ガイドコメント
イギリス・グラスゴー出身のバンド、モグワイが99年にリリースした2ndアルバム。マーキュリー・レヴのベース、デヴィッド・フリッドマンのプロデュース。
収録曲
01PUNK ROCK
メランコリックなアコースティック・サウンドの上に、イギー・ポップが「パンク・ロックとは何か」を説いた有名なインタビューをコラージュ。モグワイのパンク魂とユーモア精神が剥き出しとなったナンバー。
02CODY
スティール・ギターによる、ほんわかとしたオーガニックな空気と祈るような優しいヴォーカル、サイケデリックなギターが絶妙に絡んだ癒し系のナンバー。トロトロに溶けて、まどろみながら聴きたい。
03HELPS BOTH WAYS
叙情的なメロディをはらんだゆったりとしたアコースティック調のサウンドに、フットボールの実況中継を効果音として取り入れた斬新なアイディアが光る。モグワイらしい遊び心と実験精神が感じられるナンバーだ。
04YEAR 2000 NON-COMPLIANT CARDIA
ストレンジでフリーキーなエレクトロ・エフェクツが創り出す、幻想的かつイマジネイティヴな音世界が広がるユニークなトラック。宇宙を旅するようなトリップ感が味わえる、心地良いナンバーだ。
05KAPPA
モグワイのお家芸ともいえる、バンド・アンサンブルによる静寂と轟音のコントラストが描くドラマが楽しめる。繊細かつ大胆なアレンジと、聴く者のイマジネーションを掻き立てるストーリー性は唯一無二。
06WALTZ FOR AIDAN
ゆったりと流れるスローなテンポのなか、柔らかいアコギとキーボードがなだらかな起伏を創出。丁寧に編まれたサウンド・テクスチャーの妙が楽しめる1曲で、繊細なメロディが甘く切なく胸に染みる。
07MAY NOTHING BUT HAPPINESS COME THROUGH YOUR DOOR
寄せては返す小波のような優しく温かいサウンド・スケープが、儚い夢のような世界を描くスローなナンバー。ありきたりなヴォーカルよりも雄弁に内省的な感情を紡ぐギターの音が心を震わせる。
08OH! HOW THE DOGS STACK UP
呪術のような妖しい女声と陰りのあるピアノの音、いくつかの装飾音のみで作られたちょっとストレンジな小曲。さほどインパクトはないが、アルバム『カム・オン・ダイ・ヤング』の中ではインタールード的な役目を果たしている。
09EX-COWBOY
流麗なストリングスを配した立体的なサウンドから、徐々にノイジーかつサイケデリックな音像へと変化していくナンバー。幾重にも音を重ねていく手法は彼らの得意技で、後半の嵐のような音の洪水は飲み込まれそうなほどの迫力だ。
10CHOCKY
エレガントなワルツのようなリズムに乗って、安らかで心地よいタッチのサウンドが展開されていくナンバー。しかし、本曲でも美しくノイジーに、アンビエントにと表情を変える実験的アプローチがとられている。
11CHRISTMAS STEPS
変拍子とノイズ・ギターが絡みあうさまは、まさにカオス! アルバム『カム・オン・ダイ・ヤング』でもっとも凶暴でワイルドなこの曲があまりに鮮烈な印象を残すため、最初は他の楽曲がかすんでしまうかも。できるだけ大音量で聴いてほしい。
12PUNK ROCK / PUFF DADDY - ANTICHRIST
ムーディなトロンボーンが低く響くダークなナンバーで、混沌とした雰囲気が薄ら寒い余韻を残す。あえて、こういった癖のある曲をアルバムのラストにもってくるのが彼ららしい。反骨精神を投影したストレートなタイトルもナイス!