ミニ・レビュー
CMでよく耳にした「アイ・リアリー・ライク・ユー」を収録したセカンド・アルバム。全編を通して懐かしさを感じさせるシンセ・ドラムが耳を引く80'sポップスの佇まい。メロディアスさや曲の持つ温度感なども計算されつくした、強度のポップネスが貫かれている“今”の王道アメリカン・ポップス作だ。
ガイドコメント
「コール・ミー・ベイビー」で大きな話題をさらったカーリー・レイ・ジェプセンによる、2015年発表のアルバム。ポップな告白ソング「アイ・リアリー・ライク・ユー」や「オール・ザット」ほかを収録。ラミ・ヤコブ、マックス・マーティンらが参加。
収録曲
01RUN AWAY WITH ME
プロデュースにシェルバックが参与した、アルバム『エモーション』からの2ndシングル。明かりが消えたら私と一緒に逃げてという駆け落ちソングで、R&Bのエッセンスを加えた品のある大人仕様のポップスとなっている。
02E.MO.TION
2ndアルバムのタイトル・チューン。軽快なリズムと微かにセンチメンタルなメロディで描かれるのは、私のことを感じてみたら? という挑発的なアクション。私がいないと眠れないでしょと小悪魔的な言葉を投げかけるカイリーにノックアウト間違いなしだ。
03I REALLY LIKE YOU
カーディガンズのピーター・スヴェンソンがジェイコブ・キャッシャーと制作した2ndアルバムのリード・シングル。愛までは足りないかもしれないけど、本当に好きなの! と内なる声を爆発させるポップ・ダンサーだ。トム・ハンクス出演のPVも話題に。
04GIMMIE LOVE
愛をちょうだいと懇願するカーリーの、吐息と混ざり合うエコーがかった伸びやかな声色が艶やか。喜びと不安で胸がいっぱいになりそうな高ぶる気持ちを、わずかに見えるもの悲しい音色で描くノスタルジックなポップだ。制作はマットマン&ロビン。
05ALL THAT
マドンナ、ビヨンセ、アッシャーを手掛けたアリエル・レヒトシェイド制作のスロー・バラード。私が必要ならいつでも言ってと語りかける、愛の親密さへの欲望を表現した一曲。ありのままをさらけ出したカーリーの想いをじっくりと堪能できる。
06BOY PROBLEMS
シーアが制作参加した軽快なポップ・ダンサー。「カーリーの男の悩み話は聞き飽きたわ」と親友から愚痴られた心境を、キャッチーなトラックに乗せて描く。どうしたらいい? と語りかけられるような歌唱も、愛嬌があって楽しい。
07MAKING THE MOST OF THE NIGHT
落ち込んでる親友を、無駄に一日を過ごさないで一緒に思い切り夜を楽しもうよと励ますエール・ソング。シーアによる派手やかでチープな80年代ポップ風サウンドと快活なカーリーの歌唱が、このストーリーによく似合っている。
08YOUR TYPE
1Dやニッキー・ミナージュ作品で知られるラミ・ヤコブが大きく参画したメロディアスなミディアム・ポップ。あなたの“好み”じゃないし、友達以上にはなれないんだろうな……と切なげに吐露するカーリーが愛らしい。R&B風トラックも美味。
09LET'S GET LOST
キュートなR&Bに乗せて歌うのは、“二人でどこかに消えようよ”というラヴリーなメッセージ。デートの帰り道で思う“まだ帰りたくない!”を、カーリーが見事に描写。彩りあるハーモニーやホーンの音が、恋のトキメキをより高ぶらせている。
10LA HALLUCINATIONS
ロサンゼルスに来てからのゴシップの嵐にうんざりするカイリーの心境を吐露。不穏が見え隠れするダウナーなミディアム・ビートで、拭えないストレスを描写。カイリーの歌唱もどこか苛立ちが感じられるエレクトロR&Bマナーの曲だ。
11WARM BLOOD
ヴァンパイア・ウィークエンドのロスタム・バットマングリジ制作による冷淡なエレクトロ・トラックが印象的。浸透と純度を高めたヴォーカルで、あなただけに素の自分をさらけ出す思いを語る。スクリューも駆使した巧みなヴォーカルワークで歌唱に深みをもたらしている。
12WHEN I NEEDED YOU
恋を終えた後の何ともいえない落ち着かない心持ちを、チャーリーXCXらを手掛けるアリエル・レッチシェイドがキラキラ度高めのミディアム・ポップで描く。あなたを必要としていたのにどこにいたの? と元彼に投げかけるカーリーに未練と失望がたっぷり。
13BLACK HEART
ソリッドなエレクトロ・ポップ・ダンサー。ちょっぴり悪ぶった挑発的なカーリーのヴォーカルワークが楽しめる趣で、あなたが望んだことが全部起きてるんだから! と一つ上の次元で見下ろしている。クールでエモーショナルな曲だ。
14I DIDN'T JUST COME HERE TO DANCE
ただ踊りに来たんじゃない、あなたに会うために来たのよと投げかける誘惑ソング。胸を高ぶらせるシンセとホットなビートが弾むダンサブルなトラックに乗せて、カイリーが強烈な目力を発揮。セクシーでパワフルなナンバーだ。
15FAVOURITE COLOUR
リラックスしたムードのなかで語りかけるのは、止めることができないあなたへの愛。微かにエレクトロな彩りを施した穏やかな展開も、内実は抑えきれない胸の内というギャップがリアルな緊張を伝える。好きな色はあなたと歌う美しいラヴ・ソングだ。
16NEVER GET TO HOLD YOU
去ろうとする彼に“行かないで”と呼び止めるラヴ・ソング。賢明に過去のあやまちを取り戻そうとする心境を映した物憂げなトーンの展開が切ない。カーリーの涙をこぼす一歩手前のような哀しげなヴォーカルが響く。プロデュースはカイル・シェアラー。
17LOVE AGAIN
タイトルどおり“愛をもう一度”と願うラヴ・ソング。時が経てば互いにもう一度信じ合えるようになるはず……という切実な想いを、センチメンタルなディスコ風ダンス・ポップに乗せて届ける。プロデュースはCJバラン。
18I REALLY LIKE YOU
2ndアルバム『エモーション』のリード・シングルをリアム・キーガンがリミックス。明るく弾けるポップ・ダンサーからハウス・スタイルへと彩りを変えて、より軽快なモードに。”アイ・リアリー、リアリー…”のフックもより爽快でチアフルに。