ミニ・レビュー
ホノルル出身のシンガー・ソングライターのデビュー作。レゲエ、R&B、フォーク、ロックなどを吸収した洗練された音世界を聴かせてくれるのが魅力。全米トップ5入りを果たした「グレネイド」、ナンバー1に輝いた「ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アー」などを聴けば、柔軟に音楽に向き合っている素直な感覚が伝わってくる。
ガイドコメント
心の琴線に触れる美メロが魅力のシンガー・ソングライターによるアルバム。彼が客演&ソング・ライティングで参加したB.o.B.の「Nothin On You」を彷彿とさせる、心地よく洗練された楽曲を数多く収録している。
収録曲
01GRENADE
「手榴弾」というタイトルはなんだか物騒だが、実は、キミのためなら僕は手榴弾も受け止めるのに、キミは僕から奪ってばかり……と嘆く恨み節。悲壮漂う鍵盤のループが虚しさを強調する、切ないソウル・ポップスだ。アルバムからの2ndシングル。
02JUST THE WAY YOU ARE
“ありのままのキミが最高さ”と語る微笑ましいラヴ・ソング。軽やかに踊るような鍵盤ループとドンドンと響くビートが導くトラックに乗る古き良きポップスで、ブルーノの歌唱も清々しい。アルバム『ドゥー・ワップス&フーリガンズ』からの1stシングル。
03OUR FIRST TIME
ブルーノが所属するスミージントンズにスーパ・ダップスが加わってのラヴァーズ・ロック風ミディアム・スロー・チューン。清涼とまどろみの間を行き来するメロウなムードの中で交わされるメイクラヴ・ストーリーだ。ブルーノの口説きはどこまでも甘い。
04RUNAWAY BABY
オールディーズなムードも漂うロックンロールやエモ・ポップ風の切り口で描くナンパ・ソング。遊びで終わりたくないなら僕から逃げた方がいいよと、堂々と女子に“ヤリたいだけ”宣言。アッパーなテンポも軽薄さを増長させている。
05THE LAZY SONG
陽気なレゲエ・ビートに乗せた、究極の“だらけ”ソング。サウンドは非常に微笑ましいが、歌っているのは“今日はな〜んにもしない”というぐうたらぶり。DJディズイーのスクラッチがピリリといい味を効かせている。
06MARRY YOU
“素敵な夜だから結婚しよう”と告げる、タイトルどおりのプロポーズ・ソング。だが、真摯で神妙、感涙……といった風ではなく、きっかけは酒とその場のノリ。ジョイフルな雰囲気に包まれた、笑顔を呼ぶリズミカルなナンバーだ。
07TALKING TO THE MOON
反対側の世界にいるはずのキミを取り戻したい一心で月に話しかける、男についての物語。キミの面影を浮かべては諦めきれない想いを、やるせなさいっぱいの歌唱で描く。しとしとと降り続く雨のような物憂げムードが、より哀切を伝えるポップ・チューンだ。
08LIQUOR STORE BLUES
スーパ・ダップスが協力しての和やかだが悲しげなリディムに乗せて、Jr.ゴングことダミアン・マーリーがトースティングをかますレゲエ・チューン。明日が見えない暮らしに嘆き酒屋にたむろする若者の現状を二人が代弁。悲壮漂うシリアスな歌だ。
09COUNT ON ME
素朴なギターが刻む穏やかで軽妙なリズムに導かれた、ハートウォームなミディアム・チューン。ピンチになったら1、2、3と数えればいい。そうしたら僕が助けに駆けつけるよと歌う友情ソングだ。僕を頼っていいの言葉は、優しくも実に頼もしい。
10THE OTHER SIDE
理解できないかもしれないけど、僕は反対側で待ち続けてるんだと決断を迫る男。少し変わったラヴ・ソングともいえる。ゲストに迎え入れたシーロー・グリーンとB.o.Bが満を持して登場、やや陰りあるポップ・ロックにハクをつけている。
11JUST THE WAY YOU ARE
イントロとブリッジにルーペ・フィアスコのフロウをフィーチャーした代表曲のリミックス・ヴァージョン。ブルーノが“ありのままのキミが最高さ”と語るフックにルーペも同調。加えて“内面の美しさに気付け”と諭す。古き良き音を現代風ダンス・ポップに昇華。
12SOMEWHERE IN BROOKLYN
駅で出会った一目惚れの女子との再会を期待して、ぐるぐるとブルックリンを探し回る男の物語。もどかしく寂しさが募る“どこかにいるはずなんだ……”という歌声が印象的だ。どこか懐かしいオールディーズ感漂うポップ・チューン。
13TALKING TO THE MOON
今にも泣き出しそうな声でキミへの想いを吐露するミディアム・バラードのアコースティック・ピアノ・ヴァージョン。装飾を抑え生々しく響く鍵盤を強調することで、哀切がいっそうずしりと重く伝わってくるアレンジだ。
14JUST THE WAY YOU ARE
“ありのままのキミが最高さ”と語る清々しいポップ・チューンのライヴ・ヴァージョン。黄色い歓声やクラップ、フックでのシンガロングが、ブルーノの人気のほどを物語る。フェイクで決めたラストは、ゴキゲンなステージだった証しか。
15GRENADE
キミのためなら何でもするのに、キミは僕から奪ってばかり……と嘆くソウル・ポップスのライヴ・ヴァージョン。切なさと愛しさの狭間を描く歌を、シルキーなバック・コーラスが絶妙にサポート。終盤のブルーノのアドリブには喚声が絶えない。
16THE OTHER SIDE
耳をつんざく黄色い喚声が飛び交うのは、絶大なる人気の証し。原曲はセンチメンタルなムードが強いが、ここではロック寄りのアレンジに。MCの煽りに狂乱するファンを後目にラストはスムースなコーラスで締めるところがニクい。