ミニ・レビュー
“R&B”という枠を完全に越え、真摯な表現者としての第一歩を刻み始めたサード・アルバム。自らの内面をさらけだしたリリックは、現代を生きるすべての人間にまっすぐに突き刺さってくる。どことなく和的なムードを漂わせるソングライティングと奥行きを増したアレンジも、美しい。★
ガイドコメント
待ちに待った3rdアルバム。2nd以降リリースされた4枚のシングルをすべて収録。深い人間性を表現するシンガーに成長したHikki。J−POPを新しい次元に導く革新性さえ感じさせる。
収録曲
01SAKURAドロップス
02traveling
03幸せになろう
洋楽的アプローチが軽快なテンポの中で活きたナンバー。シンプルで垢抜けたピアノに、彼女独特の揺らぎの歌が馴染む前半から、韻を踏んだコーラスに重心の低いボトム・ラインへの洗練された展開が印象的。
04Deep River
3rdアルバムのタイトル曲で緩やかな流れと穏やかな耳当たりが、肌に心に沁み入るミディアム・スロー・ナンバー。傷を癒すような優しさと母なる大地のようなおおらかさに、彼女の母性的な側面が垣間見える。
05Letters
06プレイ・ボール
大胆さと繊細さの狭間で揺れ動く感情を、野球のプレイに見立ててなめらかに歌う。「Addicted to you」や「Letters」のようなニュアンスに、悲哀あるフレーズとポジティヴな要素を溶け込ませ、飽きさせない。
07東京NIGHTS
夜の到来を告げるようなオーボエやハープシコードのアルペジオが、不夜城・東京の喧騒の中で渇きを癒せる場所を求めて彷徨う姿を見事に描写。英詞と永続性や人間味ある日本語詞の交差に、普遍な時の流れを感じる。
08A.S.A.P.
イントロから続く鐘の音のサンプリングと重く太いストリングスに急きたてられるビートが、怪しい雲行きを醸し出している曲。本当は自分の気持ちを知ってほしい心寂しさを、巧みなヴォーカル・ワークで色づけている。
09嘘みたいなI Love You
骨太なロック・サウンドがベースとなって、サビでは拳を突き上げるようなスタジアム・ロックへと展開。だが、情感あふれるメロディが切なく恋しい心象を映し、彼女らしい叙情性の強いサウンドに高められている。
10FINAL DISTANCE
11Bridge (Interlude)
12光