ミニ・レビュー
1998〜2003年に発表した曲の中から「断腸の思いで」厳選した17曲に新録曲を加えたベスト盤。オリジナル・アルバムに比べるとややうす味な印象は否めないが、一通りの代表曲は網羅されているから、これからCKBを聴こうと思っている人にはお薦めの一枚だ。★
ガイドコメント
98年の『クレイジーケンズ・ワールド』から2003年の『777』までの歴史を凝縮したベスト・アルバム。初回盤は新曲3曲入りのボーナスCDほか、豪華特典付き。
ガイドコメント
98年の『クレイジーケンズ・ワールド』から2003年の『777』までの歴史を凝縮したベスト・アルバム。初回盤は新曲3曲入りのボーナスCDほか、豪華特典付き。
収録曲
[Disc 1]
01OLDIES BUT GOODIES
ピアノとギターが良いアクセントをつけている、大人の4ビート。ここで歌われているのは父親への思い。「ごめんなさい」「愛してる」「ありがとう」で綴る思いは強力だ。「古くても、良いもの」、古いといっても気持ちは新鮮だ。
02CKBB
緊迫感で迫るヘヴィ・メタルのようなインタールードで、ベスト・アルバムの重要なアナウンスメントだ。最後の「CKB」と「ベスト」の間の空気から、このアルバムにかける思いを読み取ろう。この隙間が聴きどころだ。
03透明高速
横山剣が明るく歌う幽霊ソング。「透明高速」の道路つながりで思いついたのか、サウンドはCKB流「中央フリーウェイ」だ。「ツワンギー」はいかにも弦っぽいギターの音、「メロトロン」は鍵盤楽器のこと。
04発光!深夜族
フルートのフレーズが耳に残るボサ・ノヴァ。ベース・ラインがいわゆるボサ・ノヴァのそれではないので、少々耳慣れない感覚だ。スティーヴィー・ワンダーの「ドント・ユー・ウォーリー・バウト・ア・シング」を思い出した人、正解。
05昼下がり
Pファンクと歌謡曲の幸せな結婚だ。もちろん仲人はCKB。料理人、周兄弟にこんなにも重いビートが合うとは!! 横浜の昼下がりはこんなにも緊張感が漂っているとは思わなかった。用心して中華料理を楽しもう。
06長者町ブルース
速い4ビートにヴィブラフォンが切なく響く。港町・横浜は人種のるつぼで、懐の深い街だ。夜の街は夢の街。横山剣が惚れたのは、どうやら韓国人。名古屋の方々、ごめんなさい。ここで歌われているのは横浜の長者町です。
07ある晴れた悲しい朝
コーヒー・カラーのようなCKBのポップ・ソング。ポップスといってもJポップにあらず。軽さとは無縁で、地に足がついている。テーマは離婚。失ってから色々なことに気づく男の愚かさを、エンディングのギターで感じてください。
08OH!LANGFANG
グループ・サウンズ・サウンド。横山剣のマッシュルームは想像し難いが、ここまで来るとCKBこそミュージック・シーンのカメレオンだろう。デヴィッド・ボウイも真っ青だ。後ろで鳴っているベンチャーズのようなギターも要注意。
09香港グランプリ
香港好きにはたまらないご当地ソングで、恐ろしく速い16ビートのロックンロールだ。CKBなら空路を使わずに香港まで連れて行ってくれそうだ。横浜人が香港に惹かれる理由をクルマを通して考えてみては?
10ABCからZまで
菅原愛子のスキャットが絶好調のバリー・ギブ・サウンド。横山剣が説く愛の手管。はぐらかすような最後の「おやめになって」が、平坦ではない情愛の道の厳しさを感じさせる。それでも「ハッスル」のフレーズが気楽にさせてくれる。
11あ、やるときゃやらなきゃダメなのよ。
12Let's Go CKBB
横山剣のドスのきいたかけ声で引き締められるインタールード。CKBがあたかも目の前にいるような錯覚を覚える演出で、少しだけ素のCKBが感じることができる。息の合ったチーム・ワークの良さが頼もしい。
13タイガー&ドラゴン
男の友情が歌われている曲。友情なしではここまで来れなかったであろう横山剣の言葉が、聴く者の心を突き刺す。言葉とサウンドは辛らつかもしれないが、ハートはどこまでも優しい。湧き出るヴィブラートが感じさせる包容力は壮大だ。
14せぷてんばぁ
フォーク・ソングの雰囲気が漂うボサ・ノヴァ。横山剣の描く世界はあくまで市井から離れない。これが強みの一つだ。是非とも、この曲に出会った人には竹内まりややアース・ウインド&ファイアでなく、この「9月」を選んでほしい。
15ハンサムなプレイボーイ
疾走から小休止ありの8ビート・ロック。ハンド・クラップが男たちを焦らせる。芸者とモデルを同時に懐柔するプレイボーイは「スピーディーからスペイシー」。横山剣が描くモテ男像の行動範囲は宇宙も包括する。
16インターナショナル・プレイガール
プレイガールへの憧憬をCKBが歌う、霞みがかかったような礼節にあふれるサウンドだ。「泥棒猫」との揶揄にも敬服の念が込められる。プレイガールは国境を超える、世界中のイイ女に捧げる真のワールド・ミュージックだ。
17スポルトマティック
メンフィス・ソウルのスタックス・サウンドで金の無心をするファンキー・チューン。ここまでのしっかりとした事業計画と潔さがあれば、町の地方銀行あたりが融資してくれるはず。ウルフルズよりも信用度は高い。
18葉山ツイスト
石原慎太郎の『太陽の季節』を彷彿とさせる昭和歌謡サウンド。享楽的との批判はいかにも無粋だ。ボウリング、スキー、エレキをマスターするには相当な研鑽が必要だ。イントロから察するに、横山剣は横浜のジェームス・ボンドなのか。
19GT
2002年7月にリリースされたシングルより、ドライブにぴったりの軽快なナンバー。夏真っ盛りの昼下がりに、アメ車で海岸沿いの道を飛ばしているような気分になる、爽快感に満ちたサウンドだ。
20実演!夜のヴィブラート
中東から南米にサウンドが飛び回る。ゲイバーのママばりに横山剣が男の「夜のヴィブラート」に悲しむ女の心情を吐露する。曲の最後で「はいどうも、さよなら」。ライムスターが暴露する男の身勝手を女は許さない。
21まっぴらロック
「マシュ・ケ・ナダ」のイントロから演歌、童謡に変貌するCKBの遊び心がなんともかっこいい。時間が変えていく悲しい人間模様も、横山剣の「なんまいだぁ」で成仏するんだろう。出目金と花嫁を並列で扱うところにもセンスが光る。
[Disc 2]
01CKBB-D2
2枚目の幕開けを高らかに宣言する、速いパッセージのトゥッティが力強いインタールード。アナウンスメントはできるだけ短く明確に意図を伝えるのが重要。ここにも、才気煥発なCKBの真骨頂を見出してほしい。
02空っぽの街角
「ネヴァー・キャン・セイ・グッバイ!」に呼応してのトゥッティがおしゃれだ。エンディングのフルートに負けていないベース・ソロもかっこいい。横山剣いわく「トンネルを抜ければ月曜日」。雪国よりも粋だ。
03ブラジルの神
歌詞がないこの曲。「神」を歌うということで偶像崇拝を禁じる! との心意気だろうか? それでも、音楽はもともと立体的には見れないもの。歌詞がついたって形のないものだ! そんなことはどうでもよくなる気持ち良いボサ・ノヴァだ。
04いいね!横浜G30
マンハッタン・トランスファーを思わせるハーモニーが楽しい4ビート。内容は環境美化推進だが、説教臭くないのがCKB流。人の心に抵抗なく滑り込むメッセージ・ソングのお手本のような曲。サウンドはどこまでもフォーマルだ。
05かわいいかわいいかわいいベイビー
ピアノとホーンがやさしく包んでくれるような曲。ここで歌われているのは我が子に対する父親の愛。横山剣の愛は奥深い。最後でほっとさせてくれるのが「チュウ」という歌詞。「キス」じゃないところがCKBらしい。
06プチッ!チュウ!カフェフレッソ (Type1)
サンバのリズムでコーヒー・ソング。ブラジルの豆ならベスト・チョイスだろう。日本では商品名が曲名になるのは珍しいが、海外にはよくある。冒頭の「イイネ!」はサンプリングでないことを祈る。ギロの音はいつも意味深だ。
07プチッ!チュウ!カフェフレッソ (Type2)
多少テンポが速いボサ・ノヴァということで早飲み注意。渇いた喉にやっと出会えたカフェフレッソでも、急いで飲むべからず、とエコーのかかった美しいピアノがいさめているようだ。コーヒーはやはり大人の飲み物だ。ゆったり楽しもう。
08プチッ!チュウ!カフェフレッソ (Type3)
80年代のディスコ・ビート。緊迫した空気がドリンクのおいしさをひきたてる。是非ともレーザー行き交うミラーボールの下でステップを踏みながら飲んでいただきたいが、ダンスに気をとられてこぼさないように!
09プチッ!チュウ!カフェフレッソ (Type4)
渾身のサーフ・サウンド。サーフィンといえば夏。カフェフレッソはアイスでいただくのが合うのだろう。タイトル連呼はクライアントが大喜び? 歌声は健全で、健康飲料の側面も見えてくるほど、どこまでもコマーシャルなアレンジだ。
仕様
※〈CDエクストラ〉内容:OLDIES BUT GOODIES[2]エンハンストCD