ガイドコメント
デビュー15周年を飾る前作より3年ぶりのオリジナル・アルバム。「やさしいキスをして」「マスカラまつげ」「はじまりのla」「OLA! VITORIA!」といったヒット曲、話題曲を満載した全15曲入り。
収録曲
[Disc 1]
01DIAMOND15 THEME
ミュージカル映画のテーマ曲のように始まるオープニングは、これから起こるさまざまな音楽模様の導入部としては最適な雰囲気。洒脱で軽妙な彼らの音楽を一瞬で物語り、かつリスナーの期待感を膨らませずにはいられない。
02朝日の洗礼
冒頭の「アァーーーーーーーーッ!!」で、早くもドリカム・ワールドに連れて行かれるこの曲は、あの「決戦は金曜日」の続編的内容の歌詞。なので作曲のクレジットにも、わざわざ「もちろん中村正人」と記載されているから楽しい。
03マスカラまつげ
直接的な表現を用いるのではなく、巧みな描写でもってそれと分かる世界を聴き手に投影してみせる見事な失恋ソング。「マスカラ」と「目力(メヂカラ)」で踏む韻など、言霊使い吉田美和のセンスが随所に炸裂。春めいたサウンドも◎。
04どうぞよろしく
得意とするゆったりとしたR&Bテイストのナンバー。クオリティの高さはいうまでもないが、R&Bが持っている繊細さや切ない感情もうまく表現されていて、ジャパニーズR&Bの表現力の奥深さをも感じさせる。
05ラヴレター
さまざまな試みを経て一周した後、経験値を倍増して初期の歌詞スタイルに回帰したような趣のウィンター・ソングは、冒頭から切ないドリカム節が大炸裂。デヴィッド・T.ウォーカー、トム・スコットら超豪華メンバーが録音に参加している。
06今も
しっとりと聴かせるバラードは、いつになく吉田美和の伸びやかな歌声が映える。ストリングスを大々的に導入した作りは、往年のスタンダード・ナンバーを彷彿とさせて、なかなか興味深い試みだ。
07MUSIC TRANSFERS
ブラス・セクションが効果的に導入され、特徴的なストリングスとあいまって、ジャジィで絶妙な雰囲気を醸し出す曲。リズムは相変わらず心地よく、中村正人の音遊びも実に楽しそうに聴こえ、まさに快適このうえないナンバー。
08OLA!VITORIA!- OLチ! VICTモRIA! -
TBS『ヨーロッパサッカー2004』テーマ・ソングにもなったドリカム流アンセム。「燃えよ」、「吠えよ」とアニマル浜口ばりに煽り立てる勇ましい曲調から一転、終盤数十秒ではクラブ・サウンド風のチルアウトな曲調が、とても技あり。
09イノセント
重厚感のあるサウンドをバックに、どっしりとしたリズムが脈打っている。それに伴い、吉田美和のヴォーカルも迫力を増し、エレキ・ギターはうねりを上げる。フュージョンの進化したようなサウンドがかっこいい。
10HOLIDAY〜much more than perfect!〜
ソウルやジャズにアレやコレやソレやが趣味良く混ざっていて、いくらでもマニアックに観賞できそうなリゾート感覚あふれるナンバー。ゆったり流れるサウンドに、思わず気分も“とろとろとろり”。ドリカムには珍しく歌詞が男性視点。
11ヒの字
不思議な浮遊感を持つこの曲は、なぜかゆったりとしたテンポで、どこか古きよき時代の日本の雰囲気まで漂う。童謡やさまざまなモチーフをベースに、彼らの音楽における世界観はどこまでも果てしなく広がっていくようだ。
12やさしいキスをして
ただ一人を運命の人として想い続ける情念あふれる歌詞の迫力に気圧されるナンバー。詞世界の裏側の潜むドラマを巧みに表現したサウンドも、これまたドラマティック。グループ初期の情景描写細かな歌詞とは対極の凄みを漂わせている。
13高く上がれ!
これほど基本的な8ビートというのも、彼らの音楽にあっては珍しい。だが、どんな形式であってもドリカムの歌になってしまうのは、やはり吉田美和のヴォーカルによるところが大きい。存在感のある、力強い歌だ。
14はじまりのla
恋することの悲哀・喜楽が詰め込まれたスロー・バラード。スポットが当たるのは数秒ながら、デヴィッド・スピノザの弾くギターが存在感たっぷり。柔らかな歌唱と、天まで伸びる熱唱を交互に歌い分けながらのヴォーカルは、さすがの貫禄。
15初雪〜ENDING THEME〜
微妙にレゲエのリズムがベースになっているが、そんなことすら感じさせないほど、ファンタジックなサウンドに仕立てられている。初雪というタイトルどおり、エンディングにふさわしい、ノスタルジックな楽曲だ。
[Disc 2]〈DVD〉
01やさしいキスをして
02マスカラまつげ
03はじまりのla
04OLA!VITORIA!
05ラヴレター