ガイドコメント
クールなスタイルと暴力性をも感じさせるサウンドで唯一無二の評価を得るミッシェル・ガン・エレファント。6年間にわたったTRIADレーベルでの活動を集成したセレクト・ベストが2枚同時リリース。
収録曲
01マシュマロ・モンスター
インディーズ時代の楽曲。ルーズなリズムをジャキジャキと刻むギター・カッティングとチバのドスの利いた歌声が、静かな狂気を描き出している。荒削りながらもすでにロック・バンドとしての貫禄が備わっていることを証明した秀作だ。
02strawberry garden
“shanla la la〜”というフレーズから始まるミディアム・ナンバー。8ビートのシンプルな曲調を基本とし、間奏ではベース、ギターそれぞれの見せ所があるのが印象的。熱さのなかにも穏やかさが見られるチバの歌唱が心地よい。
03世界の終わり (Primitive version)
イントロのギター・リフが高揚感を与える、言わずと知れた彼らの代表曲。タイトルとは対照的に迷いのないまっすぐなサウンドだが、同時に否応なく終焉に近づくさまも感じさせる。君が終わりを待ち焦がれているという詞が厭世的で心に残る。
04I was walkin' & sleepin'
60年代、70年代モッズ・サウンド直系のやさぐれロックンロール。タイトなビートとギターが生み出すスカスカなサウンドの中に、青さが全開の感情が目一杯に込められ、爆発を起こしている。青春に捧げるロック・ナンバー。
05キャンディ・ハウス
“Go Back, Candy House”という掛け声とアグレッシヴなサウンドが魅力のナンバー。体の芯に響くどっしりとしながらも軽快にうなるベースが、間奏ではエモーショナルなギターを引き立てている。時折奏でられるハーモニカが効果的。
06オートマチック (トランジスタ・バージョン)
07リリィ
シリアスで重たいサウンドのAメロとは打って変わって、強さのなかにさわやかさが感じられるサビが耳になじむ。“あふれかえる パスタの山”という表現や、フレーズの最後を抑揚をつけるように伸ばす歌い方に、チバ独特のユニークな一面が見える。
08シャンデリヤ
エッジの効いたギター・リフと奔放に鳴らされるブルース・ハープのイントロで始まるパブ・ロック。枯れた声で“それでも明日はシャンデリヤが降る”と繰り返し歌う大サビが耳に残る。シンプルだがエモーショナルな一曲だ。
09スロー
荒野を1人でブラブラ歩いていくような、雄大さと奔放さを感じさせる1曲。乾いたファズ・ギターのサウンドから見え隠れする寂しさや孤独に胸を痛めつつも、どこかしら孤高の存在である彼らに憧れを抱かずにはいられないと思わせるナンバーだ。
10カルチャー
重みのあるベースにギターのカッティングが映えるパブ・ロック・ナンバー。荒っぽさのなかに怪しさが見え隠れするチバの歌唱が魅力的。さりげなく“カルチャー”と“枯れちゃう”をかけている歌詞がおもしろい。
11カーテン
シューゲイザー系を思わせるフィードバック・ノイズ・サウンドを主体としたメランコリックなナンバー。寂寥感と甘さが同居した、彼らの中でもとりわけ「泣き」のメロディだが、チバのドスの利いたヴォーカルで、女々しくなっていないのも良いバランスだ。
12ゲット・アップ・ルーシー
“沈み込む 沈み込む”“終わりだね 終わりだね”など、虚無感に満ちた歌詞を力強く歌うミッド。8ビートのシンプルなリズムにのせた、歯切れのよいギター・リフとバックでうなるベースが耳に残る。間奏のギターの怪しげなメロディにも注目。
13バードメン
“FLY!FLY!BIRDMEN!”というフレーズが印象的なガレージ・ロック。重厚なサウンドが胸に秘めた強い意志を表わしているようで、“トぶ”ために必死でもがく歌詞とマッチしている。彼らの代表曲の一つ。
14ブロンズ・マスター
ギターのリフにモンキーズ風のフレーズも見え隠れするが、全体的にはゴツゴツとしたガレージ・サウンドが炸裂する、急転直下のロックンロール。シンプルなメロディの繰り返しという構成だが、その反復がどんどん高揚感を煽っていくのも面白い。
15サニー・サイド・リバー
初期のひとつの到達点ともいうべき1曲。ライヴ・バンドとして培ってきた鉄壁のサウンドと洗練されたメロディが、最も美しい形で結実したナンバーだ。鋭いギターとチバのヴォーカルが、鮮やかに世界を映し出している。