ミニ・レビュー
2008年レコード大賞受賞に象徴される、圧倒的な王者として2008年を疾走した彼らのバラード・コレクション。年間で3枚リリースされたベスト・アルバムのうちの一枚で、もっともEXILEの本質が出ていると感じる。ロマンティックでセンシティヴ。
ガイドコメント
ベスト・アルバム3部作の第3弾は、カラオケや配信、パッケージなどで1位を記録した名曲の数々を収録したバラード集。スウィートな歌声が堪能できる、彼らの魅力が凝縮された一枚だ。
収録曲
01Ti Amo
02Lovers Again
松尾潔による“ひとりでは愛してる証さえ……”というフックが印象的なメロウなミディアム・ラヴ・バラード。失恋後の心の機微を映し出すスムースでアダルトな世界にウットリさせられる。KDDI「au×EXILE第二章キャンペーン」CMソング。
03Your eyes only〜曖昧なぼくの輪郭 (カタチ)〜
Face 2 fAKEのゆったりと滑り込むやわらかなメロディが特色のミッド・スロー。夢と大切な人のどちらを選ぶか、という悩ましいテーマを男性視点で綴る。“キミだけがいない”と歌うが、この先に何かありそうな予感めいた歌唱をみせる。
04song for you
弦一徹のストリングスを効果的に配したメロウ・バラード。“キミは一人じゃないよ”と優しく語りかける、その頼もしさに酔いしれることができるはず。バック・コーラスにCOLOR(現DEEP)を起用した、星空の下で聴きたいナンバーだ。
05We Will〜あの場所で〜 (Orchestra Version)
SHUN(清木場俊介)作詞によるバラードのオーケストラ・ヴァージョン。深遠で壮大な雰囲気に包まれながら、あくまでも大切な相手へ想いを語る歌唱を強調したオーソドックスな曲としてアレンジ。それゆえに訴求力は抜群だ。
06運命のヒト (Orchestra Version)
ATSUSHIによる切ない詞が胸を詰まらせるラヴ・バラードのオーケストラ・ヴァージョン。“君は今 何オモウノ…”と張り裂けそうな心持ちを抑えて吐露する歌唱には、こみ上げるものがある。オーケストラが哀切な雰囲気創りを絶妙にアシストしている。
07HOLY NIGHT (A cappella Version)
ATSUSHI作詞によるクリスマス・ソングのア・カペラ・ヴァージョン。君がいてくれればそれだけで幸せだと、星、雪、聖夜という最高のシチュエーションで最上級の言葉を投げかける。やわらかな雪の温かさが感じられる歌唱は、ア・カペラならではの演出だ。
08LAST CHRISTMAS
ワム!の定番クリスマス・ソングのカヴァーで、日本語詞は松尾潔が担当。原曲では、愛をあげたのに君は僕の元を離れちゃったと少々いじけモードだが、ここではエレクトロなアレンジを加えながら“まだ思い出にできない”と切なさを強調している。
09ただ…逢いたくて
SHUN作詞によるEXILEを代表するバラード。愛しい時間を取り戻せずただ悔やみ涙する男の心情を、しとやかでドラマティックなメロディに乗せて綴る。ちぎれるような想いを吐露する歌唱に、胸が締め付けられる。明治製菓「Fran」CMソング。
10僕へ
人を愛することに臆病だった自身に愛することの素晴らしさを自答する、ATSUSHI作詞のミッド・バラード。光が射し闇が去っていくような、ジワジワと胸を打つ歌唱が涙腺を緩ませる。ファイザーCMソング&映画『ジェネラル・ルージュの凱歌』主題歌。
11変わらないモノ
ダイハツ「タントカスタム」CMソングとなったミディアム・スロー・バラード。不意に生まれたすれ違いで別々の道を歩むことになっても、築いてきた互いの信念はずっと変わらないと綴る詞は、ATSUSHIからSHUNへのメッセージとも受け取れる。
12道
かけがえのない時間を過ごした友との別れと未来への旅立ちを歌った、卒業シーズンにふさわしいミディアム・バラード。ビリー・ジョエル「素顔のままで」やニルソン「ウィズアウト・ユー」を想起させる、温もりあるメロディが秀逸だ。
13One love (Piano Version)
笑顔の数だけ幸せになるから泣かないでと語るミディアム・バラードのピアノ・ヴァージョン。出会えた奇跡を大切に自分らしく生き抜いてと真摯に歌う姿は、彼らからの心のこもったメッセージのよう。未来への希望に包まれた楽曲だ。
14Love、Dream&Happiness
SHUNへの想いを綴ったナンバーの『BALLAD BEST』仕様。COLOR、J Soul Brothers、Love、Dreamが参加した笑顔がテーマのホープフルな曲で、“また一緒に”という詞とアウトロの“ラララ…”の合唱に顔もほころぶ。