィーでモダン、力強いロック・サウンドを聴かせてくれる。
収録曲
01HOME
きらびやかなギターと抜けの良いサビが、圧倒的なカタルシスを生み出すミドル・チューン。あくまでもルースターらしい美メロを追求しつつも、より壮大なスケールのサウンドへとステップ・アップを果たした記念碑的作品。
02I COME ALIVE
現代的に進化したマンチェ・グルーヴが怒濤の勢いで渦を巻くダンサブルなロック・ナンバー。リスナーをぐいぐいと引っ張っていくヘヴィなギター・リフは数万人規模のスタジアム・ライヴに十分通用するような牽引力を秘めている。
03ONE OF THOSE DAYS
クリアなギター・カッティングと鋭角なリズムが小気味よくスパークする、ポップなロック・チューン。ドキャッチーなメロディとその上をいくサビの抜けの良さは秀逸。UK勢には珍しいアメリカン・ロックの爽やかさがある。
04EVERYTHING MOVES SO FAST
壮大なサウンドがドラマティックに展開される切ないロック・バラード。感情を込めたニックのヴォーカルの艶っぽさもたまらないが、そこに絡まり合う美麗なコーラス・ワークも極上。何度でも聴きたくなる名曲だ。
05SO LONG
WEEZERを彷彿とさせるキャッチーなパワー・ポップ。キラキラと輝くギターのリフやアルペジオ、天上まで導いてくれそうな耳馴染みのよいメロディと、どこを聴いてもハートをつかんで離さない完璧さを持つナンバー。
06MAYBE I'M RIGHT
良いメロディを良い形で届けられるようにと、丁寧に編み上げていくかのような、繊細さが見え隠れしている一曲。ロックのダイナミズムとアレンジの繊細さが上手く絡み合って、珠玉の音楽を奏でている。
07CLEAR SKIES
寄せては返す波のような、ギターのアルペジオを主体とした繊細なバラード曲。シンプルなスタイルだけに歌とメロディが際立ち、ストレートにハートに届いてきて、なんとも切ない。ルースターの歌心が集約された曲だ。
08GET UP
ザ・フーを彷彿とさせる小気味よいギターとリズムが炸裂する爽快なロックンロール。ギミックに頼らない直球のサウンドは、アドレナリンの大量分泌を即時促すような、リスナーを熱狂させること間違いなしのナンバー。
09GOOD TO BE HERE
爽快で明るいというイメージがあるルースターだが、この曲ではヘヴィなグルーヴとギター・リフを全力で炸裂させ、新たな一面を見せている。それでもメロディの良さを損なわないのは、バンドの軸がまったくぶれていない証拠だ。
10UNEXPECTEDLY
いつもよりダーティなサウンドでちょい悪なルースターを垣間見ることができる一曲。ケイレン気味のギターが炸裂するなど、若干ニューウェイヴ風のフレイヴァーが漂っているのも、彼らの新境地を感じさせる。
11IN YOUR HEAD
若干フュージョンを採り入れた感がある、ややアダルトな一曲は、彼らのルーツにあるクリームなどの影が見え隠れしている。いずれにしろ、若くして老練なところを見せてくれたりするのがこのバンドの面白いところだ。
12HALO
緩やかな疾走感を伴いながらも徐々に加速していくサウンドが、ドライヴ感を醸し出している。BPMは決して速くないが、地に足の着いた音が生み出す適度な重圧感がなんとも心地良い。カーステレオにぴったりな一曲だ。
13BREATHE
ブルージィなサウンドはどこかしらエアロスミスを彷彿とさせるが、スタジアムを湧かせられるビッグ・バンドという意味では、この符号は必然か。満員のスタジアムの隅から隅まで響きわたるような素晴らしいロッカ・バラードだ。