ミニ・レビュー
タイアップ曲多数を収録した6枚目のアルバム。“FUNFAIR=移動遊園地”というタイトルよろしく、ユニークでスリリングな新しい試みと、ほんわかとしたアナログなムードが同居。さまざまなアトラクション(トラック)を用意したフレッシュなバイタリティに脱帽。
ガイドコメント
約1年ぶりとなるオリジナル・フル・アルバムは、FUNFAIR(=移動式遊園地)のタイトルが示すとおりの遊び心に満ちた作品だ。ヒット曲「熱帯夜」「SPEED KING」などを含む、ポップでカラフルな世界が展開される。
収録曲
01Introduction
02NP
60年代前半のサーフ・ロックを彷彿とさせる、軽快なギター・リフがサンプルされたアッパー・チューン。ノリの良いトラックとリリックが用いられ、RIP SLYMEの天真爛漫さがよく現れている。タイトルは“No Probrem”の略。
03Bubble Trouble
M.I.A.やスパンクロックといったボルティモア・ブレイクスを思わせる、奇妙かつキャッチーなブレイクビーツが印象的。「飲めや歌えやのバブリーな感じを歌った」という、4MCの小気味良いマイクリレーも聴きどころだ。
04SPEED KING
05Tales
東京メトロのCMソングとして半年以上にわたってオンエアされていた話題の楽曲。PESの持ち味が全開となったアコースティック調のメランコリックなナンバーだ。繊細なアコースティック・ギターのアルペジオが胸に染み入る佳曲。
06残念ボーイ
中村優規の作曲によるセンチメンタルなトラック。メンバーの中の結婚未経験組、PESとILMARIのみが参加。“雨でも傘をささずに風邪ひく美学”という秀逸なパンチラインで、儚くもポジティヴな男の悲哀を歌い上げる。
07concourse1
08EVOLUTION (feat.COMA-CHI)
SUがプロデュースしたフューチャー感とプリミティヴ感が同居したユニークなトラック。“言葉の進化”をテーマにしたリリックで、RIP SLYMEのラッパーとしての在り方を歌っている。女性ラッパー、COMA-CHIがゲスト参加。
09Fa-a-ar
サンバのテイストが感じられる、陽気でお気楽なアッパー・チューン。タイトルはゴルフで使われる「ファー!」という掛け声から引用されている。コミカルでハイテンションな盛り上げ系ラップが聴ける、フロア対応の楽曲。
10I・N・G
配信限定でリリースされた楽曲を音源化。ラップの語尾に進行形を表わす“ing”をつけることで、全員のライムに統一感が生まれている。特徴的な裏打ちのビートが用いられ、RIP SLYME初のスカ・ナンバーに仕上げられている。
11concourse2
12Remember (RIP SLYME with MONGOL800)
ILMARIがフェスで意気投合したという、モンゴル800を迎えた異色のコラボレーション作。沖縄特有のノンビリ感とRIP SLYMEならではのユルさと脱力感が合わさった、暑苦しさのない青春応援アンセムに仕上がっている。
13熱帯夜
14StroboX
TERIYAKI BOYZの人脈からSONPUBがトラックメイカーとしてゲスト参加。疾走感と高揚感が前面に押し出された、ファンキーなクラブ・チューン。RYO-Zが初めてオリジナルから楽曲作りを行なったトラックでもある。
15流れの中で
鍵盤のクリアな響きが印象的なラスト・トラック。アルバム『FUNFAIR』の最後にふさわしい、センチメンタル感とポジティヴィティ、レイドバック感とせわしさが絶妙なバランスで入り混じっている。スパイス程度にメッセージを効かせたリリックも彼らならでは。