[Disc 1]〈GRATEFUL TRIAD YEARS 1995-1997〉
01マシュマロ・モンスター
インディーズ時代の楽曲。ルーズなリズムをジャキジャキと刻むギター・カッティングとチバのドスの利いた歌声が、静かな狂気を描き出している。荒削りながらもすでにロック・バンドとしての貫禄が備わっていることを証明した秀作だ。
02strawberry garden
切なさと儚さをともなったメロディとリリックを聴かせつつも、牙をむいたような凶暴さをチラつかせるミディアム・テンポのナンバー。相反する感情を同居させたサウンドに胸が打たれる、初期の名曲。
03世界の終わり (Primitive Version)
彼らの歴史はこの曲に始まったといっても過言ではない、彼らのデビュー曲。畳み掛けるようなギターのカッティングからスタートするイントロと、ポテンシャルの高いセッション、チバのがなり立てるような歌声まで、どこをとっても非の打ちどころがない名曲。
04I was walkin'&sleepin'
60年代、70年代モッズ・サウンド直系のやさぐれロックンロール。タイトなビートとギターが生み出すスカスカなサウンドの中に、青さが全開の感情が目一杯に込められ、爆発を起こしている。青春に捧げるロック・ナンバー。
05キャンディ・ハウス
ナイフのように鋭いギター・サウンドがマシンガンのように打ち出される荒っぽいロックンロール。ハイテンションなサウンドと硬質なバンド・サウンドのエネルギーは臨界点を軽く超えている。ファンの間でもとりわけ人気の高い1曲だ。
06オートマチック (トランジスタ・バージョン)
メーターを振り切った爆音ギター・サウンドと絶叫するチバのヴォーカルのリフレインのみでほとんどが構成された、シンプルなロックンロール。パンキッシュなサウンドには、どこかしらラモーンズの影が見てとれる。
07リリィ
ギュンギュン唸りまくるギターと寂寥感のあるメロディが涙腺を刺激するオーラス・ナンバー。絶望と希望、狂気と愛をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたかのような詞とサウンド、それはまさに境界線ギリギリのラブ・ソングだ。
08シャンデリヤ
暴れ馬のようにギター・サウンドが暴走するハイテンションなナンバー。凄まじいまでのバンド・セッションが発するエネルギーもかなり高く、油断するとこちらが振り落とされてしまいそうなスリリングな1曲だ。
09スロー
荒野を1人でブラブラ歩いていくような、雄大さと奔放さを感じさせる1曲。乾いたファズ・ギターのサウンドから見え隠れする寂しさや孤独に胸を痛めつつも、どこかしら孤高の存在である彼らに憧れを抱かずにはいられないと思わせるナンバーだ。
10カルチャー
大蛇のようにとぐろを巻くグルーヴに身体を持っていかれそうになる漆黒のロックンロール。鋭さを失わず、しなやかさを手に入れたミッシェルの新機軸サウンドであるとともに、凶暴性の増した狂気的なサウンドをオーディエンスに突きつけることに成功した1曲。
11カーテン
シューゲイザー系を思わせるフィードバック・ノイズ・サウンドを主体としたメランコリックなナンバー。寂寥感と甘さが同居した、彼らの中でもとりわけ「泣き」のメロディだが、チバのドスの利いたヴォーカルで、女々しくなっていないのも良いバランスだ。
12ゲット・アップ・ルーシー
ロックのダイナミズムとポップ・ミュージックとしてのキャッチーさを上手く融合させた人気曲。エッジが効いたサウンドと、コール・アンド・レスポンスが可能なサビの部分がシビレる。一瞬にしてフロアに一体感をもたらすキラー・チューンだ。
13バードメン
“モッズ”と“ミッシェル”という単語を世に知らしめた6thシングル。突き抜けたグルーヴと耳なじみのよいサビが爽快。無論、研ぎ澄まされた演奏のインパクトは秒殺級。
14ブロンズ・マスター
ギターのリフにモンキーズ風のフレーズも見え隠れするが、全体的にはゴツゴツとしたガレージ・サウンドが炸裂する、急転直下のロックンロール。シンプルなメロディの繰り返しという構成だが、その反復がどんどん高揚感を煽っていくのも面白い。
15サニー・サイド・リバー
初期のひとつの到達点ともいうべき1曲。ライヴ・バンドとして培ってきた鉄壁のサウンドと洗練されたメロディが、最も美しい形で結実したナンバーだ。鋭いギターとチバのヴォーカルが、鮮やかに世界を映し出している。
[Disc 2]〈GRATEFUL TRIAD YEARS 1998-2002〉
01G.W.D
“G.W.D”とはサビの歌詞の“がなる・われる・だれる”の頭文字。衝動性を体現するように、彼らの熱き魂がプレイに込められたロックンロール。攻撃的なカッティング・ギターに昇天まちがいなし。
02アウト・ブルーズ
“一発録り”“エフェクター類いっさいナシ”と、ストイックなまでに無駄を削ぎ落としたロックンロール。ただ前だけを見据え、リスナーをグイグイ引っぱっていく楽曲の強引さにどこかダンディズムすら感じる。
03スモーキン・ビリー
ラモーンズ直系のゴリゴリのギター・サウンドとチバの絶叫ヴォーカルが、とんでもない迫力で襲ってくる。鬼気迫るテンションでの演奏、楽曲のクオリティともに、実質的な頂点を感じさせる1曲だ。
04キラー・ビーチ
ロードムービー調な寂寥感が胸を突くナンバー。今までUKモッズ・サウンドを基盤としていた彼らだが、ストレートなアメリカン・ロックの要素も採り入れている。サウンドの視野を広げたことで彼らの新境地を感じさせる。
05フリー・デビル・ジャム
タイトル通りの“極悪セッション”が生み出す暗黒のロックンロール。血管が切れるのではないかと心配するくらい絶唱するチバのヴォーカルも凄いが、ドラムのクハラも男らしさあふれるヴォーカルを聴かせてくれている。
06GT400
直球のアメリカン・ロックに乗せて、バイクにまたがってどこまでも走っていく光景を描いた1曲。TMGEらしからぬ毒のない曲調と歌詞だが、力みのないメロディとサウンドの中にも、ガレージ・ロック・バンド独特のダンディズムがあふれている。
07コブラ
右へ左へと振り回すようなスウィンギンなギター・リフは、まさにコブラの動きを思い起こさせる。首を振って一気に噛みついてくるような、牙をもったサウンドの鋭さは流石の一言。牙に仕込まれた毒も致死量の域だ。
08ブラズマ・ダイブ
2サイクル・エンジンのように性急なセッションに込められた凝縮と爆発の連続。許容量がオーヴァーしそうなほどのエネルギーが、限界値ギリギリで迫ってくる3分間の狂気。生まれた途端に一瞬で弾け飛ぶ、刹那のロックンロールだ。
09ドロップ
深い闇をたたえたギター・ノイズが霧のように世界を覆い隠し、その真ん中をぶらぶらとさまようようにチバのヴォーカルが鳴り響く。反復と爆音による酩酊感に酔いながら、正体の見えない曖昧な不安と向き合う1曲だ。
10ベイビー・スターダスト
UKツアー敢行など、このシングル発売当時の彼らの好調さが滲みでた、破壊力のあるロックンロール。アナログっぽいザラリとした音質と、サビをワン・フレーズで押し切る感じは、バンド初期の作品を彷彿とさせる。
11武蔵野エレジー
どことなく昭和歌謡的な匂いを感じさせるロックンロール。投げやりなチバのスキャットは、街を歩いててもついつい口ずさんでしまうほど耳に残る。孤独な男の後ろ姿がなぜか格好良く感じられる、“昭和のハードボイルド”というべき1曲だ。
12シトロエンの孤独
ヘヴィなグルーヴに乗せて、ラップ調なチバのヴォーカルがマシンガンのように繰り出される1曲。重厚でスケールの大きなサウンドであるにも関わらず、それを比較的体の小さいシトロエンに喩えるのが、実に彼ら特有のロマンチシズムらしい。
13暴かれた世界
激昂するグルーヴにチバのがなるヴォーカルが絡む、ミッシェルの王道をいくガレージ・ロック・ナンバー。曲の駆けぬける勢いとは対照的に、リアルに生きることを訴えた重みのある歌詞にハッとさせられる。
14バード・ランド・シンディー
得意のパブ・ロック路線を前面に押し出したやさぐれロックンロール。刃のように研ぎすまされたサウンドがひとつの塊のようになって迫ってくるが、なかでもアート・ブレイキーを思わせる野性味あふれるクハラのドラミングが素晴らしい。
15赤毛のケリー
哀愁を感じさせるメロディを疾走感のあるサウンドで一気に聴かせる、バンド中期のとりわけ人気の高い曲。すり切れた魂を無理やり動かし続けるような痛々しさは何度聴いても胸を突く。彼らしか鳴らせない、孤高の美しさをはらんだ1曲だ。
[Disc 3]〈unreleased tracks〉
01あんたのどれいのままでいい
7インチ・アナログ盤のみのリリースだったものを初CD音源化。垂直でジャキジャキとしたギター・サウンドが炸裂するタイトなモッズ・ソング。シンプルかつラウドなロック・ナンバーだが、演奏の持つポテンシャルの高さはやはり彼らならではのもの。
02スイミング・ラジオ (demo)
バンド初期の幻の音源。チバの声の若さに驚き、曲の青さにシビれる彼らの思春期を探るような1曲。未完成であるがゆえに猛スピードで成長していく過渡期のスリリングさが伝わってくるナンバーだ。
03EAT THE TELEVISION (demo)
シャープなギター・サウンドが大きく渦巻くグルーヴィなナンバー。テレビにしがみついて生活している日常と鬱屈した感情がマグマのように煮えたぎっているさまを巧みに対比して、日常に潜む狂気を表現している。
04夢のマイアミ (demo)
デモテープのみで配布されていた秘蔵音源。潰れきったギター・ノイズにシャープなギターが絡み合う、エキセントリックなナンバー。チバのヴォーカルだけがやけに大きかったりと、いかにもデモらしい荒さが目立つが、曲そのものが持つ強度の高さには驚く。
05CISCO〜想い出のサンフランシスコ (She's gone) (Toe Rag Session)
血管ブチ切れのハイテンションなセッションが生み出す爆裂インスト・ナンバー。鬼気迫ったサウンドは聴くものを唖然とさせるか狂喜に駆り立てるかのどちらかで、ライヴにおいての破壊力も高いので、一番好きな曲にあげるファンも多い1曲だ。
06ドロップ (alternate version)
緩やかな闇をたたえた名曲「ドロップ」の倍速ヴァージョン。加速する暗黒のサウンドが心地良いドライヴ感をともなって、あっという間に駆け抜けていくロックンロール・ナンバーへと変貌を遂げている。