ガイドコメント
フックの効いた歌声とゴージャスなルックスを兼ね備えた歌姫、リアーナの3rdアルバム。Ne-Yo、ウィル・アイ・アム(ブラック・アイド・ピーズ)、ティンバランドらがプロデュースで参加している話題作だ。
収録曲
01UMBRELLA
ジェイ・Zのラップでスペシャル感を煽る3rdアルバム『グッド・ガール・ゴーン・バッド』からのリード・シングル曲。バシバシと気持ちよく打ち鳴らされる骨太なドラム・サウンドに、これまたぶっといシンセ類がフィーチャーされ、ロック的な快感をもたらしてくれる。
02PUSH UP ON ME
ライオネル・リッチーの80年代ヒット「ランニング・ウィズ・ザ・ナイト」に、攻撃的なエレクトロ・ビートを組み合わせたキャッチーなアップ。かわいらしい声をしたリアーナが、“最高に感じさせてあげる”と男を挑発するエロカワいい世界が広がる。
03DON'T STOP THE MUSIC
クラブで予期せず遭遇したアヴァンチュールを描くホットなダンス・ナンバー。4つ打ちのハウス調ビートにマイケル・ジャクソン「スタート・サムシング」の有名フレーズを乗せ、過激にフィルターをかけまくってダンスフロアの臨場感を巧みに演出している。
04BREAKIN' DISHES
真夜中まで帰ってこない彼に完全にキレて、皿を割りまくってやる! という、ちょっと恐いけれどかわいい女心をテーマにした曲。テクノにも通じるブリブリしたシンセの音色と、投げやりな歌い回しで冷めぬ怒りを表現している。
05SHUT UP AND DRIVE
ニュー・オーダーの83年のヒット「ブルー・マンデイ」を引用しつつも、オリジナルの重さを排除して軽快なロック・テイストをまぶす。その一方で、オールドスクール的なビートを忍ばせるなど、まさしくリアーナならではのボーダレスな音楽性が楽しい一曲。
06HATE THAT I LOVE YOU
ニーヨがソングライター/ヴォーカル・プロデューサーとして、またデュエット相手としても参加したメロウなミディアム・グルーヴ曲。無駄な力を抜いたかのようなのびのびとしたふたりの歌声が、軽やかなビートに乗って爽やかに響きわたる。
07SAY IT
マッド・コブラのブレイクのきっかけとなった、ブラコン調のレゲエ・ナンバー「Flex」(“Boom Bye Bye”リディム)ネタのダンスホールR&B。キラキラした音に包み込まれたリアーナ嬢のキュートな誘惑は、夢見心地と言うほかない。
08SELL ME CANDY
斬新なサウンドがトレードマークのティンバランドが手がけているとはいえ、え? なにこのビート? と耳を疑いたくなる変則的なリズム・パターン。ラップ的なヴォーカルかと思えば、メロディアスなサビが飛び出す意外性。かっとびまくりだ。
09LEMME GET THAT
現代社会にありがちな尽きることのない消費欲の毒々しさを、独創的なティンバランドのトラックで色鮮やかに描く先端的なナンバー。アラビア音楽とカリブ音楽を同居させてしまったような、摩訶不思議な世界観が麻薬的に効いてくる。
10REHAB
ジャスティン・ティンバーレイクがソングライトに参加した話題曲。彼をドラッグにたとえ、あまりにも深く愛しすぎてしまった彼から、そしてその彼との恋愛から解放されるためにリハブ=リハビリ施設に入らなくちゃと歌う。
11QUESTION EXISTING
どんよりとしたビートと重苦しいベースに、モヤがかかったようなシンセをまとったリアーナが、さまざまなプレッシャーによる苦しみや、キャリアへの不安感、人間不信など、アーティストとしての悩みを口にするディープなナンバー。ただし作詞は本人にあらず。
12GOOD GIRL GONE BAD
どんなに良い女の子だって、彼氏がろくにかまわずに遊び歩いていたら悪い道に入っちゃうもんなのよと、女子代表のリアーナから男たちへの忠告ソング。曲調は異なるが、ビヨンセ「イレプレイスブル」を手がけたスターゲイトが同曲と近いタイプのアレンジを提供している。
13CRY
2006年のヒット・ナンバー「アンフェイスフル」を意識したと思われるしっとりとしたバラード。ひとつのフレーズを延々と弾き続けるピアノが、失恋の痛手を負いながらなお涙を見せることのできない不器用な女の子の心の葛藤を強調している。
14HAUNTED
彼の昔の彼女の想い出が亡霊のようになってふたりを追いかけ回すという、どのカップルにもあり得る状況をホラーチックに歌ったナンバー。亡霊の重い足取りをバス・ドラムで表現するなど、テーマとサウンドとの関連性もしっかり考えられている。