ガイドコメント
大滝詠一が提供した楽曲を自身が歌唱したアルバム。小泉今日子「快盗ルビイ」や吉田美奈子「夢で逢えたら」、小林旭「熱き心に」、ラッツ&スター「Tシャツに口紅」などの他アーティストの人気&ヒット曲をセルフ・カヴァーしている。
収録曲
[Disc 1]
01熱き心に
小林旭のために書き下ろした同名曲のセルフ・カヴァー。小林の雄雄しい歌声とは対照的に、大滝特有の鼻にかかった色気をたたえた声で北の国での物語が展開していく。小林よりも線は細いかもしれないが、歌いっぷりは負けていない。
02うれしい予感
アニメ『ちびまる子ちゃん』のオープニング・テーマとして知られる渡辺満里奈への提供曲をセルフ・カヴァー。“いつか見ていた夢が 今日は叶うといいな”という可愛らしい歌詞をとろけるような声で歌う大滝は、オリジナルとは異なるトリップ感がある。
03快盗ルビイ
小泉今日子への提供曲にして、1988年に公開された小泉主演の同名映画の主題歌。作詞はイラストレーターにして同映画の監督である和田誠。ドゥー・ワップ・コーラスが印象的な小泉版のバックトラックの上でコミカルな表情を織り交ぜ歌い上げる。
04星空のサーカス
盟友、松本隆が作詞を手がけたラッツ&スターへの提供曲のセルフ・カヴァー。ブルーグラスとドゥー・ワップをかけあわせたかのような、大滝ワールド全開の世界観が展開されていく。コーラスはJack Tones(大滝詠一)による多重録音によるもの。
05Tシャツに口紅
松本隆が作詞を手がけたラッツ&スターの代表曲をセルフ・カヴァー。Jack Tones名義で大滝が一人多重コーラスを手がけている。オリジナルではトランペットのソロが間奏に展開されるが、本ヴァージョンではマリンバのソロが挿入されている。
06探偵物語
薬師丸ひろ子への提供曲にして、1983年に公開された薬師丸主演の同名映画の主題歌。薬師丸が歌ったヴァージョンよりキーが低くなっており、別れの気配が漂う松本隆による歌詞がより憂いを帯びて響く。間奏の泣きのギターも渋い。
07すこしだけ やさしく
1983年に発表された薬師丸ひろこへ提供したシングルをセルフ・カヴァー。松本隆が作詞を手がけている。オリジナル同様、ナイアガラ・サウンドを象徴する、多数のカスタネット隊による音の壁の厚さに驚かされる。
08夏のリビエラ-Summer Night in Riviera-
森進一への提供曲「冬のリヴィエラ」を英語詞でカヴァーし、1985年発表のコンピレーション・アルバム『SNOW TIME』にも収録された一曲。オリジナル比べキーを下げて歌っているほか、女性コーラスも参加している。
09風立ちぬ
松田聖子への提供曲を、1981年12月3日に渋谷公会堂で開催された〈ヘッドフォン・コンサート〉でセルフ・カヴァーしたライヴ・テイク。女性アイドルだからこそ生える歌詞が並ぶ曲だが、大滝による艶っぽいヴォーカルで生まれ変わっている。
10夢で逢えたら (Strings Mix)
シリア・ポール、吉田美奈子らで知られる楽曲をセルフ・カヴァー。ストリングスと大滝のヴォーカルだけで構成されたシンプルながらドリーミーなアレンジになっている。間奏のセリフを照れくさそうに喋る大滝の姿が目に浮かぶ。
[Disc 2]
01私の天竺
「私の青空」として知られるアメリカのポピュラー・ソングをニュー・オリンズのセカンド・ライン風のリズムパターンでカヴァーした一曲。間奏部ではアメリカン・トラッド「峠の我が家」のメロディを挟み込んでいる。
02陽気に行こうぜ〜恋にしびれて (2015村松2世登場!version)
リトル・リチャードによる「リップ・イット・アップ」とエルヴィス・プレスリー「恋にしびれて」のメドレー。タイトルの“村松2世”とは、リード・ギターを担当した佐橋佳幸。大滝お得意のプレスリー物まねを存分に楽しめる。
03Tall Tall Trees〜Nothing Can Stop Me
ロジャー・ミラー、ジョージ・ジャクソンの楽曲をカヴァーしたメドレー。カントリー風のリラックスしたアレンジ&セッションにあわせ、大滝が湯船に浸かってるように気持ちよく歌う姿が目に浮かぶ。ミックスを手がけたのは飯尾芳史。
04針切じいさんのロケン・ロール
アニメ『ちびまる子ちゃん』のエンディング・テーマとして知られる植木等への提供曲をセルフ・カヴァー。作詞を手がけたのは同アニメの原作者であるさくらももこ。大滝が持つコミック・ソングのセンスとさくらのコミカルな面がかっちりとはまった一曲だ。