ミニ・レビュー
2012年でデビュー20周年を迎えた安室の10作目は、エレクトロ・ハウスやEDMなど、ダンス・ミュージックのトレンドを積極的に導入した先鋭的なトラックが並ぶ。シンプルな歌ものは少ないが、“攻め”の姿勢を明確に打ち出した野心作と言える。ヴォーカルも妖艶で独特の色香が漂う。
ガイドコメント
デビュー20周年を経て、さらなる高みへまい進する安室奈美恵の2013年7月10日リリースのアルバム。攻撃的なトラックからシンプルなバラードまで、世界の今を凝縮した最先端のトラックメイク満載の一枚となっている。
収録曲
[Disc 1]
01Alive
アルバム『FEEL』のリード曲。フックンスリングで知られるDJ、アンソニー・マニスカルコ制作によるサイバー・ハウス風で、冒頭の浮遊感漂うヴォーカルや性急に刻まれるギターやサイケで太いベースが微睡みを呼ぶ。生きるためにはあなたの愛が必要と強く訴えている。
02Rainbow
清々しく軽快なメロディ・ラインとデジタルなアッパー・ビートを組み合わせた、アクティヴなエレクトロ・ハウス。痛みや苦しみを伴わない人生なんてない……今は“虹”がかかるのを待とうよと、キュートなヴォーカルで健気に言い聞かせる。
03Can You Feel This Love
フジテレビ系『めざましテレビ』テーマ曲ということもあり、晴れやかなダンス・サウンドが印象的。制作はSUITE CHICにも提供した山木隆一郎。“With a good day”から幕開ける、まぶしい一日のはじまりにピッタリの心弾むアッパーな曲だ。
04Big Boys Cry
コーセー「ESPRIQUE」CMソングとなった40thシングル。ノルウェーの音楽集団DSign Musicが、春っぽい軽やかさを上モノにしたリズミカルなビート・トラックを制作。くよくよしないで気にせずいこうよと励ますガールズ応援歌だ。
05Hands On Me
「WANT ME, WANT ME」風のエキゾティックなビートを練り込んだ、NYのアダム・カピット制作のアッパー・エレクトロ・ハウス。ドラムンベースも飛び出すコンプレクストロな展開も、歴戦の強者の安室にとっては独壇場。野性味あふれるエスニックな曲だ。
06Heaven
EDMの寵児、ゼッドによる爽快なシンセが走るトランシーなエレクトロ・ハウス。あなたと一緒にいられる場所、それが“天国”……と歌うラヴ・ソングで、歓喜に沸くような高揚感が魅力。呪文風の“バダバダ・ブン・バダビン・バダ・ブーン”のフレーズも好アクセント。
07Poison
女性上位なラヴ・アフェアを、キリキリとした高音を刻みながら急降下していく、危険な香りがぷんぷんと漂うセクシーなトラックで描出。そこで安室が“私の恋は毒薬よ”と妖しく誘えば……男はイチコロだ。アダム・カピット制作のエレクトロ・チューン。
08La La La
UKのブルー作品などのヒットを持つダウッドによるトランシーなエレクトロ・ハウス。心配しなくても、“ラララ”と前へ進めば、きっとすべてが良くなり輝き出すとエールを送る。自身が出演し話題となったコーセー「ESPRIQUE」CMソング。
09Supernatural Love
性急でうねりのあるフックでエフェクト・ヴォイスを効かせた、サイバーな色彩も感じるエレクトロ・ダンスホール。K-POPシーンで主流のダンス・ミュージック仕様にまとめたのは、コリアン・アメリカンのスティーヴン・リー。
10Let Me Let You Go
JDウォーカーが大きく制作に関与した、ピアノとストリングスで描いたシンプルなミディアム・バラード。過度な装飾を控えて、ヴォーカルの力を軸に真摯に伝える姿勢に好感が持てる。穏やかながら芯の強さが響くナンバーだ。
11Contrail
飛行機雲を意味するタイトルよろしく、どこまでも広がるスケールの大きさと清爽を感じさせる。安室の良さを知り尽くすNao'ymtによる、勇気を与えるフレッシュな人生応援歌だ。TBS系ドラマ『空飛ぶ広報室』主題歌となったダンス・チューン。
12Stardust In My Eyes
HyGrade.プロデュースによる生命力あふれるエレクトロ・ハウス。ストリングスをはじめとするバックやドラムンベース風な展開も、輝かしい曲風へ好アシスト。アルバム『FEEL』のボーナス・トラックとしてラストを飾る。
[Disc 2]〈DVD〉〈music videos〉
01Alive
02Big Boys Cry
03Hands On Me
04Heaven
05Let Me Let You Go
06Contrail