ミニ・レビュー
カナダ出身のブルー・アイド・ソウル系SSWのデビュー作。すでにヨーロッパでヒットした(3)をはじめ、キャッチーなメロと少しハスキーな歌声、ミッチェル・フルームのポップな中にも一捻りある音作りが鮮やかな、ジェイムス・ブラント・ファンにもお薦めの一枚。
ガイドコメント
美しいピアノのメロディにハスキー・ヴォイス。楽曲はどれも一度聴いたら忘れられないほどキャッチー。そんなカナダ出身のピアノ・マン、ダニエル・パウターの日本デビュー盤。
収録曲
01SONG 6
独特のハスキーなヴォーカルに、まず何よりも耳を奪われてしまう。そして、このキャッチーなメロディと、心地よくグルーヴするサウンド……。新世代シンガー・ソングライター、ダニエル・パウターの豊かな才能にあふれたアルバムのオープニング・チューン。
02FREE LOOP
いちはやくダニエル・パウターの才能に気がついたヨーロッパの各国チャートで、シングル・ヒットを記録しているナンバー。歌いだしから非常にメロディアスかつ印象的な旋律で、グッと心をわしづかみにされてしまう。
03BAD DAY
デビュー・アルバムからの第1弾シングルとしてヨーロッパ各国で大ヒットを記録、ダニエル・パウターの名を一躍世間に知らしめた記念碑的なナンバー。ついてない人へ向けた応援歌的な歌詞を、一度聴いたら忘れられない印象的なメロディで歌い上げている。
04SUSPECT
かなりアグレッシヴなナンバー。扇情的なサウンドに乗り、ダニエル・パウターの特徴であるハスキー・ヴォイスが激しく迫ってくる。プロデュースを担当したミッチェル・フルームとジェフ・ドーソンの貢献が大きい作品だ。
05LIE TO ME
ストーリー性のある歌詞に、キャッチーでヒップなメロディ……まさに会心の仕上がりだ。それにしても、ダニエル・パウターの声はなんて高いんだろう。非常に個性的なヴォーカルであり、それが大きな魅力にもなっている。
06JIMMY GETS HIGH
デビュー・アルバムからシングル・カットされ、ヨーロッパでヒットを記録したナンバー。シンガー・ソングライターでありピアニストであるダニエル・パウターらしい曲で、どこかエルトン・ジョンあたりを彷彿とさせる雰囲気もある魅力的な作品だ。
07STYROFOAM
愛を失った女性の視点で描かれた、なんとも哀しげなナンバーだ。タイトルは“発泡スチロール”のことで、「今のわたしは発泡スチロールみたいにありふれた存在」と、自分を蔑む内容。美しいメロディが、余計に哀しい。
08HOLLYWOOD
カナダ出身ながら、音楽制作の拠点をロサンゼルスに置くダニエル・パウターだけに、この曲は地元における身近な出来事を歌ったものなのだろう。曲調的には、弾けるようなポップ・チューンで、シングル・カットしたらヒットしそうなキャッチーさがある。
09LOST ON THE STOOP
とても美しいメロディを持ったバラード・ナンバー。どこかビートルズっぽいテイストも感じさせる曲調やアレンジ、演奏で、ダニエル・パウターがヨーロッパで人気が高いのも、この曲を聴くと十分納得できる気がする。
10GIVE ME LIFE
10代のころに影響を受けたというプリンスをちょっぴり彷彿とさせるような曲調と歌い方。クールなファンク・ビートに導かれ、淡々と進行していく感じも、いかにもプリンス譲りといった雰囲気だ。スペイシーなアレンジも抜群。
11STUPID LIKE THIS
デビュー・アルバムにボーナス・トラックとして追加収録されたナンバー。最後に聴くのに相応しい、味わい深いバラードで、ピアノの弾き語りに、キーボードによるオーケストレーションが被さり、余韻を残したまま終わっていく。