ミニ・レビュー
ビジュアル系エアー・バンド、ゴールデンボンバーの初のオリジナル・アルバム。作詞と作曲は鬼龍院(vo)が手掛ける。得意の踊れる曲やビジュアル系からインスパイアされた曲はもちろん、バラードも取りそろえる。大きなステージでも映える一枚に仕上がった。ただし演奏は外部ミュージシャン。
ガイドコメント
鬼龍院翔を中心としたヴィジュアル系エアバンドのアルバム。ハウス「メガシャキ」CMソングの原曲「女々しくて」のK-POP版や「僕クエスト」「酔わせてモヒート」といった2011年発表のシングルを含む、勢いそのままのハイテンションな曲が満載。
収録曲
01パトス
初のオリジナル・フル・アルバム『ゴールデン・アルバム』の冒頭を飾る、約50秒のインストゥルメンタル・トラック。おどろおどろしい鍵盤と喚き声が響きわたるゴシック調で、歌詞カードには“パトスを感じてください”とだけ書かれてある感覚的な作品だ。
02デスメンタル
高速なゴシックメタル調で疾走するナンバー。とにかく何に対しても怯えている精神状態を“デスメンタル”と称して、おののくように叫ぶ。PCのキーボードを二本指ですべらせて打つと現れる“qあwせdrftgyふじこlp”をフックに採用した斬新さも彼らならでは。
03僕クエスト
テレビ東京系アニメ『遊☆戯☆王ZEXAL』エンディング・テーマとなった10thシングル。テスト前の娯楽の誘惑に勝てない少年が屁理屈を言う姿を、ヘヴィなロック・サウンドで描写。RPG風のブリッジが楽しいアクセントになっている。
04夜汽車
メルヘンチックな雰囲気とニューミュージック的な曲風が合わさったようなファンタジックなワルツ調ミディアム・チューン。隣にいる君の気持ちを気にする男のもどかしさや不安を、行き先がわからない夜汽車にたとえて綴っている。
05酔わせてモヒート
歌謡ポップス風のダイナミックなメロディ・ラインが印象的な12thシングル。綺麗な君とのデートに背伸びして知ったかぶりするフリーター男の動揺を綴る。真面目で情熱的な歌唱とコミカルな詞世界のギャップが楽しい。
06成 很酷
“チェンロンヘンクー”と読むタイトルは「ジャッキー・チェンかっこいい」の意味。ドラの音や“ウハッ”のかけ声、エキサイティングな展開など、香港カンフー映画のイメージを多分に含んだ4つ打ちダンサーだ。意味は分からずとも、意気揚々とした感覚に包まれる。
07さよなら冬美 (Euro Mix)
冬の季節が訪れると疼き出す片思いの心……いつまでも引きずる男のウダウダした気持ちを吐露する曲。打ち込み系のリズムとユーロビート・アレンジで派手めに飾るが、歌謡曲調の歌唱&メロディのインパクトが強く、全体的にやるせない哀愁が漂う。
08今夜はトゥナイト
アッパー・ビートで駆け抜けるロック・チューン。強烈な“トゥナイ、トゥナイ……”のフックが耳を奪う“今夜は帰らないで”という哀願ソングで、「パッヘルベルのカノン」のコードを組み込むなどメルヘンを気取る演出が金爆らしい。
09もう会えなくなるなんて
タイトルどおり、別れに際しての男の苦悩や悶々とした気持ちを歌いあげたミディアム・チューン。初期チャゲ&飛鳥あたりとでもいうようなフォークやニューミュージックなど歌謡曲のムードがたたずむ楽曲となっている。悲しい別れ歌だ。
10今夜も眠れない (病的な意味で)
明日が早いから眠らせてという単純なテーマを大げさ度増量のコミカル&シニカルな詞で送る、ある意味アクロバティックなアッパー・ロック。途中のフェード・アウトやオペラ風歌唱、「もってけ!セーラーふく」の引用など、次々とキワモノが飛び出すごった煮感が楽しい。
11女々しくて (K-POPバージョン)
11thシングルのK-POP版だが、日本語詞が韓国語に聞こえるようにエフェクトを効かせるアイディアに脱帽。これがトランス調の楽曲にピッタリだからたまらない。鬼龍院の歌唱がエフェクトによって完全に女声になっているが、お構いなしだ。
12愛なんていらねいよ
夢と愛の両得はなかなか難しい……大事な人を傷つけてまでつかもうとするものって何だ? と自問自答する男の強がりを歌う。詞世界は悲しいが、アッパー・パンクで一気に駆け抜ける。3分弱に凝縮した陽気な青春“別れ”ソングだ。
13広がる世界
南こうせつの「神田川」的歌唱もチラつかせながら、コーラスでは中島みゆきや松山千春といった伸びやかで広がりのあるテイストで歌うニューミュージック歌謡。リスナーに問いかけるように今を生きる大切さや素晴らしさを語る、意外に真面目なメッセージ・ソングだ。
仕様
CDエクストラ内容:ゴールデン・アルバムジャケット撮影オフショット