ミニ・レビュー
97年にFolderとしてデビューしたが、このアルバムがソロ・ファースト・アルバムになる。今の時代に日本で育った19歳の等身大のR&Bと言える仕上がりで、優男テイストが美味か。全体的にかなり軽い感触だが、もしかしたらそこが魅力なのかもしれない。
ガイドコメント
2006年1月発表の1stソロ・アルバム。既発の4枚のシングル曲をはじめ、彼の高い歌唱力と抜群のリズム感を堪能できるグルーヴィーなダンス・チューンが満載。17歳とは思えないほどクオリティが高い。
収録曲
01I'm Back〜the theme of D-ROCK with U〜
「I'm Back」というタイトル通り、音楽シーンへの帰還を高らかに宣言するオープニング・ナンバー。ダイナミックに舞い上がる歌声からは、三浦大知というシンガーが持つ高いポテンシャルが充分に感じられる。
02I-N-G
2000年代のR&Bの最突端をダイレクトに伝える超ハイクオリティなトラックに、日本語のリリックを完璧なバランスで乗せることに成功したダンス・チューン。未来に向けて突き進む意志を反映させた歌詞もとんでもなくクール。
03No Limit
宇多丸(RHYMESTER)をフィーチャーした4thシングル。エレクトロニックなビートと激しく歪んだギター・サウンドがひとつになったトラックもきわめて刺激的で、聴いているといつの間にか身体が動き出してしまいそう。
04Make It Happen
幾重にも重ねられたコーラス・ワークにグイグイと引き込まれる、ミディアム・チューン。“自分には何かができるはず”という期待と“何をやったらいいかわらない”という焦燥感がクロスするリリックが、めちゃくちゃリアル。
05Southern Cross
異なる手触りのリズムを緻密に組み立てることで、奥深く、シックなグルーヴ感を生み出すトラックが絶品。決して派手さはないが、聴き返すたびにどんどん引き込まれていくメロディ・ラインもきわめて魅力的な3rdシングル。
06Keep It Goin' On
オーガニックなソウルネスと現代的な強さをたたえたビートを融合させた、ソロ・デビュー曲。トラックのなかで自由にステップを踏み、広い音域を活かしながらオクターブを駆け抜けていくヴォーカルは、衝撃的なまでに素晴らしい。
07Open Your Heart
心地よく16ビートを刻んでいくギターのカッティング、弾けるようにドライブしていくビート、繊細なコード感をたたえたピアノ。コアな音楽ファンも唸らせるであろう質の高いアレンジにやられる、ソウル・テイストのナンバー。
08Knock Knock Knock
“Knock Knock Knock”というコーラスが快楽的な空気を描き出す、ミドル・バラード。好きな女の子のことを深く想い、“君へのドア”をノックしたいと願う、切ない恋愛モードを映し出したリリックもステキ。
09Word!
ギリギリまで音数を抑えながら、ダーク&ディープなムードを映像的に表現することに成功したヒップホップ・テイストのナンバー。メロディック・フロウ的なテクニックを駆使したヴォーカリゼーションが新鮮。ホント、センスいい。
10Free Style
ガシガシと前に向かって突き進んでいくビート、激しさと派手さを両立させたサウンドのなかで歌われるのは、“誤解はさせておけばいい、やりたいようにやるんだ”という意志。彼のなかに秘められた強い気持ちが感じられる2ndシングル。
11Stay
強大なスケール感をたたえたハイトーン・ヴォイス、しなやかなビートを感じさせる表現力、きわめて正確なピッチ。彼のヴォーカル力の高さがまっすぐに飛び込んでくる、ミディアム・チューン。大サビの気持ちよさは、ホントに爽快この上ない。
12Bad Day
アルバム『D-ROCK with U』のなかで唯一、ダウナーな気分をはっきりと反映したナンバー。ヘビィ&デンジャラスなイメージを持つトラックのなかで、攻撃的・厭世的な気分を打ち出したリリックが並ぶ。こういう三浦大知もまた、魅力的だ。
1317 Ways
歌いたかった、それだけなんだ……。17歳の三浦大知が等身大の自分をオープンに表現したラスト・ナンバー(彼自身が作詞に参加)。アコースティックなサウンドのなかで、歌に対する強い思いを描いている。