ミニ・レビュー
多作なトリオだが、フル・アルバムとしては3作目といえる。いい意味で日本語に聴こえないほど楽器の音と曲の流れに溶け込んだ歌。もちろん美旋律のロック・ミュージックだが、英国ニューウェイヴ譲りの歯切れのいい音も功を奏した、すがすがしい一枚。
ガイドコメント
2006年3月リリースの3rdアルバム。「Melodic Storm」や「Discography」などの既発シングル曲を含む全10曲を収録。これまでの作品に比べ、ロックらしい高揚感やスケール感を一層増した会心の作。
収録曲
01The Novemberist
静かなイントロから一転、かき鳴らすようなギターとシンセが印象的なミディアム・ナンバー。英語詞と日本語詞の混ざった、壮大な世界観を持つ詞を歌うホリエのヴォーカルが、楽器の一部のように耳なじみよく響く。
02Melodic Storm (DEAR EDIT)
楽器それぞれが主張して調和しているというまさに「Melodic Storm」なアレンジが秀逸。せつなくもさわやかなメロディを歌い、思いを伝えようとするホリエのヴォーカルが引き立つナンバーで、ラストのコーラス・ワークの盛り上げも絶妙だ。
03Blue Sinks In Green
激しいイントロからテンションがあがる、疾走感あふれるアッパーなナンバー。印象の変わる哀愁漂うメロディアスなサビへの急展開もおもしろい。弾きまくるギター・ベースがかっこいい、ポップ・パンクだ。
04Dead Head Beat
苦しい胸のうちをぶちまけるように英詞を叫ぶホリエの高音ヴォーカルが、せつなく胸を締めつけるナンバー。不安をあおるようなギターの美しいアルペジオが耳に残って、感情的な曲をいっそう盛り上げている。
05Sad Code
マーチのようなリズムと「Sad Code」のせつないギター・メロディからはじまるミディアム・バラード。恋人との別れをつづった悲しい詞と壮大なメロディがマッチして、聴けば聴くほど味の出るナンバーだ。
06The Remains (DEAD EDIT)
歯切れよいギター&ベースと疾走感あるメロディアスな曲調に絡みつくヴォーカルが魅せる、ストレイテナーらしいキャッチーなロック・ナンバー。未来への希望を感じさせるサビのつきぬけていくような開放感は、聴き手を病みつきにさせるのに十分だ。
07The Nowarist
“WEEZER+グリーン・デイ”のようなせつなげなメロディが美しい、ポジティヴなパンク・ナンバー。さわやかなホリエのヴォーカルは、“いまを生きる”というポジティヴな思いにあふれているように感じられる。
08Tornado Surfer
タイトなリズムと骨っぽい音、詩的でニヒリズムに満ちた不思議な詞世界、情感たっぷりなホリエのヴォーカル……といった、ちょっとブルージィなパンク・ナンバー。全体的にミッシェルガンエレファントを思わせる雰囲気が漂う一曲だ。
09Discography
エッジの効いたギターが印象的な前半から、徐々にシンセサイザーを効かせ、気がつくとエレクトロ・ロックに変化していく展開が見事。アンダーワールドを思わせるフレーズが盛り込まれるなど、ストレイテナーの幅の広さをあらためて感じる作品だ。
10Farewell Dear Deadman
シンプルなアレンジで泣きメロをきっちり聴かせるミディアム・ロック・ナンバー。哀愁漂うヴォーカルが、アルバムのタイトルにもなっている“DEADMAN”への別れの言葉を紡いでいる。サビの重厚なコーラス・ワークがせつなさをいっそう引き立てている。