ミニ・レビュー
それぞれに留学経験があり、出会いはLAというYUKIとCICOからなるBENNIE Kのデビューアルバム。日本語のラップも含む、モダーンなダンス・ミュージック。願わくば、もっとナスティでビッチに。でもジャケットはもう少し可愛く撮ってあげてね。
ガイドコメント
ネイティヴ級のグルーヴ感とアウトサイダー感覚の歌詞が個性的な彼女たちのフル・アルバムが、今井了介のプロデュースでついに完成。YUKIとCICOの絶妙のコンビネーションをお楽しみあれ!
収録曲
01SCHOOL GIRL (東京 Ver.)
冒頭から突っ走るCICOのヴォーカルが、聴き手の高揚感を刺激する。かと思うと、YUKIのシリアスな歌声がピタッと空気を引き締める。シンガーとラッパーのコンビが絶妙に機能した、彼女たちの代名詞的作品だ。
02Sunshine
ノリノリのビート・マシーンとうねるベース・ラインが耳を惹きつけるが、ただのムード・ソングにならないのは、シンガーYUKIのメッセージ性にあふれるヴォーカルゆえ。音楽に本気で向き合う姿が伝わってくるナンバー。
03NAI
シンプルなリズムの上を、縦横無尽に駆け巡るCICOのラップは圧倒的な存在感を誇る。本場アメリカで習得したというそのラップ・スタイルはさすがの一言。形だけのラッパーとは一線を画す本物の音を堪能できる。
04SILENCE
アコースティック・ギターを主体に、ジャジィな鍵盤の音が隙間を埋める。タイトル通りの、“沈黙の”世界を描き出すのはYUKIのヴォーカル。細く弱々しい声で、見事な感情で表現してみせてくれる。
05Hole In Da Tribe
中東風のメロディにラテン風のギターを合わせたような一風変わったこの曲も、アメリカでの音楽修行の成果かもしれない。決してアイディアだけで終わらず、終始一貫したイメージを作り上げている、彼女たちの実力が伝わる作品。
06最終決戦
世の中の悪と影を浮き彫りにする社会的な楽曲。自分たちを取り囲む環境への敏感な反応が、彼女たちの長所の1つだ。YUKIとCICOのダブル・ヴォーカルの息もピッタリで、曲の世界をより立体的に表現している。
07理由1 (Interlude)
雷の音と静かな雨の音に始まり、やがて鳥の鳴き声が響きわたる。たった21秒のインストゥルメンタル曲であるが、その中にさえ1つのメッセージと世界を作り出してしまえるのは、紛れもない実力。彼女たちのセンスの高さがうかがえるインタールード。
08Melody〜night fly〜
デビュー・シングル曲のアルバム収録ヴァージョン。リズム・マシーンを主体とした曲だが、対照的なダブル・ヴォーカルのぶつかり合いや音のメリハリの良さが、バンドにも通じるダイナミズムを作り上げている。
09タイトルコール (Interlude)
ゆったりとしたベースとムード作りに専念したドラムの上を、自由に歩き回るヴォーカルが面白い。抑えきれない願望と豊かな発想力を感じさせる。1分強の小曲ながら、決して軽くは聴けないエネルギーに満ちている。
10Crazy Day
地を揺らすような重低音ベースが心地よいヒップホップ・ナンバー。完全に突き抜けているCICOのラップに身を委ねるのも気持ちのいいもの。彼女たちのクラブ・シーンに対する考えが歌われていて、そちらも興味をそそられる。
11P-DAD
YUKIのヴォーカルを主軸に、ポップに仕上げた曲。CICOのラップは厚いベース・ラインと絡まって、上質なスパイスとなっている。BENNIE Kのユニットとしての強さが感じられる。
12Superdome
エレクトロ・サウンドに重たいベースとドラムが合わさって迫力満点。そんなサウンドに負けじと迫ってくるCICOの気合入りまくりのラップも圧倒的だ。CICOとせめぎ合うYUKIのヴォーカルもさすがだ。