ミニ・レビュー
99年にジャネット・ジャクソンのPVにダンサーとして出演した経験を持つ日本人ヒップホップ/R&Bクィーンの初期ベスト・セレクション&秘蔵音源を収録したアルバム。(1)のレゲエ・ミックスや(3)のSOUL'd OUTのshinnosukeがリミックスしたナンバーなど聴きどころ満載。
ガイドコメント
良質ヒップホップ・アルバム『2004 A.I.』も大ヒットのAIの初期音源で構成されたベスト盤。入手不可能なプロモ・アナログに入っていた楽曲のリミックスや、初CD化音源などが収録。
収録曲
01Shining Star (V.I.P LOVERS ROCK MIX)
しっとりとしたバラードの“Original Master Version”とはガラリとムードを変え、ブライトなレゲエ・ビートに包まれた、太陽の下がよく似合いそうなヴァージョン。サックスのブロウも、実に心地よい。夏に聴いたら最高だ。
0224/7 (DJ NOZOM Remix)
オリジナル・ヴァージョンよりもポップでバウンシーな仕上がりになっているのが魅力のリミックス。踊りたいなら、こちらのヴァージョンが断然オススメだ。フロア・ライクな処理が施されているヴォーカル・ワークにも注目。
03Cry、just Cry (SOUL'd OUT Mix)
この“SOUL'd OUT Mix”は幻のヴァージョンといわれ、アルバム『FLASHBACK TO A.I.』への収録が、待望の初CD化となった。単にレアなだけではなく、オリジナルよりも硬質なビートを強調したサウンド・ワークが見事なヴァージョンといえる。
04ONCE AGAIN
ゴスペルのムードも感じさせる、雄大な曲調のミディアム・バラード・チューン。余計なフェイクや装飾などせず、メロディに素直に向き合い、ストレートに歌い上げるAIのヴォーカルが、何よりも素晴らしい。
05I WISH
愛しい人の元に戻りたいと願う切ないリリックに胸を締めつけられるスロー・バラード。バック・コーラスとの絡みも美しく、哀愁が漂う。多彩で伸びのあるヴォーカルが想いの深さを思わせるナンバーだ。
06U CAN DO (Hi-Pops Version)
オリジナルはワイルドなR&Bチューンだったが、この“Hi-Pops Version”は、それよりも少しポップな感じに仕上がっている。よりR&Bらしい“しなやかさ”が前面に出ている印象が伝わるヴァージョンだ。
07PROTECT YOU
失意の淵から救ってくれた人への感謝とあふれる想いを綴った歌詞を切々と歌ったミディアム・バラード。キャッチーなメロディで「君を守っていく」と歌う、凛としたヴォーカルが胸を打つ。バック・コーラスとのハモリもGood!
08NEVER LOVE THIS WAY
AIの歌の上手さが一段と光る、珠玉のラブ・バラード。70年代のソウル・クラシック的な手触りもするスムースなメロディも特徴で、曲自体が持つシンプルさが、AIのヴォーカルをさらに際立たせている。
09SHUT OUT (feat.Diggy-MO' (SOUL'd OUT))
SOUL'd OUTのDiggy-MO'をフィーチャーしたリズミカルなナンバー。コミカルな歌詞で男女の言い争いを表現する。オープニングの電話のダイヤル音とマイナー調のストリングスが不安を煽り、今後の二人の出来事を示唆しているようだ。
10Depend On Me
今まで傍で支えてくれた人はもういない。だからこそ「強くなる」と決意する姿が美しい、凛とした女性を思わせる歌詞に共感してしまうスロー・バラード。流麗なキーボードにのせて、微妙に変化する女心を情感豊かに歌い上げている。
1124/7 (Original Version)
ミディアム・テンポのR&Bチューン。重低音を効かせたバック・トラックに乗り、AIの情感を込めたヴォーカルがソウルフルにドライヴする。途中に入るラップも、短いながら、とてもカッコイイ。
12Shining Star (Original Master Version)
通常のR&Bスタイルのサウンドではなく、器楽的なアレンジで仕上げられているのが特徴のバラード・ナンバー。弦楽器やピアノの音色が際立って聴こえてくる。音数が少ないことが、AIのヴォーカルをよりリアルに響かせている。
13Cry、Just Cry (English Version)
全編英語詞による本格的なヴォーカルと、本場アメリカ譲りのR&Bマナーが合わさった、洋楽的な質の高さを持つミディアム・バラード・ナンバー。AIの実力の高さは、こうした英語詞の作品でより証明できるといえる1曲。