ミニ・レビュー
リズム隊にピアノという、トリオ・バンドのサード・アルバム。ピアニストがヴォーカルを務める歌モノ・バンドで、その作品はポップでメロディアス。アルバムでは三要素以外の音も入っているが、歌がわかりやすく大切にされていることに変わりはない。
ガイドコメント
トリオ・バンド、風味堂の3rdアルバム。ピアノ&ヴォーカルの渡和久の表情豊かな歌を軸に、ドラム、ベースが三位一体となって、極上の世界観を構築。ロック、ジャズ、ソウルなどを盛り込んだ、ポップで鮮やかなサウンドが満載だ。
収録曲
[Disc 1]
01半年ぶりのCome back
鍵盤(グラヴィ&ローズ)の音がキラキラの世界を作り出す、風味堂流ファンク・チューン。山本隆二のプロデュースにより、柔らかでポップな味付けが施されている。恋の未練を歌っているにもかかわらず、その印象は明るくて爽やかだ。
02手をつないだら
“恋空三部作”第1弾は、恋の始まりを爽やかに奏でるアッパーなポップ・チューン。イントロのピアノは、うっとうしい雨の6月を抜け、新しい季節に向かうきらめきのプロローグ。全編を通じて伝わってくる前向きさが瑞々しい。
03サヨナラの向こう側
04My Way
DEPAPEPEとのコラボレーションによるナンバー。ギターレスで生み出す彼らのサウンドは、そこで奏でられるのが当たり前かのようにギターの居場所を創り出し調和させている。お互いの特徴を活かした完成度の高いトラックだ。
05いつかのLady
色香が漂う渡のヴォーカルによってアダルトな風味堂が楽しめるナンバー。サウンドもスタイリッシュで、今までの彼らには見られないグルーヴ感を生み出している。アウトロのピアノ・ソロも聴き応えあり。プロデュースは森俊之。
06あなたは必ず強くなる
渡の弾き語りによるピアノ・バラード。歌とピアノを同時にレコーディングし、その時の空気感をしっかりパッケージしている。不純物を排除したピュアでシンプルな世界観を、じっくりと耳を傾けて聴いて欲しいナンバーだ。
07カラダとカラダ
本間昭光と風味堂の出会いはアツかった。なぜならこんなエロティックなサマー・チューンを完成させたんだから。ラテン・フレイヴァーをまぶし、歌、サウンド、メロディ、すべてが開放的! 俗っぽさがたまらない“恋空三部作”第2弾。
08そっとLove Song...
スウィートでソウルフルなラヴ・バラード。すぐ近くにいる愛する人への想いを温かく歌っていて、ハッピーな気持ちにさせてくれる。包み込むようなストリングスやグロッケンのキラキラした音が素敵だ。「ザ・プレミアム カルピス」CM曲。
09イイコトしようよ♥
サビ以外は全部ラップというのが新鮮。こういったテンションの彼らも面白く、歌詞も含め遊び心たっぷり。サウンドはブラスをフィーチャーし、レゲエ・テイストも盛り込んでいる。ちなみにセクシー・ヴォイス担当のETSUKOは、中富(ds)の奥様だ。
10SOS
風味堂の中でも1、2を争うと思われるダークなナンバーで、清水恒輔(mama!milk)のプロデュース。ウッド・ベースを使用したジャジィなサウンドにアコーディオンが絡み、いっそう深遠で繊細な世界を作り出している。
11いっしょに
ピアニスト・島健による大胆なブラス・アレンジは、ムーディでスウィング感たっぷり。「きよしこの夜」「ホワイト・クリスマス」といった合唱団の歌声をアウトロに絡めるなどパーティ・ムード満載で、一体感を生み出すハートウォーム・チューン。
12僕が守るよ
温かい雰囲気を持ったハッピー・チューン。ストレートな愛の告白を綴ったリリックにちょっと照れてしまうが、渡のファルセットはこういったラヴ・ソングを歌うといっそうきらめく。3人の声だけで終わるアウトロの余韻は、幸せな気持ちを満たしてくれるはず。
[Disc 2]〈LIVE at Zepp Tokyo 07.06.20〉
01ナキムシのうた
02エクスタシー07 ギャングの集い
03夜空を見上げて
04“おかえりなさい”が待っている