ミニ・レビュー
2005年夏に活動再開して以来のアルバム。“歌”に焦点を絞ったプロダクションのおかげもあってだろう、倉持と桜井、それぞれの持ち味の違いを生かした無理のない一枚に。一筆書のような簡潔な言葉づかいの中に真情がにじむ倉持作(9)が滲みます。★
ガイドコメント
活動再開後、初のオリジナル・アルバム。シングル曲の「Dear,Summer Friend」「I'm in Love」「情熱と衝動」を含む、真心ブラザーズならではのファインなアルバムに仕上がっている。
収録曲
01情熱と衝動 (LG Version)
自らの世代に区切りをつけるべく投げかけたメッセージが、タイトルそのままにストレートに響いてくるミディアム・チューン。ちなみに、シングル・ヴァージョンとは異なりギブソンのアコギを使用しているので、“LG Version”となる。
02東京ひとり
爽やかな風が吹き抜け、緑が目に眩しい。アコギの音、トランペットの音……、すべての音が青春の香りを運んでくるようやさしいまなざしや温もりが伝わる。ポップ・チューン。から感じとるやさしいまなざし。
03Dear、Summer Friend
2005年夏、記念すべき活動再開を飾ったシングル・ナンバー。華麗なストリングスとホーン・セクション、甘酸っぱいコーラス、完璧なサマー・ポップ・チューンを、YO-KINGのヴォーカルがソウルフルにほろ苦く彩る。
04少しもさめていない
たとえば自分の周りに起こったいろんな出来事にいつまでもとらわれることなく、歩き出そうとするような意欲に満ちているポジティヴなリリックが映える曲。間奏で何気に3拍子になったりするという面白さもあるメッセージ・ソング。
05受けポジ
まさに果報は寝て待てといった、受け身であることの大切さを声高らかに叫ぶロック・チューン。前のめりになることだけが正解じゃない、というガツガツしたサウンドから伝わってくるメッセージが心の重荷をほどいてくれる。
06紺色
桜井のギター・プレイが痛快で、シンプルな構成ながらも、濃厚なサウンドで一気に聴かせるロック・チューンに仕上がっている。“情熱と衝動”をたっぷりと詰め込んで、激しくかっこよく突っ走っているのだ。
07丘の上
淡々と歌い出すYO-KINGの声が、空虚な想いを振り切るかのように時折熱さを覗かせる。桜井の弾くギターのフレーズやどんよりとリズムを刻むベースが、重苦しい空気感を創り出すフォーク・ロック。
08スマイル
切なくなったり、温かくなったり……。表情豊かで素敵なメロディと桜井の優しいヴォーカルが映える。想いをサポートするかのように響くピアノのさりげなさもまた良好。左チャンネルのドラムはYO-KINGが叩いている。
09ハロー
きっとこういう曲がみんなに可愛がられるというような珠玉の一品。ペダル・スティールが生み出す柔らかいトーンが印象的で、実際にハローって名前だったらこんなこと思うのかな? というリリックもある意味、衝撃的。
10Son of the Sun (wax mix)
遊び心満点のサーフ・ロック。リズムも楽しく、なにしろwax mixだからキュッキュッといって、いい感じで波に乗れる曲。「情熱と衝動」のカップリング収録のオリジナルと比べて、こっちはサラサラやわらか風味。
11Step steady
無垢な少年の想いにも似て、ここに描かれる一途さは胸をキュンとさせる、恋するミディアム・チューン。失いたくないものは誰にもあるから……、さあ会いに行こう! というたたみかけるようなサビのフレーズが軽快だ。
12Rolling
YO-KINGの声に合わせて一緒に歌いたい! そんな吸引力を持ったポジティヴなラブ・ソング。ホーン・セクションが舞い踊るサウンドは、きらびやかで心を弾ませる。ライヴで聴くのが楽しみなナンバー。
13I'm in Love
アルバム『FINE』のラストを飾る、スタイリッシュなホーン・セクションが入った心温まるラブ・ソング。ポップでジャジィなサウンドは、彼らの経験値のなせる技。新たなポップ・ミュージックを提示したともいえるナンバー。