ミニ・レビュー
壮大なスケール感を持った「Overture〜FURUSATO〜」を筆頭に、ストリングスなどを駆使したゴージャスなアレンジで、完成度の高いゆず流ポップスを満載した9作目。CMやTV番組などでおなじみのタイアップ作はもちろん、ぐっと心にしみるメロウ・バラード「二つの言葉」など、情感豊かな趣が光る力作だ。
ガイドコメント
2009年10月7日リリースのアルバム。TOYOTA「ラクティス」CMソング「Yesterday and Tomorrow」、テレビ朝日系ドラマ『サラリーマン金太郎』主題歌「シシカバブー」など、心に染みる珠玉の楽曲が満載。
収録曲
01Overture〜FURUSATO〜
9thアルバム『FURUSATO』の幕開けを飾るオーヴァーチュア。1分足らずの短いインスト・ナンバーで、弾むストリングスと穏やかなキーボードが織りなす温かみのあるサウンドは、次曲「虹」の壮大な世界観を引き立てるのに一役買っている。
02虹 (Album Version)
日本生命のCMソングに起用された29thシングル。涙を流しながらもさまざまな葛藤や迷いを自らの足で一歩ずつ乗り越え、その先に現れる“一筋の光”を感じてほしいという想いを込めたナンバー。重厚かつ軽やかなストリングスのサウンドが希望を与える。
03逢いたい
NHKドラマ『ゴーストフレンズ』主題歌に起用された27thシングル。ストリングスを配した壮大なサウンドに“もう一度あなたに逢いたい”という強い願いを乗せた一曲。“心”を“ここ”と読ませる詞は、あなたの帰りを待つ僕の優しさを表わしているよう。
04二つの言葉
岩沢が10年かけて作ったという渾身のバラード。アコギとキーボードの穏やかなサウンドと、君と一緒に生きていこうという素直な想いを歌う優しい歌唱があいまって、じんわりと温かく心に響く。流れるようなサックスの音色も心地よい。
05Interlude〜フルーツ☆パラダイス〜
蔦谷好位置の作曲による20秒ほどのインストゥルメンタル曲。シンプルなフレーズの繰り返しだが、ラテンのリズムの陽気なピアノと、どこか間の抜けたキーボードが奏でるサウンドが楽しい。短くても存在感たっぷりなノリノリのナンバーだ。
06いちご
夏にぴったりのちょっぴりエッチでにぎやかなパーティ・チューン。軽快なアコギと弾けるポップな電子音が高揚感をあおり、二人の明るい歌声が元気をくれる。くだものの“いちご”と“一期一会”をかけた詞がおもしろい。
07スーパーマン
頼りなくても君に微笑んでもらうため“君だけのスーパーマン”になりたいと綴った一曲。アコギ、タンバリン、ハーモニカ、それぞれが主張しつつも、鮮やかなサウンドを作り上げている。日本テレビ系『ズームイン!!』'09夏のお天気テーマ・ソング。
08はるか
北川がアフリカの大地で感じたことをもとに制作。ピアノとストリングスを大胆に配した壮麗なサウンドは、どこまでも続く雄大な空を表現しているよう。旅立つ人や故郷を離れて暮らしている人の心にすっと入り込む、心温まる一曲だ。
09Yesterday and Tomorrow
彼らが出演した、トヨタ「ラクティス」のCMソングに起用された25thシングル。アコギのカッティングが耳なじみのよいクリアなサウンドに乗せて、“どんな時も 君のそばにいるから”と歌う。二人のさわやかなハーモニーが明日への希望を感じさせる。
10シシカバブー
テレビ朝日系ドラマ『サラリーマン金太郎』主題歌に起用された26thシングル。大胆なホーン・アレンジにも負けない存在感のあるアコギが耳を引く。“全速力で さぁ突き抜けろ”と力強く歌う、活気に満ちた明るい応援ソングだ。
11レストラン
繊細なアコギのアルペジオと二人の絶妙なハーモニーが沁みる一曲。今や住み慣れた東京に一人残り、失った純粋な心を取り戻すことができないと知った僕の寂しさを描いた詞がはかない。ノスタルジックなオルガンが、思い出を回想するように響く。
12ゼンマイ
決められた人生ではなく自分のやり方で今を生きるという意志が込められたメッセージ・ソング。アコギのみのシンプルなメロディから、次第に他の楽器が加わり躍動感あふれる壮大なサウンドに変わっていくさまは圧巻。“ミスチル”の鈴木英哉がドラムで参加。
13Interlude〜はるかな旅路〜
北川作曲による40秒弱のインストゥルメンタル・ナンバー。繊細なヴィブラフォンと、それを支えるように静かに響くキーボードが温かくもメランコリック。ふるさとの光景を思い起こさせるような、懐かしさ薫るメロディだ。
14みらい
“心の中にいつの日も消える事ない 美しいふるさとはある”と、帰る場所があるからこそ進むことができると歌う。伸びやかなストリングスを配した開放的なサウンドは、まさに“みらい”へ繋がる希望そのもの。横浜開港150周年イメージ・ソング。