ガイドコメント
デビュー・アルバム『幻想飛行』の爆発的ヒットから2年、世界中にその名を知られるようになったボストンの2ndアルバム(78年作品)。手作りのサウンドに、ボストンの息づかいが感じられる最高傑作。
収録曲
01DON'T LOOK BACK
イントロのギター・カッティングとタンバリンの絡みが瞬時に聴き手の耳を奪う劇的王道ナンバー。緩急織り交ぜたリズミックなバンド・サウンドや伸びやかなヴォーカル・ハーモニーが編曲の冴えによりさらに鮮度を増す。
02THE JOURNEY
『幻想飛行』でいうところの「フォアプレイ」にあたるインスト曲。エフェクト渦巻く幻想的作品で、いわゆるスペイシーと評される音響効果が特徴的。録音から30年近く経過してなお古びて聴こえないのだから恐れ入る。
03IT'S EASY
「ザ・ジャーニー」に露払いされて始まるアップ・テンポの清涼ナンバー。中盤の多重ギター・ショーに加え、まるで別の曲を弾いているように思えてくる自由度が高い、運動量豊富なベース・ラインが最高。起伏満載の編曲だ。
04A MAN I'LL NEVER BE
バラードの魅力たる要素を一堂に集結させたような壮大にして完璧な一曲。序盤のピアノ弾き語りからゆっくりと音数が増えていき、天へと昇るギター・ソロを迎える頃にはスケールもドラマ性も最高潮に。全米31位。
05FEELIN' SATISFIED
ロックンロールの魅力が何たるかを気分上々の雰囲気で高らかに歌い上げるナンバー。曲調そのものはロックンロールでも、そこに清涼さや華麗さが加わるのが彼ら。ハンドクラップも加わり躍動感も満点だ。全米46位。
06PARTY
トム・ショルツとブラッド・デルプの共作曲。文字どおりのパーティ・ロックンロールで、持ち前の華麗さ以上に豪快さが前へと出てきている。そんな弾けたテンションにさえ技巧的要素を感じさせるのも、このバンドゆえ。
07USED TO BAD NEWS
ブラッド・デルプ作の破局直前ラヴ・ソング。哀愁漂う男心を描いた歌詞が、爽快で力強いバンド・サウンドによりむしろ痛みを増している。トム・ショルツがオルガン、バリー・グドローがギターでそれぞれ個性を発揮。
08DON'T BE AFRAID
編曲の精緻さよりもグルーヴを重視したようなロックンロール・ナンバー。ファンキーでワイルドな要素が強まった分、逆にメロディの個性は減少。とはいえ得意のヴォーカル・ハーモニーにはいつもどおりの滑らかさが。