ミニ・レビュー
リーダーである引地洋輔がプロデュースを手がけた4枚目のアルバム。離れた場所で暮らす彼女への思いを綴ったAORナンバー「告白」など、30代になった彼らのリアルな気持ちが反映された楽曲が印象的。「夏風便り」「早春ラプソディ」など、シングル5曲も収録。
ガイドコメント
リーダーの引地洋輔がプロデュースを担当した、2008年1月発表のアルバム。真骨頂であるア・カペラ・ナンバーはもちろん、アコースティック曲やバンド・サウンドの中でも、その抜群のヴォーカル・ワークで楽しませてくれる。
収録曲
01夏風便り
過ぎ去っていった恋愛、そこで重ねられた“僕たち”の出来事を振り返るという切ない内容の詞を、軽やかでポップなサウンドに乗せたシングル曲。ビーチ・ボーイズ風のテイストをほんのりと感じさせるコーラス・ワークも、いい雰囲気だ。
02Flowers
爽やかなソウル・フレイヴァをたたえたトラック・メイキング、ハッピーな空気を生み出していくコーラス・ワーク、“愛の花”をテーマにしたリリック。心をゆったりと解放してくれる、珠玉のポップ・ナンバー。
03告白
シンガー・ソングライター、小林建樹の作曲による80年代AORテイストのナンバー。高度に練られたアレンジメント(手ざわりはすっきりとポップ)とあまりにも美しいラインを描きすメロディが、しっかりと溶け合っている。
04スプートニクの恋人
ドゥー・ワップのスタイルをしっかりと取り入れた、ソウル・テイストあふれるバラード。村石雅行(ドラム)、沖山優司(ベース)によるさりげなくも奥深いリズムのなかで、メンバーのヴォーカルが伸びやかに広がっていく。
05ココロ予報
ピアノとシンプルなビートをバックにした、ア・カペラ・ナンバー。有機的に絡み合いながら、美しい響きを生み出すコーラス、そして“ココロのままに進んでいこう”とメッセージする楽曲の世界観が、しっかりとリンクしている。
06ピリオド
メンバーのヴォーカリゼーションがたっぷりと堪能できる、純度100%のア・カペラ・ナンバー。何気ない日常に対する思いを描いた楽曲は、引地洋輔の手によるもの。30代男性のピュアネスがなんとも微笑ましく、まぶしい。
07赤い糸
リード・ヴォーカル、土屋礼央のスウィートで伸びやかな声に息を呑む、上質のミディアム・バラード。無理強いすることなくスッと響かせ合う透明感のあるコーラスが、ひっそりと恋い焦がれ続けるせつない思いを盛り立てている。
08eternal weekend〜午前0時の恋人達へ〜
ゆったりとしたスウィング感をたたえたトラックと土曜の夜のクラブ(というよりもディスコ?)を舞台にした楽曲が重なり合うミディアム・チューン。ファッショナブルなジャズ・テイストを感じさせるピアノが印象的だ。
09LIVE ラリー
リーダー引地洋輔が詞曲を手がけた、上昇テンポが痛快なウキウキ・ポップス。聴かせどころは高低緩急縦横無尽に重なり合うコーラス・ワークの絶妙さ。どこまでも明るいメロディと等身大のメッセージとあわせて楽しみたい。
10Beer Friends
久しぶりに集まった友達とビール片手に語り合う……。仕事に追われる30代男性の姿をちょっぴりコミカルに描いた、引地洋輔の作詞・作曲によるアップ・チューン。心地よい疾走感に満ちたコーラス・アレンジが楽しい。
11早春ラプソディ
12People
アコースティック・ギターの素朴な音色のなかで歌われるのは、“若者よ、小さくまとまるんじゃなくて、大きな夢を見続けよう”という強い気持ち。これもまた、30代を迎えたメンバーたちの素直な気持ちなのだろう。