ミニ・レビュー
6枚目のアルバム。シンガーとしてどんな魅力を見出すのかは十人十色だが、ポイントとなるのは、既発シングル曲を含めて、これまでの振り幅の広さを本作で総覧できるところ。時に郷愁的な雰囲気さえ感じさせるのは、確立したポップスの作り手ならでは。
ガイドコメント
倉木麻衣の6thアルバム。「Diamond Wave」は2006年春に出演したアースデイ・コンサートに触発され、地球を愛する心をテーマに書き上げた夏らしいポップ・チューン。ほかシングル2曲にバラード、ア・カペラ曲などキラキラ輝く楽曲を収録。
収録曲
01Diamond Wave
02Ready for love
夏の照りつける太陽の下で、思わず踊りだしてしまうようなレゲエのリズムとサウンドが心地よいナンバー。倉木麻衣自身のこれからの音楽に対する姿勢を織り交ぜた詞や、スムースなライミングのラップなど、聴きどころ満載だ。
03ベスト オブ ヒーロー
恋愛がもたらす心の葛藤と想いについて歌われた、アップ・テンポの前向きなナンバーで、夢を持って前進することの大切さを教えてくれる。恋愛に限らず、旅立ちの季節である春に聴くとピッタリの曲といえそうだ。
04Juliet
「君に出逢えたことで孤独だった日々が明るくなった」と綴る詞に、愛しい人への想いの深さがうかがえるミディアム・バラード。喜びが感じられる詞だが、ヴォーカルは陰りが見え隠れしていて、切なさを醸し出しているというアンバランスさも魅力。
05Growing of my heart
アニメ『名探偵コナン』のオープニング・テーマ。リリース前からライヴでも人気だったアッパーでドラマティックなナンバーで、未来を見据えた前向きな歌詞も印象的だ。これから新しい道に進もうとする人にオススメ。
06会いたくて...
「会いたくて、会いたくて……」と、別れても愛しい人への募る想いを飾ることなく描いたスロー・バラード。ピアノやストリングスの音色と哀愁漂うヴォーカルが重なり、切ない想いが募っていくナンバーだ。
07ホログラム
陽射しが差し込んで、優しい風に吹かれて揺れるカーテンのような、清涼感の漂うサウンドが魅力のポップ・チューン。和音を軽快にかき鳴らすアコギの音色とハートウォームなヴォーカルとの絡みが美しく、心落ち着く一曲に仕上がっている。
08State of mind
軽快な8ビートのドラムにキャッチーなメロディが心地よいハッピー・ソング。小倉百人一首でも知られる僧正遍昭の“あまつ風……”の和歌による歌い出しや、自然をテーマにした古語を織り交ぜた詞がユニーク。間奏部でのスムースなギター・ソロの音色が爽やかに響いていく。
09今 君とここに
オープニングの物悲しい雰囲気を漂わせるギター・ソロが印象的なミディアム・バラード。自分と正面から向き合うことで得る大切なものとは何か? と、凛とした強さの中にも儚さを感じるヴォーカルで語りかけるように歌っている。
10Cherish the day
忘れようとしても忘れられない恋人への強い想いを綴ったリリックが心を打つミディアム・バラード。大切な日々を思い出す様子を切なくも温かみのあるヴォーカルが描き出す。ラップも披露するなど、彼女の成長がうかがえる1曲だ。
11Voice of Safest Place
24thシングル「Diamond Wave」のカップリング曲をアレンジした、倉木麻衣初のア・カペラ・ソング。コーラス・アレンジも自らこなし、オリジナルより神秘的で透明度の高いナンバーに仕上げた意欲作だ。