ミニ・レビュー
シングル「POP DIVA」に加えて、『クレヨンしんちゃん』の主題歌「Hey baby!」や『お願い!ランキング』とのコラボ曲「ちょい足しLife」など、ヴァラエティに富んだナンバーを収録した通算9枚目。グルーヴィでダイナミックなサウンドに乗せて、妖しく切なく奔放に歌いつくす表現力豊かなヴォーカルは圧巻だ。
ガイドコメント
2011年にデビュー11周年目を迎える倖田來未の9thアルバム。本人出演のCMソング「Lolipop」、一途な思いを綴ったラヴ・ソング「好きで、好きで、好きで。」、別れてしまった彼への想いを切なく奏でる「あなただけが」など、ヒット曲が満載。
収録曲
01Prologue to Dejavu
9thアルバム『Dejavu』の幕を開ける1分超のイントロダクション・トラック。勇壮から幻想へとムードを展開しながら、私の既視感の世界を知りたくない? といざなう。制作はクリエイター集団Digz.inc所属のlil'showyによる。
02POP DIVA
アルバム『Dejavu』に先駆けてリリースされた49thシングル。EXILEなどを手掛けるlil'showyによるセクシーでアグレッシヴなトラックに乗せて、トップに君臨する歌姫の存在感を見せつける。覚醒を呼び起こすような変態的なビートが印象的だ。
03Lollipop
口だけな男たちを“アクセサリー代わり”と断罪する強烈な女性上位ソング。“pop、pop……”のリフレインをバックにしたエスニックなムードが漂うヴァースを経て、キャンディポップなコーラスへの展開が潔い。エロ&キュートな魅力を押し出したクラブ調R&B。
04Okay
「TABOO」などを手掛けたHIRO制作のクラブ・エレクトロ。わざと困らせるわがままにもOKしてくれる優しすぎる彼に対しての想いを綴る。言い合えない雰囲気に別れの予感を察知した女のSOSを、胸が詰まるような悲しげな歌唱で描写している。
05逢いたくて
愛の終焉を迎えても本当は逢いたい気持ちを吐露した失恋ソング。やわらかな鍵盤とストリングスで飾るメロウなR&Bで、胸が引きちぎれそうになるくらいの募る思いと感謝の気持ちをファルセットや吐息を駆使した艶っぽい歌唱で魅せる。クラシエ「いち髪」CMソング。
06Passing By
「スーパーモデル」などのヒットで知られる正統派MJフォロワー、B・ハワードが作詞曲&歌唱に参加したメロディアスなミディアムR&B。別れてもなお愛する人へ送るラヴ・ソングで、やわらかなハワードの問いかけに応える倖田の芯の強い歌唱に意志の強さがみてとれる。
07AT THE WEEK END
海外制作陣によるユーロ・ポップ風のクラブ・エレクトロ。週末に決まって連絡がつかない浮気な男に、もうこりごりと見切りをつける決別ソングだ。センセーショナルな旋律が、一度決断したら揺るがない女の怒りを表わしているよう。
08Interlude to Dejavu
9thアルバム『Dejavu』の中盤に配された、約1分弱のインタールード。雄大でオーケストラチックな雰囲気を持った映画音楽風のストーリー性を感じるトラックで、私を狂わせる“デジャヴ”の世界への第2章の幕開けを告げている。
09Melting
ビターな口どけチョコのように、二人の間にあるほろ苦いことも愛で融けていくはず……大事に愛を育てていこうというハッピーなフレイヴァのラヴ・ソング。機嫌直しはブチューな“CHU”といった、キュートなフレーズも楽しい。そごう・西武「冬市」CMソング。
10Hey baby!
アグレッシヴなクラブ・エレクトロで、作曲はラムジの井上慎二郎。アップダウンが激しい雑多感のあるサウンドのなかで、“あたしだけ見ていて!”と強烈にアピール。倖田の“攻める”姿勢で展開するテレビ朝日系アニメ『クレヨンしんちゃん』オープニング・テーマ。
11ちょい足しLife
一気に変身できず自信を持てなくても、自分らしいまま“ちょい足し”してパワーアップ! 恋をあきらめたくない女子に送る励ましのメッセージ・ソングだ。リズミカルでラヴリーなポップは、恋する勇気や前向きな気持ちを与えてくれる。
12あなただけが
NHKドラマ『セカンドバージン』主題歌起用の48thシングル。忘れられない彼との日々を思い返し、もう一度逢いたいと願う心の叫びを綴る。すれ違いばかりの恋へのいとおしい気持ちに満ちた切なすぎないメロディ・ラインが心を打つ。優しく寄り添うような歌唱も秀逸。
13好きで、好きで、好きで。
「あなただけが」との両A面の48thシングル。とにかく好きでたまらない気持ちをストレートに吐露したラヴ・バラード。純粋な気持ちを推し量ったかのように、胸が張り裂けそうな切ない旋律と情感のこもった歌唱には一点の汚れもない。クラシエ「いち髪」CMソング。
14Bambi
あなたを目の前にしたらメロメロになってしまう状態を子鹿=バンビと表わした、ハッピーな雰囲気に満ちたポップ・チューン。陽気なギターが奏でるロック・テイストのアレンジに乗せられるように、倖田のヴォーカルもウキウキと楽しげ。恋する乙女のトキメキが満載だ。
15I Don't Love You!??
好きなのに好きじゃないフリをする心の内を綴ったラヴ・メッセージ。好きだって伝えたいけど、私からは言わない! というツンデレ女子を倖田が好演。プロデュース集団SONISTA所属のShinji MoroiによるクールなエレクトロR&B。